HITOMINインタビュー 「一歩一歩、スキップせずに進みたい」最新EP『UNTITLED』を携え向かうネクストステージ
HITOMINが12月13日にEP『UNTITLED』をリリース。8月の『MELACHITE』に続く今年2作目のEPとなる同作では、かねてから重視してきたリスナーからの共感と自己表現のバランスを保ちながら、それぞれの天秤に乗せる重石をさらにヘヴィーに。これまでのキャリアを音と言葉で総決算しながら、確かな足取りで次なるステージへと駒を進めている。年を跨ぎ全国11箇所をサーキットする『UNTITLED Tour』、そのファイナルとなる2024年4月6日の東京・渋谷 Spotify O-EASTでのワンマン公演に向けて駆け出す直前のHITOMINに話を訊いた。
取材・文 : サイトウマサヒロ
企画 : Jiro Honda
スキップせず、一段一段登りたい
——音楽を始めたきっかけは、ドラマ『シークレット・アイドル ハンナ・モンタナ』なんですよね。
そうです。それから今までほとんど洋楽しか聴いてないです。
——具体的に影響を受けたアーティストはいらっしゃいますか?
誰か一人を追いかけるよりは「この曲の歌詞が良いな」「メロディーが良いな」ってピンポイントで聴くことが多いので、この人! っていうアーティストはいないですね。
——音楽活動を始めてからリスペクトするようになった国内のアーティストとかは……
いないんです(笑)。他のアーティストとあまり近付かないようにしてて。みんなライバルになっちゃうし、本当の友達にはなれないと思うから。
——以前「ビッグになりたい」という野望を語られていたHITOMINさんですが、その思いは今も変わらず?
今は特にそうは思ってなくて。それよりも目の前のことをこなしたり、来てくれるお客さん、自分を求めてくれるファンのみんなに対して何かを返すことが大事だと思ってます。一歩一歩、近い目標から少しずつキャパを広げて行けるところまで行きたい。具体的なステージは考えてないです。
——漠然としたスター像に憧れるわけではなく、一つ一つ積み上げていきたい?
焦りたくないし自分を周りと比較したくないから、マイペースにやりたいです。変に段階をスキップしたくなくて。ちゃんと色々経験して登っていきたいですね。
——実際のところ、着実に規模感が膨らんでいる実感はありますか?
ファンの子たちは本当に良い子たちが多くて友達や家族みたいに感じてるんですけど、その感覚のまま数が増えてはいますね。ツアーをやったら一緒に全箇所網羅してくれるような人もいるし。2、3列しかお客さんを集められない時もあったけど、今は後ろまでパンパンに入ってる状態をキープできるようになってるから、すごくありがたいです。
——堅実で誠実な思いを守り続けながらステップアップできているんですね。
何もわからずに業界に入ったから、調子に乗らずに済んだと思うんです。ギラギラした大人がワッて群がってくる残酷な感じが怖かったし。そういう人たちともっと早い時期に組んだり上手に立ち回っていたりしたらそれこそ色んな段階をスキップできたのかもしれないけど、それって自分の力を測れないまま大きなステージに立つから危ないじゃないですか。だからゆっくり着実に進んでこれて良かったです。
——自身のソングライティングや、アーティストとしてのスキルについては成長を感じていますか?
歌う内容が変わってきたとは思います。前はもっと直接的な言葉を使ってたし、過去の曲の歌詞を見ると「かわいいな」って思うことが多くて。素直な気持ちを書くようにしてるのは今も昔も同じなので、物の見方が変わっただけなんでしょうけど。
——自分の経験を盛り込むことで、リリックのテーマが自然に広がっている?
そうですね。