2019.10.9
96年生まれ、徳島出身で現在は東京を拠点に活動するアーティスト ORIVA。若くからその才能は評価され、LOW HIGH WHO? PRODUCTIONでの活動を経て、最近はインディペンデントなスタイルでアクティブに活動しており、今年5月には自身を曝け出したアルバム『WOW』をリリース、そして先日9月にはシングル「Stay Gold」を発表。「Stay Gold」は国内外で反響を呼び、Spotify Japanのオフィシャルプレイリストをはじめ、ノルウェー、メキシコ、イタリアのプレイリストでもピックアップされる。さらに、エッジィな才能が集まるササクレクトのYouTubeチャンネルにも取り上げられるなど、海外を見据えた目線の高いスタンスを含め、以前にも増して注目が集まっている。
Who’s NXT : A series of interviews with featured artists
——まず、音楽に興味を持ったきっかけを教えてください。
小さい頃はオカンの影響で宇多田ヒカルを聴いてました。車で「traveling」がずっと流れてたのを覚えてます。それから兄貴の影響で湘南乃風を好きになって、やたらデカい音で「Real Riders」とか「カラス」を流してる小学生でしたね。それから九州男とかCHEHON、FIRE BALLを知ってジャパレゲにのめり込んでいきました。
——自分で音楽をやろうと思ったのは?
高校1年のときに同じクラスで日本語ラップが好きな奴がいたんですよ。そいつのガラケーの裏にKREVAの「挑め」のステッカーが貼ってあって、僕もKREVA好きだったのですぐに仲良くなりました。お互いのウォークマンを交換して僕も日本語ラップを聴き始めて、それからは毎日YouTubeでSEEDAやNORIKIYO、ANARCHYのMVに釘付けでした。半年くらい日本語ラップしか聴かない日々が続いて、何故そうなったかは分からないんですけど「俺もやってみよう」って。
——現在メインに活動している地域やシーンはどういったところになりますか?
18歳の頃から東京で活動しています。シーン…特にないですね。今僕は海外の人達に日本人のラップを届けるようにサバイヴしてるので、国内で売れて有名になりたいと思ってる人達なんかと話が合うわけがない。7年もやってるので知り合いは沢山いますけど、友達は本当に少ないですよ。
——最新作を教えてください。
「Stay Gold」という曲を先日9月26日にリリースしました。この曲は知り合いから「ショートフィルムをコンペに出すから挿入歌を作ってほしい」と言われたので作った曲なんです。自身の体験談と作品の脚本、友人達が居酒屋で話す未練たらしい話を混ぜ合わせて曲にしました。結局そのショートフィルムは色々あって制作が中止になったんですけど、せっかくだし出すことにしました。
人は誰しも赤の他人に愛情を求めるし、それが原因で大きな傷を抱えてしまうこともある。でも、いつかは笑い話になればいいなって。大人になるってそういうことなんじゃないですかね。一生ネチネチ言うのとか、つまんないじゃないですか。だから僕はアートに昇華しました。
ORIVA – Stay Gold
「Stay Gold」 各配信ストア : https://linkco.re/Cuqp52aC
——他に、ORIVAさんを知る上でオススメの作品がありましたらご紹介ください。
半年前に自身初のアルバム『WOW』をリリースしました。このアルバムはバカでスケベな僕そのものですね。ギャングスタラップではないですけど、間違いなく”ワル”な作品。だから「Stay Gold」を聴いて僕を知った人はビックリするだろうし、軽蔑するかもしれない。それでも全然構わないです。物好きな奴が寄ってくれば上出来だと思ってるので。
ORIVA – Rebellion
ORIVA – Code Name Norman
オススメは最後の「Good Morning」ですね。コンセプトアルバムなので全曲を通してから聴いてほしいです。
『WOW』 各配信ストア : https://linkco.re/A2EHBcUf
——ORIVAさんをまだ知らない人に、ご自身の特徴を伝えるなら?
先入観は無しで聴いてほしいです。こんな奴もいるんだ程度でいいかもしれない。僕自身を知ってほしいというより、僕の作った曲を知ってほしい。
——ORIVAさんが影響を受けたアーティストを教えてください。
宇多田ヒカルですね。人の弱さゆえの美しさをいつも感じさせてくれます。「Making Love」と「Passion」、あと「テイク5」とかも好きですね。
——音楽活動にあたって意識していることはありますか?
楽しんでもらう為に曲を作ってる。岸辺露伴じゃないですけど、それ以外の理由はないです。
——そういった意識の中で、リスペクト、あるいは共感するアーティストはいますか?
リスペクトしているアーティストはKaravi Roushiですね。ストリーミングにより音楽そのものが消耗品になりつつあるこの時代に、アルバム『清澄黒河』は3ヶ月も僕を楽しませてくれました。あの作品を超えることが今後の課題です。
もう1人は以前所属していたレーベルの先輩であるKuroyagiさんです。フロウと作家性がズバ抜けていて、国内では3本の指には入るラップスキルの持ち主だと思います。実は今レコーディングのディレクションもして頂いてて、お世話になりっぱなしです。音楽を始めて出会った唯一の先輩です。
——現在の国内の音楽を取り巻く環境やシーンについて何か感じることはありますか?
メジャーがフィールドではない日本人アーティストが本当に音楽で成功したいのなら、今やっていることは本当に正しいのか一旦手を止めて考えるべき。単純に考えて、今の日本でストリーミングサービスを利用しているユーザーのみを相手にしてメイクマニーなんか出来るわけがないんですよね。特に日本のヒップホップシーンは未だに楽曲を公開した後ライブ以外何もしないアーティストが多すぎて、僕としては危機感を感じています。
インディペンデントであるにも関わらず海外のプレイリストに3つも入った僕だからこそこの場を借りて言わせていただきますけど、今の時代大事なのはリリースした直後なんですよ。
——今後の活動の展望や予定は?
今のイケてる定義は”需要のある曲を作ってプレイリストに入ること”なので、その目標に向かって作るのみですね。あと、はやく拠点をSNSからSpotifyにしたい。海外のフェスとかにも出たいですね。超イケてるじゃないですか、そういうの。