K.E.I「Vacation」がバイラルチャート上位に 令和の恋愛像を描いた歌詞に共感集まる TikTokのカップル動画BGMとして人気
東京を拠点に活動するシンガーソングライター・K.E.Iの楽曲「Vacation」が、SNSでじわじわと話題を集めている。10月4日にデジタルシングルとしてリリースされた同楽曲は、TikTokにて大きなバズに。10月23日にSNSで注目を集める楽曲をランキングするSpotify国内バイラルチャートで6位に初登場すると、以降20日連続のランクインを果たし、Spotify Chartsによると11月11日には2位にまで順位を高めている。
海辺デートに映える甘く真っ直ぐなラブソング
2021年7月からYouTubeでのカバー動画投稿を開始し、2022年1月に初のオリジナル楽曲「FEELINGS (feat. ZELE)」をリリースしたK.E.Iは、トップライナーやサウンドプロデューサーとしても活躍。日本レコード大賞新人賞の受賞経験もあるUNIONEのSAMとJINによるデュオ・J4Mや、R&Bシンガーソングライター・Nozomi Kitayの楽曲制作にも参加するなどして、着実にキャリアを重ねてきた。
彼のソフトな歌声が印象的な「Vacation」は、よく晴れた海岸線でのドライブに映えるような爽やかなミドルナンバー。Utasu Contebleuとの共作で綴られた歌詞では、愛する人と運命をともにしたいという思いが、甘く真っ直ぐな言葉で語られている。10月3日に公開されたMVは、サウンドと歌詞のイメージ通り海辺でのデートを中心に恋人との思い出を振り返る映像となっており、楽曲の描く世界を立体的に浮かび上がらせる。
令和の恋愛像を描いた歌詞に共感
「Vacation」MVのコメント欄には、清水翔太の楽曲を彷彿とさせるとの声も見受けられる。事実、K.E.Iは清水翔太のカバー動画を複数公開しており(「Curtain Call (feat.Taka)」のカバーでは2023年11月現在3万回以上の再生回数を記録している)、その影響は色濃いようだ。一方で、「君が好きな流行りのTune / 歌えるように組んだPlaylist」「たまにはお家デートしよう / 君が見たい流行りのドラマ」といった、まさに令和なデート風景を切り取ったフレーズには、若者らしいフレッシュな感性が滲む。
TikTokでの本楽曲の使用動画を確認してみると、その多くが恋人同士のツーショット動画であることが見て取れるだろう。このようなバズのプロセスは、今夏〜今秋にかけ大きなバイラルヒットを果たしたSugar Goose「Fast」、RKID’z「向日葵」とも重なる。
瑛人「香水」や川崎鷹也「魔法の絨毯」が彼らを音楽シーンの最前線に押し上げたように、思い出の1ピースのBGMにセレクトしたくなるような共感できる歌詞と洒脱なメロディーが、依然としてTikTokヒットの鍵を握り続けているようだ。
(文・サイトウマサヒロ)