5Leafインタビュー 「毎日の“悔しさ”が私を突き動かす」新EP『En』
2025年、2月に1stアルバム『bud』をリリースし、それにともなうツアーや『POP YOURS 2025』への出演、そして各種メディアにも数多く登場し、ラッパーとしてのスキル、存在感も含め飛躍的な成長を遂げた5Leaf。鬼気迫るほど自身とストイックに向き合い、クオリティを磨き続ける中で紡ぎ出される言葉やサウンドに魅了されるリスナーは日々増加している。飽くなき挑戦を続ける彼女が新EP『En』をどのように作り上げたのか、そして今後どこを見据えているのか、話を聞いた。
取材・文:渡辺志保 / Shiho Watanabe
『En』は「作りに行くぞ」って気持ちが強かった
——2025年は、とても忙しかったんじゃないですか?今年はアルバムもEPのリリースもあって。2月に『bud』が出て、今回のEP『En』がリリースされるまでの約9ヶ月、どんな風に過ごしていましたか?
ツアーがあって、前の年よりもたくさんの会場をまわったんです。フェスにも結構出させてもらって。6月くらいからはこのEPの制作が始まっていたので、それからは葛藤しながら結構時間をかけて『En』を作り上げました。
——『bud』より『En』の方が、より最近の5Leafさんの気持ちが反映されているのかな?と感じました。「23Club」ではライブのことをトピックにしているし、「zip your lips」ではヘイターに向けてラップしているような感じですよね。これまで以上にリアルな5Leafに触れることができるようなEPだな、と。
たしかに、そうかもしれないです。
——今回の制作における自分の気持ちやプロセスって、前作とは異なりますか?
すごく意識した、ということはないんですけど、『bud』初めてのアルバムだったので、「みんな、どんなマインドでアルバムを作るんだろう?」という感じで、マインドが掴めていなかったし、デビュー曲の「Way of Life」が制作の入り口でもあった。今回の『En』はまず「EPを作ろう」っていう意気込みがあって、一曲ごとのトピックも前もってある程度出していって。なので、EPの方ががっつり「作りに行くぞ」って気持ちが強かったと思います。
——Zen MasutaさんやChaki Zuluさん、DJ RYOWさんら、豪華な顔ぶれのプロデューサーが参加しています。各プロデューサーとのセッションで、緊張することはありましたか?
毎回、緊張しますね。でも、(制作において)アウトプットする瞬間ってめちゃくちゃ楽しいんですよ。なので、楽しい気持ちの方が強いです。
——制作中、印象的だったワンシーンはありますか?
Chaki Zuluさんとはハスキースタジオでレコーディングしたんですけど、やっぱり憧れの方じゃないですか。その空間にもマジで超アガったし、本当に音楽に対する愛情が深い方だったので、自分が気づけなかった発生のクセを引き出してくれて、「その発声いいね」とか「その息遣いでやってみよう」などアドバイスをくれて。自分にとっても大きな一歩になったなと思っています。
——Chakiさんが手がけた「En」はリード曲にもなっています。レコーディング・セッションでは、どのようにChakiさんのアドバイスを反映していったのでしょうか?
もともとフックとかも全部自分で作っていったんですけど、レックの時に「ちょっとこういうメロでやってみよう」とか「この1小節をこっちに持ってこよう」とか、自分からは出せないアイデアをもらいましたね。フックのメロディも、1時間くらいかけて鼻歌で作っていきながらアイデアを出していって。それで「(いいメロディが)来た!」という瞬間に録ってもらう、という感じでした。
——全体的な制作のプロセスは?
まず、タイトルの『En』は一番最初に決めたんです。歌いたいトピックも前からざっくりとあったので、実際に書いていくうちに「こういう方向性に変えたい」とか、「この楽曲はこういう気持ちが強いね」とか考えていって。
——オープニング・トラックの「0」は、決意表明のような強さがある曲ですよね。
最後にできた曲なんです。フックだけ少し作っていて、他の曲を優先して作っていたんですけど、6曲あるうちの5曲が出来あがった時に、その5曲が結構いい感じに完成したからこそ「もっとできることがある」となって。「手をつけていなかった「0」も、もっと最高なものになるはず」と思い、プロデューサーのZenさんに相談して、ビートを変更させてもらって。最初はタイトルも決めていなかったんですけど、「0からmakeしてくlife」ってリリックでも歌っているし、「これが一番最初の曲じゃね?」ってタイトルと曲順を決めました。
——対して、最後の「hate me」はすごく心に響くパーソナルな曲です。ご自身の家族や環境について、具体的なところまで切り込んで書いていますよね。
そうですね。良くも悪くも、書くのが一番しんどい曲でしたし、すごく身を削って書いたような。ただ「自分が辛い」ということを歌いたいわけじゃないんです。「それを伝えて、どういう気持ちでキャッチしてもらいたいのか?」と考えながら書いたので、言葉選びもすごく迷いましたし、「こう伝えると、傷つく人がいるかな?でも傷つけるために書いているわけじゃないし」って自問自答しながら書いていきましたね。この曲は、直近の出来事に対しても書いているけど、人生を通してもがいてきたことに対して書いているんです。私は、人に対して自分の感情を100%ぶつけることが苦手だし、冷静ぶっちゃうところもあって。人に対してムカついたり「なんでわかってくれないんだろう?」って思うことがあっても、それをぶつけることが出来ないから結局自分で処理しないといけなくなってしまう。「自分がこうだったから、ああなったんだ」って無理やり落ち着かせることも多くて、そのせいで自己嫌悪みたいになっちゃう。冷静ぶってるけど、めっちゃ誇大妄想みたいになってぐちゃぐちゃにループしちゃう時があるんです。そういう気持ちを曲に反映しました。この曲は、レックする日にその時の気持ちと向き合って短時間でバーっと書き上げたんです。だからこそ、感情がしっかり出ているかなって思います。
もっと良くしたい、だから毎日悔しい
——5Leafさんのリリックは、言葉数も多くて精密な印象を受けるんです。前に他のインタビューでお話を伺ったときは、「机に向かってリリックを書いている」とも仰っていたし、真面目に取り組んでいるんだなあ、と。リリックの書き方は変わらず?
変わってないですね。でも、前に比べると、今は買い物や用事でどこかに行くとき、例えば運転中とかも結構いろんなものに目を向けられるようになって、それがリリックのインスピレーションになることが増えました。日常からやっぱり切り取るというか、自分の経験や感じたことをリリックにすることもあって。例えば、私は結構効率を重視して車を運転していて、いつもETCを使うんです。それって自分の性格を表しているところでもある。なので、ETCのレーンを通った時にふとリリックのフレーズが浮かんできて。
——「0」に出てくる描写ですよね。「大事に使うtime、ケチらねーよ抜けるETC」って。
はい。前は全然そんなことなくて。ノートに向かって「今出せるものを全部だそう」みたいに書いていたんです。その姿勢は今も変わってないんですけど、さらに視野が広がったというか。最近は、外に出ようという気持ちが強いです。
——それは、ラッパーとして余裕が出てきたからなのでしょうか?
余裕は全然ないし、今の自分にも満足できていないし、毎日悔しいんです。もっと良くしようと思っているので、「もっともっと」という気持ちから来ているのかも。
——リリックにも「悔しい」という表現がいくつか出てきますよね。
本当に悔しいです。もちろん、どの楽曲に対しても「その時に出せる100%が出せたな」って思うし、どの曲も全部、狙いにいって書いているものなんですけど、「これくらいは絶対に行こう」っていう細かい目標みたいなものがあるんですよね。「これまでの期間に、再生回数がこれくらい回っているといいな」とか。でもなかなか達成できないと「え、何で?」って気持ちになりますし、同じ期間に他のアーティストさんが曲を出して、1日で何十万回再生を叩き出していると「やっぱり悔しい!」って気持ちになりますよね。
——今は全て数字で可視化されてしまうし…… ライブに対しても同様ですか?
「もっとこうすればよかった」って毎回課題が残りますね。
——中でも、満足度が高かったライブはありますか?
本当にないんですよ。(2025年の)POP YOURSやツアーの後半からは、やっとステージを楽しむことができるようになりました。でもライブが終わって、後から動画を見ると「ここはこうすればよかった」って。ライブを通して伝えたいことは明確にあるんですけど、ライブでみんながキャッチしやすい言葉で話す、ということも全然まだまだだなって。
——「23Club」では、ライブに挑む心境など織り交ぜながら「まだ足りない でかい歓声とお前らの期待」ともラップしていますよね。この一年あまりで多くのステージを経験してきた5Leafさんならではの一曲だと感じました。
ツアーはクラブを中心にまわるんですけど、そういう環境だと、(クラブに来ている客)全員が自分を見に来ているわけじゃない。「この大人数の中で、いったい」何人が自分の曲を聴きにきているんだろう?」って気持ちもあるんです。そういうことを考えると、(オーディエンスに対して)「自分のことを知ってもらおうという」という気持ちでいくのか、「カマしに来たぜ」みたいな気持ちでいくのか、そういうところは毎回迷うし、不安になります。ファンの方や会場のお客さんが、ライブの後にメンションしてアップしてくれた動画の中に書いてある言葉ーー例えば「この子、初めて観たけどカッコ良すぎる」とか、そういうところでしか、自分を外側から見ることができないから。
——ラッパー・5Leafとして板についてきたのがまさに2025年だったのでは?生活も変わっただろうし。「hate me」では「声を上げ 今はラッパー」とも言い切っている。
一番は、仕事を辞めたことが結構大きいです。去年の5月に辞めたんですけど、それまではうまく週末の土日を組み合わせたり有給を使ったりしながらスケジュールをこなして。ただ、職場の人は私が音楽活動をしていることは知っていたので、辞める時も明るく送り出してくれました。
——仕事を辞めることを決意した瞬間はどんな感じだったのでしょう?
ツアーの終盤くらい、沖縄でライブをした時に、マネージャーと結構アツく話し込んでいたんです。その時、仕事との両立は結構きついところもあるけど、お金のことも考えなきゃ、って気持ちもあった。でも、ライブのオファーとかも重なっていたし、ここでラップや音楽に対して妥協はしたくない、と思ったんです。「仕事があるから」って余計なことを考えながら、このチャンスを逃すのは絶対に嫌だと思って。それで沖縄から帰った日に、会社に電話して「辞めます」と。
——今は、正真正銘、ラッパーとして生活しているわけですよね。変化はありましたか?
(音楽に)集中できるようになったとは思います。プライベートも充実するから、メンタル的なところやマインドセットみたいなところも、音楽の方に寄せられているなと思います。
——今回のEPもそうですが、コラボやフィーチャリングはとても少ないですよね。DJ RYOWさん名義の「Seikai」ではIFEさんと一緒に参加していましたが
やってみたいなと思うアーティストさんはもちろんたくさんいるんですけど、やっぱり「5leaf」っていう自分の名前でちゃんと知ってもらいたいから、そこまでは自分だけで踏ん張りたいと思っているんです。
——改めて、『En』というタイトルに込めたメッセージを教えてもらえますか?
今のチームのみんなや友達ーー切れちゃった友達もいるんですけど、一人一人の出会いってすごいなって思うし、嫌いなやつと出会ったとしても、それすらも無駄にはならないと思う。そういう縁で、今の自分があるなって思うんです。そういった気持ちが強く込められたタイトルですね。

飽くなき挑戦 & さらなる飛躍へ
——この後の5Leafについて、ある程度計画は決まっていますか?
全然まとまってはいないんですけど、今年はアルバム『bud』とEP『En』を出して、マインドがもっと強くなったり、自分の中でも楽曲の作り方や書き方に関しても良くなったりしているなと思うんです。だから、それをもっと伸ばしていけるようにと思うし、たくさん知ってもらいたい。まずは、好きとか嫌いとかは置いておいて、5leafを知ってもらいたいんです。(自分の地元である)広島にいると、声を掛けてもらうことも増えたんですけど、まだまだもっと色んな人に聴いてほしいですね。
——2025年を振り返ってどうですか?
いろんなことに挑戦できましたね。仕事を辞めたこともそうですし、挑戦に対して今まで以上に、向き合うこともできたし。できることは挑戦しよう!って。それこそ『En』でChakiさんやDJ RYOWさんたちと向き合ったことも大きな挑戦でした。ちなみに、DJ RYOWさんも私もパグを飼っているんですけど、RYOWさんが「パグ友」と呼んでくれて嬉しかったです(笑)。
——2026年1月には、いよいよWWWでのワンマンライブも控えていますよね。
超楽しみですね。細かいところはこれから詰めていくんですけど、どんなライブにするのか考えるのも楽しみだし。今できることを200%くらい出し切りたいです。ワンマンライブって、全員が味方というか、5Leafのことを知ってくれた上で来てくれるわけじゃないですか。なので、いつもよりもっとちゃんと、自分が伝えたいことを届けたいと思っています。持ち帰ってもらうものが多くできたらいいなと思いますね。

EP『En』https://linkco.re/czpTQFu0
5Leaf
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