【プレイリストジャーニー Vol.3】Spotifyバイラルチャートプレイリスト「バイラルトップ50 – 日本」
サブスク/ストリーミング時代の新しい音楽体験“プレイリスト”を巡る「プレイリストジャーニー」へようこそ!
前回のVol.2では、日本のトレンドの楽曲を世界に発信しているSpotifyのプレイリスト「Tokyo Rising」を紹介しました。
そして今回「プレイリストジャーニー」のVol.3は、SNSで話題の楽曲をランキング化したSpotifyのプレイリスト「バイラルトップ50 – 日本」を取り上げます。
それでは、「バイラルトップ50 – 日本」について深堀りしていきましょう。
目次
「バイラルトップ50 – 日本」概要
https://open.spotify.com/playlist/37i9dQZEVXbINTEnbFeb8d
タイトル : バイラルトップ50 – 日本
説明文 : 「SNSで今一番話題の曲(毎日更新)- 日本。」
作成者 : Spotify (spotifycharts)
フォロワー数 : 74,789人 (2021年6月1日時点)
フォロワー数推移 : 1万 – 2017年6月、5万 – 2020年4月
※なお、通常デイリーで20〜50人の幅で増加しているが、2021年1月18日のみ1,000人以上のフォロワー増加が見られる。
曲数 : 50曲
カバーアート : 固定クリエイティブ
更新タイミング : 毎日
メインジャンル : HIP HOP、Alternative、Dance、Rock、Pop、R&B、J-Rap、J-Pop、J-Dance、J-Rock
タイプ : ノンパーソナライズ
類似プレイリスト : 「バイラルトップ50 – グローバル」、「バイラルトップ50 – アメリカ」など
このプレイリスト「バイラルトップ」は日本やアメリカ、イギリスなどの各国と、世界中で話題になっている曲を取り上げるグローバル版があります。
曲順はランキング化しており、日々その順位は変化しています。入る曲はSNSで話題になっている曲がメインですが、そのなかでも比較的新譜だったり、新たに配信を始めたアーティストの曲が追加される傾向にあります。プレイリストは毎日更新され、楽曲数は50曲と決まっています。
チャートランキングの仕組み、アルゴリズムは明らかにされていませんが、ここを見れば現在日本で流行っている曲を知ることができる、そういったプレイリストになっています。
特徴のひとつとして、TikTokで話題になった楽曲がこのプレイリストに多く反映されている傾向があります。TikTokで曲が多くの人に使われたり、注目されるとSpotifyの「バイラルトップ50 – 日本」に入り、またLINE MUSICにチャートインする傾向が近年増えてきているからです。
TikTokからの事例だと優里「ドライフラワー」、Ado「うっせぇわ」、DISH//「猫 ~THE FIRST TAKE ver.~」、Rin音「snow jam」、りりあ。「浮気されたけどまだ好きって曲。」などあげたらキリのないくらいヒット曲を世に送り出しており、そのほとんどが「バイラルトップ50 – 日本」にもチャートインしています。瑛人「香水」、YOASOBI「夜に駆ける」も「バイラルトップ50 – 日本」に入り、その後も大きなヒットを続け、2020年の紅白歌合戦に出場したことも記憶に新しいでしょう。もちろん、TikTok以外にもTwitterやYouTubeなどで話題になっている楽曲もチャートインしています。
もうひとつの特徴としては、SNSで話題になっている曲ということですので、メジャーレーベルからのリリースに限らず、インディペンデントアーティストの楽曲でもSNSで話題になればチャートインする可能性があるということです。2021年5月30日時点の「バイラルトップ50 – 日本」を確認すると、上位にランクインしているKeePの「AM2:00drive(feat. ユエ)」や数ヶ月間連続で選出されている4naの「hazama」などはTuneCore Japanからリリースされているインディペンデント楽曲です。
また、過去の曲でも世の中の現象と紐付き、SNSで話題となり「バイラルトップ50 – 日本」に入ることもあります。Daft Punkが解散したときや星野源が結婚した際にはそれに関連する曲がこのプレイリストに入っていました。
さらに海外のTikTokで日本の過去曲がトレンドとなり、「グローバル バイラルトップ50」に入った事例もあります。それが松原みきの「真夜中のドア/Stay With Me」です。この曲は昨年12月頃に「グローバル バイラルトップ50」で急上昇し、楽曲がTOP3にランクインし、日本初の快挙を果たしました。上記のプレイリストのほか、世界17か国のローカルバイラルチャートにもランクインし、それらの影響により「バイラルトップ50 – 日本」にもランクイン、国内でもリバイバルヒットとなったのです。
毎日更新される「バイラルトップ50 – 日本」はどこよりも早くトレンドの楽曲をキャッチできるプレイリストです。Spotifyをひらいた際はぜひチェックしてみてください。
「バイラルトップ50 – 日本」データ
Spotifyが公開しているAPIを使用して「バイラルトップ50 – 日本」のデータを見てみます。バイラルチャートは毎日更新されているので、あくまで今回のデータ抽出日のみのものなりますが、少なくともここ最近の時期のバイラルトレンドを表す数値になっているとも言えるでしょう。(データ抽出日時 : 2021年6月1日)。
- acousticness
- danceability
- energy
- key
- loudness
- tempo
- valence
- length
※2021年6月3日追記 : 各数値に関してはSpotifyによる指標です。詳細はこちら
上記各項目におけるプレイリスト収録楽曲の数値をグラフ化したので、順番に見ていきます。
※X軸 : 各項目の値 / Y軸 : 曲数
acousticness
acousticness : アコースティック感を示す。1.0に近いほどアコースティック感が高くなる。
danceability
danceability : ダンス感を示す。1.0に近いほどダンス度が高くなる。
energy
energy : 楽曲のエネルギッシュさを示す。速く、ラウドで、ノイジーな楽曲ほど1.0の値に近くなる。
key
key : 楽曲のkeyを示す。
※ 0 = C, 1 = C♯/D♭, 2 = D, 2.5 = Dhalf sharp (quarter tone sharp), 3 = D♯/E♭ [Pitch class]
loudness
loudness : 楽曲の全体的なラウドネス(デシベル[dB])
tempo
tempo : 楽曲の全体的なBPM
valence
valence : 楽曲のポジティブさを示す。1.0に近いほど幸福感があったり陽気なムードの楽曲、0.0に近いほどサッドな雰囲気
length
length : 楽曲の長さ
上記の数値データから2021年6月1日時点の「バイラルトップ50 – 日本」の傾向を見てみると、各項目において中央値の楽曲が多くなっていますが、その中でもテンポが早めである(130BPMあたり)ことと、長さが4分とならび3分の長さのものが多くなっている特徴が見られました。
次回も、日本のSpotify人気プレイリストに迫っていきます。
※参考 : Chartmeric、Spotify Web API
Main illustration by Hikaru Matsubara
API analysis by THE MAGAZINE