Ame lil meloインタビュー TikTokでも話題の「slow down (feat. LUSH CARABINER)」に込められたリアルさへのこだわり

インタビュー
2023.3.17
Ame lil meloインタビュー TikTokでも話題の「slow down (feat. LUSH CARABINER)」に込められたリアルさへのこだわりのサムネイル画像

Ame lil melo

大阪を拠点に活動する、SoundCloudラップシーンの新生・Ame lil melo(アメ リル メロ)。2023年1月28日に配信リリースされた楽曲「slow down (feat. LUSH CARABINER)」は、TikTokで楽曲使用動画が2,000以上(2023年3月現在)作成され、Spotifyの国内バイラルチャートで初登場7位にランクインするなど、サンクラシーンを飛び越えて話題を呼んでいる。そんな彼に初インタビューを敢行。突然のヒットへの思いや自身のスタイル、今後の展望について聞いた。

 
 
バトルシーンから音源制作へ

——音楽に興味を持ったきっかけを教えてください。

ヒップホップやラップという言葉も知らない頃から、「なんかこの早口の曲は好きだなあ」みたいな感覚はありました。その後、中学生くらいの時にヒップホップというジャンルを知って、KREVAやHilcrhymeを聴くようになって。自分でラップを始めたのは、K-九(現:T-Pablow)が優勝した第1回高校生ラップ選手権を見たのがきっかけでした。

——バトルからキャリアをスタートさせたんですね。音源活動にシフトした理由は?

活動を始めた当初は毎日のようにバトルをしていて、大会にも何度か出ていました。でも、音源を作り始めてから、自分の気持ちを時間をかけて書くことが好きだと気付いたんです。元々、国語の教師を目指すくらい文章を書くのが好きだったこともあっ​て、制作にどんどんのめり込んでいきました。

——そこからどのような流れで現在の活動に至ったのでしょう?

18歳くらいの時に初めてSoundCloudに楽曲をアップしました。携帯で録音したようなクオリティだったんですけど、そこから徐々にブラッシュアップさせていって。今は音源を作りながら、大阪を中心にライブもしています。最近はビートメイカーのGOLD DIGGAさんがプロデューサーとして付いてくださっていて、方向性を具体的に話し合いながら活動しています。

——ラップを始めてから影響を受けたラッパーやアーティストはいますか?

一番最初に影響を受けたのはGokou Kuytです。身近な言葉をメロウなサウンドに乗せるというスタイルに食らって。自分も、まずは目に入るものから曲を作ってみようと思うようになりました。その他には、山田ギャル神宮やizolmaといった、SoundCloudシーンのラッパーが大好きです。韓国のASH ISLANDや、BIGBANGのG-DRAGONもよく聴きますね。

——国内外から影響を受けているんですね。つながりのある同世代のアーティストはいらっしゃいますか?

ラッパーのBiGaが高校の同級生で、初ライブも彼の客演で出させて貰ったんです。これからも一緒に作品を作っていきたいと考えてます。

 
 
終わって欲しくない夜に作られた「slow down (feat. LUSH CARABINER)」

——話題の楽曲「slow down (feat. LUSH CARABINER)」は、どのような経緯で作られたのでしょう?

一晩中友達の家に溜まって遊ぶのが僕の基本的な日常なんですけど、その時に「夜だけどめっちゃ騒がしい曲作ったら楽しそうじゃね?」っていうノリで出来た曲ですね。サビで「Midnight feel slow down / まだ覚めないで」と歌ってる通り、夜が終わって欲しくない、という気持ちを込めています。それと、ちょうど制作時にライブのブッキングが増え始めてきて、「俺たち今からやな」と話をしていたタイミングだったので、「これから上がって行こうぜ」みたいなリリックも入れています。

——客演で参加しているLUSH CARABINERさんとはどういったつながりなんでしょうか?

一緒に活動しているクルーのメンバーです。合計で5人いて、僕が最年長ですね。全員、公園でサイファーをしている時にたまたま知り合いました。LUSH CARABINERは、「優しい人ってこういう人のことなんやな」って感じの人ですね。マインドの上がり下がりは激しいんですけど(笑)。良くも悪くも口癖が「すみません」で。謙虚な人ですね。

——BigDogさんが手がけたビートについてはいかがですか?リスナーの皆さんは、プロデューサータグも気になってるみたいですよね。

TikTokでタグの部分だけ流行ってるみたいな(笑)。制作時は、Hyperpop系のアニメっぽい音使いのビートにハマっていて。最初は曲の内容に合わせて騒がしめのビートにしようと思ったんですけど、それだとゴチャゴチャしちゃうなと。そこでBigDogさんの良いバランス感のビートを見つけたので、使用させていただきました。

——ビートはいつもどうやって選んでいますか?

YouTubeとBeatStarsで探すことが多いですね。あとは、好きなアーティストの使ってるビートメイカーの名前で調べたりとか。個人的に今はHyperpop、Plugg、Rageのビートが好みです。Rageの楽曲は、今後作ってみたいと思っています。

——ジャケットのイラストも、とても可愛くて特徴的ですよね。

高校の同級生に趣味でイラストをやっている子がいて、彼に描いてもらいました。Gokou Kuyt「SHAWTY CALLIN’」のジャケットを見せて、こういうタッチの可愛い女の子2人を描いて欲しいって頼んで。イラストの周りの絵文字などは、僕がコラージュしました。

——MVを手掛けたao KRAKENさんの印象はいかがですか?

Instagramのフォロワーで、SoundCloudの楽曲をYouTubeで紹介している方がいらっしゃるんですが、その人がストーリーズで、東京でMVを撮りたいアーティストを募集してたんです。その時にちょうど東京に行く予定があったので連絡して、ao KRAKENさんを紹介していただきました。彼は外国人で、日本語も通じなかったんですけど、手探りで撮影して。僕だけアンニュイな感じで、LUSHはめっちゃ元気に撮られているんですが(笑)、ao KRAKENさんなりにコンセプトを持って撮ってくださったので、とても良いMVに仕上がりました。

 

 


「slow down (feat. LUSH CARABINER)」

「slow down (feat. LUSH CARABINER)」

次のページ: 「天才」と言われてはじめて天才になる
1 / 2
次へ >
この記事の執筆者
THE MAGAZINE
国内のインディペンデントアーティストをメインに新たな音楽ムーブメントを紹介するウェブメディア