挫・人間 インタビュー「幸福って、やっぱり苦悩の先にしかない」 生々しいロックを体現した最新作『銀河絶叫』が描くハッピーエンド
挫・人間が約2年7ヶ月ぶりとなる7thアルバム『銀河絶叫』を3月6日にリリースした。2022年7月に下川リヲ(Vo, Gt)とマジル声児(Ba, Cho)の2人組となって以降、メンバー募集中である旨をしきりに掲げてきた彼らだが、その実バンドのコンディションは良好。2023年には「下川くんにであえてよかった」「夏・天使」「セイント・ギロチン」と配信シングルをコンスタントにリリースし、東京・渋谷CLUB QUATTROにて計3回のワンマンライブを開催するなど、充実した活動を展開してきた。
満を持して放たれた現体制初アルバムである同作は、キャリア最高傑作の誕生を感じさせる会心の一枚だ。アルバムリリースを目前に控えた下川に、「やってて楽しい」というバンドの現状やアルバムの制作秘話、切れ味鋭いサウンドの裏に秘めた内省的な思いを語ってもらった。
取材・文 : サイトウマサヒロ
2人体制は「へっちゃらです」
——現体制初のアルバム『銀河絶叫』リリースおめでとうございます!2022年7月の夏目創太(Gt, Cho)さん脱退以来、2人体制になってからの挫・人間は、とにかく「メンバー募集」を掲げながら駆け抜けてきた印象です。
まあ、メンバー募集はちょっとネタになってきてるし、最近はあまり言わなくなりましたけどね。サポートメンバーである元爆弾ジョニーのキョウスケ(Gt)とタイチサンダー(Dr)も、せっかく一緒にやるんだったら良いものを作ろうという姿勢で、リソースを割いてやってくれていますし。案外ストイックに、ひたすら曲作りと練習の連続で過ごした1年半でした。
——メンバーチェンジを繰り返してきた挫・人間ですが、現在は2人プラスサポートの体制で安定していると。
「犬は吠えるがキャラバンは進む」っていう感じで。時間は待ってくれるわけではないですから。キョウスケが持ってきたリフを膨らませて作った曲もあるし、今回のアルバムはこの4人で作り上げたものっていう感覚です。仲も良いし、バンドをやってて楽しい関係ですね。
——少し意地悪な言い方になりますけれど、今までのラインナップに比べて良好な関係だと。
それはもちろんそう(笑)。これまでのメンバーは問題しかない奴らだったんで。
——それでもキョウスケさんとタイチサンダーさんが正式加入していないのには何か理由が?
いや、特にはないです。あんまり深く考えずに、今はとにかく曲を作ったりしたくて。
——過去にはバンドという形態へのこだわりや、フルメンバーで活動したいという意向を語っていましたが。
もうどうでもよくなってきました。どうしてもできないこともあるなって。正式メンバーが4人揃ってたのっていつの話だよって感じですしね。でも楽しくやれてるし、へっちゃらです。ドリカムだってずっと同じ編成で活動できてますから。
——たしかに。
そもそも挫・人間のメンバーになるのはハードルが高いと思うんですよね。こういう楽曲を演奏するっていう公式があるバンドじゃないですから。それに、幸か不幸か今までサポートしてくれたメンバーがみんな全力でやってくれてるんですよ。だから、たとえば菅大智(Dr、2016年から2019年までサポートメンバーとして在籍)さんが叩いたフレーズとか、「こんなの叩けないよ!」っていう人が結構多いと思いますし。他のバンドより大変なのに、その割に世間的な見られ方はおぞましいバンドで。
——というと?
未だにホラーだと思われてますからね。過激なパフォーマンスをするんじゃないかと。意外と普通のロックバンドなんですけどね。