AZUインタビュー 孤独と不安を乗り越えた先に ―― アルバム『Aurora』で描く愛、仲間、自分のスタイル

インタビュー
2025.6.6

孤独や不安を乗り越えて生まれる楽曲

——その後もシングルや2nd EP『Fear』、そして今年1月には待望の1st アルバム『Aurora』と順調にリリースを重ねられていますが、AZUさんらしさと言うか、叙情的なビートに聴き心地よい歌声が乗って胸に響くリリックもあわさりエモーショナルな楽曲世界が繰り広げられる、というスタイルは意識してその方向になったのでしょうか?それとも自然に?

その辺はあんまり意識してなかったかもしれないです。ただ単に自分の毎日の感情、頭に浮かんだことをすぐにメモするようにしていて。それをリリックにすることが多いんで、その時の気持ちをそのままナチュラルに書いてるって感じ。何かを伝えようっていうよりは、本当に自分の感情を曲に込めてるっていう。

——Lil DurkやYoungBoy Never Broke Again、Rod WaveといったいわゆるPain系ラッパーからの影響はいかがでしょうか?

やっぱりその辺はめっちゃ好きで聴いてたんで、多少の影響はあるかもしれないですね。どんなことを歌ってるのか気になってリリックの和訳を見たりもするし。少なからずインスピレーションを受けているとは思います。

——AZUさんの曲のリリックでは、恋愛の内容もありつつ、孤独や不安、自分と向き合うこと、といった要素が滲み出てるなと感じます。

メンタル的にしんどい時があるんですよね。具体的に何がしんどいて言われたら自分でも分からないんですけど、全般性不安障害、GADっていうのかな。不安ってだいたい原因があるじゃないですか。こうだから不安だみたいな。そういうのがなくて、ただ漠然とずっと不安。それが朝から晩まで止まらない時もあったり。俺おかしいのかなって病院に行ったりもしてました。

——アルバムのタイトル『Aurora』も、そういうメンタルの浮き沈み、気分の変動になぞらえてる部分もあるとのことでした。

そうなんです、もういろんな感情、いい時と悪い時の差がけっこう激しくて。ほんとオーロラみたいに移り変わるというか。メンタル的にめっちゃいけるなっていう時は、考え方も根本から違うし、別人格みたいな感覚になってる時もあったり。

——それが曲作りに与える影響というのは……

気分が上がってる時の方が絶対にいい曲ができると思います。さっき言ったみたいに、仕事として取り組むんじゃなくてみんなで楽しみながら遊び心を持ってやるノリの時が一番いい曲が生まれると思うんで。そういう時は、自分の中でもちゃんと新しいものができてる感覚がしますし。サッドな時とか色々考えてうわぁってなってる時はあんまりいい曲書けないかも。

——「Thousand miles」では「孤独だけじゃない / 仲間が集まる / 遊びながら金を稼ぐ俺は / 鬱も消えるはず / 俺は言じ歌う」と仲間との絆が鮮やかに描かれていますが、今のお話を伺うとリリックにさらに重みを感じます。

仲間や友達にはめっちゃ助けられてます。みんながいなかったら今の自分はおらんって本当に思います。一緒に過ごす時間が長ければ長いほど嫌な部分も見えちゃうんですけど、それでもまわりの存在がちゃんと自分の中で確実にパワーに変わっている感覚がするんで、やっぱり地元の友達、仲間は大好きです。

 
——また、自分と向き合うということについて、アルバムの最後から2番目に収録されている「Love Me」では、自分を愛する大切さをリスナーに伝えつつ、AZUさん自身が自分に向かって言っているような印象を受けました。

たしかにそう自分に言い聞かせている感覚の方が強いかもしれないですね。曲も人のためじゃなくて自分のために作ってるというか、人生において人のために生きる意味は絶対ないと思ってて。自分の人生、後悔しないように全部自分が決めていけばいずれ自分のためになると思うし、ひいてはそれがみんなのためになる。「Love Me」にはそういう気持ちが強く現れていると思います。いま25歳で、この先何年生きるか分からないですけど、こういう感覚が今は一番しっくりきます。

 

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