Disryインタビュー 「真面目なヤツこそ、この音楽で成功できることを証明したい」バトルでも評価されるスキルフルなラップスタイルで活躍のフィールドを全国へ拡げるラッパー

2019.7.27

地元四国・松山および、現在604クルーとともに拠点をかまえる沖縄に対しローカルへの強い思いを歌いながら、バトルでも評価されるスキルフルなラップスタイルで活躍のフィールドを全国へ拡げる Disry


【Who’s NXT】 Disry

 
About Disry

1991年生まれ、愛媛県松山市溝辺町出身のMC。

2011年に地元のヒップホップPARTY「JUICE」にレギュラー出演スタートし、地元でキャリアを積み続ける。

UMB 2014,2016,2017の愛媛予選王者、UMB春選抜 2016,2017の四国代表。

2017年に沖縄に移住しMAVEL、MuKuRoらが率いる604クルーに合流。その後も変わらぬ強い地元志向を掲げ、”4THCOAST=四国 “の結束を歌った「4THCOAST YELLA」を発表するなど、沖縄から地元および四国へのアンセムを生むとともに全国へ活動のフィールドを拡げている。

 
——Disryさんが最初に音楽に興味を持ったきっかけというのは?

11歳ぐらいの時に、スペースシャワーTVでnobodyknows+の「ススミダス→」を見てラップを知ってからですね。

 
——すぐに自分でも音楽をやろうと思った?

まぁ自分はとにかく捻くれたガキで、人と違うことばかり追いかけてたんですよ。集団生活も本当に苦手で、学校もマジで嫌いで。それで、その11歳の頃に出会ったヒップホップにやられてからは、友人も巻き込んでとにかくDigして聴き漁る日々を過ごしてましたね。

で、17歳の時に、たまたま動画サイトに自作のラップを投稿するカルチャーを見つけたことがきっかけで自分もやってみようということでラップを始めたんです。その時はとにかく何も分からないまま、中古の錆びついたマイクを買って来てパソコンに直挿しでRECする感じで。今思うと、自分の存在を表現できる何かをずっと探していたんだと思います。下手な絵を描いたり文を書いたり。でも一番ラップが体にしっくり来たのを覚えてますね。

それで、始めは遊びだったんですが徐々に熱が入り、気づけば地元(愛媛)さえも離れてここ(沖縄)にいます。

 
——沖縄に拠点を移されたのはどういう経緯だったんですか?

2年前に604の仲間たちに誘われて移った感じですね。今や604の仲間にも「お前は2つ地元と言える場所がある」と言ってもらえてて、とても誇りに思っています。


【Who’s NXT】 Disry

 
——604のみなさんとはどのように知り合われたんでしょうか?

自分と唾奇が2011年頃にTwitterを通じて知り合ったのがきっかけで、唾奇、仙手、ゴーストライムの3人のCrew”阿弥陀”のデモCDを自分に郵送してくれました。で、自分も当時のデモを送って、お互いに「ヤバいですね!」といった感じで意気投合して。沖縄にいつか呼んでくれるという話もしてくれてて、それだったら今自分が企画してる愛媛のPartyに先に呼ぼうと思って、呼んだんです。で、実際会ってみたらぶっ飛んだ奴過ぎて驚きました(笑)。愛媛は保守的な街で、変わってる奴は少ないんで余計に驚いたというか。その後、今度は自分が沖縄で開催のParty「人塵(ヒトバシラ)」に呼んでもらったことで、沖縄のMuKuRoやMAVELをはじめ今の604のメンバーと出会いました。

そして、2015年頃「熱源」というPartyを愛媛で開くときにMuKuRoとMAVELを呼んだんです。その時、MuKuRoから「Partyのタイトル曲があったら面白くない?」って提案されて、それいいねってことで「熱源 feat.MuKuRo,蛇」が出来上がりました。蛇もその時のゲストで、最初は曲には参加しない予定だったんですけど、滞在中に熱源の原型を聴かせたら食らいまくったらしく、もうその日の夜には歌詞を送ってきてくれて。その歌詞の時点で超良かったので、すぐさま彼のも録って、あのバースが足された完成形になりました。

熱源 – Disry,MuKuRo,蛇

 
そこから交流が深くなったMuKuRoに、毎日電話越しにナンパされたんですね。「愛媛で活動するのもいいけど沖縄で一緒にやろうぜ」って感じで。本人は軽いノリだったと思いますが… 誘われた最初の頃は、仕事の関係もあるし「無理無理!」とあしらってたんですが、自分も段々その気になってしまって。地元で音楽を続けて骨を埋めるつもりでしたが、あえて外に出て地元を喧伝する立場に立つのもいいかなと。それで2年前に沖縄に移住したっていう流れです。


【Who’s NXT】 Disry

 
——そういう経緯があったんですね。Disryさんは、最近のリリースですと四国・徳島を拠点とされているのT-STONEさんの「NEW ERA」に客演されていましたね。

「NEW ERA」とその前にリリースしたLeonaldをfeatした「Don’t Worry」は今までの作品以上に自信があって。「NEW ERA」の方は4THCOAST屈指のスキルをもった同士がメッセージを込めながらぶつかったヤバイ化学反応が起きてると思うし、「Don’t Worry」は季節的にもぴったりな”GOLDEN SUMMER”って感じの”C.H.+I.L.L.”な作品に仕上がっていると思います。

 
T-STONE「NEW ERA (feat. Disry)」各配信ストア : https://linkco.re/n0S7Mh1y

 
Disry – Don’t Worry feat.Leonald

 
——これまでの作品では、やはりDisryさんというと地元への思いを歌った曲も多く出されています。

やっぱり「4TH COAST YELLA」は特に思い入れがあります。もともと、「4THCOAST」っていうのは自分を育ててくれた兄貴的存在であるDJ SHUNが10年前に作ったMIX CDのタイトルなんですね。それは、四国のラッパー達の音源をまとめ上げた、島の鍵となる作品で、直訳すると「4つの海岸 = 四国」。自分が沖縄に移住して、客観的に四国を見つめてみた時に四国のシーンがバラバラに感じたんです。でも、今こそあの時のように一致団結して島ごとブチ上げられたら、という思いで「4TH COAST YELLA」を作り上げました。昔はみんな口々に「4THCOAST」って言ってたんです。で、スラングとか好きなんであの時の感じをリバイバルさせたくて。リリースした結果、良い方向に働いたと思います。

Disry – 4THCoast Yella

 
その後、2018年にリリースされたDJ SHUNの新しいローカルアンセムともいえる「E Anthem」にも地元の仲間と参加しました。

【E Anthem】DJ SHUN feat. KT-Voice, Michoo, YSK, Royce, Disry & SiVA

 
——現在、楽曲の制作はどのように行われていますか?

制作は那覇市の自宅スタジオでやってます。愛媛にいた頃も、もともと実家の一室を改造してREC部屋として使用していたりもしたんで、自分の制作は自分でじっくりやれる環境じゃないと納得がいかないんですよね。だから、移住後すぐRECブースを設計して、1部屋を丸々音楽部屋にしました。音を録る専門的なことにすごく詳しいわけじゃないんですけど、自分なりに手を加えた録音環境がけっこう好評で、仲間がRECしに来てくれることもあります。


Recブースに書かれた仲間たちのサイン

 
——Disryさんがビートを選ぶ基準のようなものはありますか?

流行りでも王道でもハマれば何でも好きですが、NYのヒップホップに強く影響を受けているので、ヒップホップ然としているイケてるビートが好きです。その琴線に触れるものを自然と選んでいます。あの頃カッコいいと思ったヒップホップを今の時代に自分の形で体現して、色々な世代に聴いてもらえたらと思ってます。

 
——ちなみにお気に入りのビートメーカーはいらっしゃいますか?

愛媛ならSTRELA BEATS、弍itroのビートが最高で、提供してもらっていますね。

 
——リリックを書かれる際は、どういったことから着想を得ますか?

いつも頭の中で流行るトピックがあるんです。例えば未発表曲の「UnderPressure」というのがあるんですけど、「こういう出来事はアンダープレッシャーかかってるな」とか、「あの日もアンダープレッシャーに負けちゃったな」とか。プレッシャーの中で生きる日々でふと思いついた単語だったんですが、調べると同タイトルの名曲も過去にあったりして。そういう風に体験に基づいて歌詞をぼんやり考えて、フィーリングの合うビートと出会えたときにSpitして仕上げています。

 
——音楽活動において、Disryさん自身は自分のどういったところが特徴的だと思われますか?

うーん、色々と言いたいところですけど、まずは楽曲を聴いてもらって、それで聴いてくれた人が自分で判断してくれればいいかな。


【Who’s NXT】 Disry

 
——音楽活動のスタンスとしてはどういったことを意識されていますか?

多くのラッパーが「真面目なヤツがバカを見る」といったことを歌っていますけど、ほんとうに数え切れないほどバカを見て来たので、それはマジであってると思うんですよね。だからこそ、真面目なヤツこそこの音楽で成功できることを証明したいです。

あと、音楽活動を良いものにするためのヒントは生活の全てに転がっていると思うので、常にアンテナを立てて楽しく生きています。愛媛はとても田舎で保守的な土地だったこともあって、沖縄の仲間は破天荒で活動的で刺激の絶えない日々です。でも、愛媛にいたからこそ沖縄の良さがわかるし、逆もまた然りで。両方の地元が好きなので、ローカリズムは自分の音楽の中でも一番重要な要素です。

基本的な部分では、やっぱり初心と感謝は常に忘れないように心がけています。


【Who’s NXT】 Disry

 
——今後の活動の展望は?

音楽のみならず、アパレルからも地元を盛り上げるべく「4TH COAST WEAR」を展開しています。四国内外問わずローカルを愛す人に届けていきたいので、そちらもぜひチェックしてもらえればと思います。


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4TH COAST WEAR

 

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