秋山璃月インタビュー SUMMER SONIC 2024出演やあいみょんとの共演でも注目集まるSSW「いい曲を作るのが、唯一のやりたいこと」
2017年、10代限定の音楽フェス『未確認フェスティバル』にて、人生2度目のライブにも関わらず会場を虜にする圧巻のパフォーマンスでグランプリを獲得し、センセーショナルなデビューを果たした秋山璃月。昨年、所属していたレーベルからの独立を発表して以降は、全曲宅録の1stフルアルバム『サルライター』のリリースやMVの自主制作、ジャケットを一枚一枚手作りしたデモCDの販売など、インディペンデントだからこそ為せる体温の宿った活動を展開している。
今年7月9日には、大阪・フェスティバルホールにて開催されたあいみょんの対バンツアー『AIMYON vs TOUR 2024 “ラブ・コール2”』大阪公演にてゲストアクトに抜擢。さらに、『出れんの!?サマソニ!? 2024』を勝ち抜き8月17日に『SUMMER SONIC 2024』東京会場のステージに立つことも決定した。
今回は、独立後の活動や8月2日にリリースされた最新シングル「記憶喪失」、あいみょんとの共演で得た感触やサマソニ出演への思いについてインタビュー。その言葉の端々から、音楽にかける真摯な思いを感じることができた。
取材・文 : サイトウマサヒロ
企画 : Jiro Honda
自分の音楽に責任を負いたかった
——昨年、所属レーベルからの独立を発表した秋山さんですが、現在はどのような体制で活動していますか?
去年の3月ごろにレーベルをやめて、それからはずっと1人でやってて。ライブの時に手伝ってくれる人は2、3人居つつ、あくまでどこにも所属していない状態が続いています。連絡とか、ブッキングも自分でやってますね。
——そもそも、レーベルを離れることになったきっかけは?
色々なすれ違いもあったんですけれど、一番の理由は、もっと能動的に動きたかったから。自分で決断して、自分で判断して、自分の音楽を進めていきたかった。今は自主でも自分のタイミングで音源をリリースできる世の中ですし。気合いを入れ直すというか、自分が何をしたいのかを改めて考えたかったっていうのがきっかけです。
——作詞作曲編曲から宅録までをご自身で手がけていますが、そのDIY志向が独立に繋がったのでしょうか?
DIYしたいっていうよりは、ちゃんと責任を負うことで、音楽に集中したいなって。レーベルに入っていると、どうしても人に任せて進めていく部分があって当たり前で、失敗したらそれを言い訳にもできるから。そう考えている自分も嫌だったので。
——たとえば、ご自身でジャケットを手作りしたデモCDをライブ会場で販売したりもしていますけれど、自身の名前で発信されるクリエイティブを、すべて自分で作り上げたいという気持ちは強くありますか?
いや、むしろその逆で。今は自分で映像を作ったりとかしてるけど、当初はそんなことできるわけないと思ってたし、CDを一個一個作るのも、そうしないといけなかったから渋々やり始めたのが始まりなんです。でも、その気持ちがだんだん逆転してきてるかな。
——そういったある種のものづくりに意味を感じるようになってきた?
そうですね。フィジカルのデモCDを作るのも、自分の特徴として馴染んできている気はします。そういうつもりではなかったんだけど、やっているうちに自分がそういう人間に組み変わってしまったというか。
——インディペンデントな体制になったことで、活動のフットワークはどのように変化しましたか。
本当は、ポンポン色んなことをやりたかったんだけど……去年、『サルライター』っていうアルバムを出したんですけど、思った以上にミックスもマスタリングも苦戦したし、結局技術が全然追いつかないまま終わってしまったり。「リアリティとは?」のMVも自分で作ったんですけど、かなり時間がかかっちゃって。
全部自分でやるために、この一年間は準備期間のような形になったかなと思ってます。でも、その中でアルバムを無理にでも出したのは自分としては筋が通っているというか、重要なアクションでした。やりたいことは元からハッキリしてたけど、それをしっかり見つめ直す時間でもあったかなと。今年から、今月からはもっとやっていこうっていう気持ちではあります。
——なるほど。
あとはライブのことでも考えることが多くて。無難なバックバンドの演奏みたいな感じは嫌だったから、メンバー集めにも時間を割きました。今はすごく個性のある二人とやってるんだけど、そのすり合わせに集中していたら、リリースをするタイミングがなかったっていう。
——この一年間で、制作される楽曲や歌詞の表現などに変化はありましたか?
特に変化はなかったですかね。ただ、これまでは歌詞を訂正しなきゃいけないことがあったりしたけど、今は何の制限もなくやれてます。
——現在の立場になってみて、改めてメジャーの音楽シーンに対して抱いている思いはありますか?
17歳でキャリアをスタートさせた時からメジャーのシーンでやっていきたいという思いを持っていたし、それは今も変わらないんだけど、ただ成功すれば良いというわけではなくて、その過程こそが中心にありますね。メジャーでやっていけるくらいの強度があれば、結果が失敗でも別にいいかなと思ってるというか。キャッチーさやポップさを度外視して好きな音楽をやりたいとは思ってなくて、音楽でずっと生きていくために、そこはちゃんと守っていきたい部分。だから、自分の気持ちをまっすぐに保って、ピュアな状態でメジャーでやっていく方法を、今は考えてるかな。
あいみょんとの共演、再確認したビジョン
——7月9日には、あいみょんさんの対バンツアー『AIMYON vs TOUR 2024 “ラブ・コール2”』大阪公演への出演を果たしました。秋山さんにとっても大きなステージになったんじゃないかと思います。
大きかったですね。あいみょんさんがラジオで曲をかけてくださったこともあって、お誘いしてくれたんですけれど、連絡が来た時はビックリしました。
——ライブの手応えはいかがでしたか?
弾き語りはずっとやってきたし、自身のある形態だったから、あんまり緊張せずに普段通りやれました。あとは、あいみょんさんのお客さんがとてもあたたかったから、すごくやりやすくて。大きなホールの会場でやるのも初めてだったけど、音の返り方や広がり方が気持ちよかったですね。
——現在の活動スタイルでその舞台に立てたことは、今後への自信に繋がったのではないでしょうか。
こればっかりは本当にあいみょんさんに感謝なんですけど、助けてもらったなって感じですね。音楽シーンの第一線と自分の間の距離感が、現実味のないぐらいに離れていた状態だったけど、17歳の時から抱えていた目標を思い出してもう一度自分に引き寄せることができたから。今年も来年も、自分が胸を張って音楽を頑張っていいんだって思える理由をもらったような気がしています。
ラブコール 大阪 1日目
取り急ぎ、幸せです!!!
呑んでまーす!!、やびーーみんな来てくれてありがとう
楽しかった!
直太朗さんとのアンコール、緊張した、どうでしたか!璃月くん最高や。 pic.twitter.com/56ryRD0UBW— あいみょん 🦭 (@aimyonGtter) July 9, 2024