「ランデヴー」バイラル1位も獲得!人気急上昇、今最注目のバンド“シャイトープ”はなぜ今の若者に支持されるのか ― 気だるくて甘い濃密な追体験、シャイトープが描く身近な失恋とロマンス

2023.9.1

シャイトープ

TikTokでのバズをきっかけに、現在多くの若者から支持を集めるスリーピースバンド・シャイトープ。2022年、大学時代の友人同士である佐々木想(Vo./Gt.)、ふくながまさき(Ba.)、タカトマン(Dr.)の3人で結成。トープはフランス語でモグラ、シャイな3人がいつも地下のスタジオで練習していたことがバンド名の由来だそう。

結成よりライブハウスを中心にインディペンデントな活動を行う彼ら。結成以降、これまで2022年にリリースの「マーガリン」「部屋」をはじめ、今年2月リリースの「pink」「ミックスジュース」、そして4月に「誘拐」「ランデヴー」、6月に「桃源郷」「タビビト」、8月に「tengoku」「Summer Conte」とコンスタントかつペースを早めながら作品の発表を重ねている。そして、それらの楽曲が口コミレベルから今年TikTokで同時多発的にバズり、一躍複数曲がバイラルする今最も注目のバンドとしてシーンに踊り出た。SNSで話題の楽曲を集めたSpotifyバイラルチャートにもランクイン、2023年8月には同チャートにて「ランデヴー」が1位を記録するなどの快進撃を続けている。

今回、SNSユーザーの若者たちを虜にしているシャイトープの魅力とは一体何なのか。彼らを代表する2曲を通して考察していくことにする。

 
バイラル1位獲得の名曲「ランデヴー」

YouTubeやSNS上で沢山の弾き語り動画がアップロードされ、前述のようにSpotifyバイラルチャートでは1位を獲得した楽曲「ランデヴー」。彗星のごとく現れたシャイトープを語るうえで外すことのできないアンセムだ。

失恋直後の男性目線から描かれている「ランデヴー」。日常を長く過ごしたことによるすれ違いか、はたまた彼女の裏切りかはリスナー自身の経験、もしくは想像に任せるとしよう。

まだどうしようもなく好きなのに一緒に居られない現実を受け入れられず、不可能と分かっていながらも彼女との“ランデヴー”を求めて雨の中走り出す。“まあ退屈よりはマシか”と一度は現実を肯定するも、彼女の私物がなくなった部屋を見て当たり前だと思っていた幸せな日常を思い出してしまう。思い出となっていく彼女を朝の光にみながらまたいつか会えたらという気持ちをそっと胸にしまう。

失恋後のやるせなく諦めきれない男性心理と身近な恋愛がもつ儚くて美しいさまが、佐々木想の甘いヴォーカルと情景をリアルに想像させる共感性の高い歌詞、それを支えるリズム隊たちの安定感のある演奏とのびやかなコーラスが生み出すハーモニーによって端的に表現されたこの楽曲に、今まさに多くの若者たちが魅了されている。

シャイトープ「ランデヴー」
「ランデヴー」はSpotifyのバイラルチャートで見事1位を獲得

 

シャイトープ「ランデヴー」

シャイトープ「ランデヴー」

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