ANTIC インタビュー 「音楽は自分にとって呼吸と同じ、毎日少しずつでも必ず制作する」
ターンテーブリストとしても確かなスキルとキャリアを持つビートメイカー ANTIC。エモーショナルかつドープなトラップサウンドをベースに、昨年末からは自身の作品を本格的にリリース。また、ラッパーのvalkneeとも共作を行い、近年その動きはよりアクティブになっている。
About : ANTIC
Beatmaker / Turntablist
神奈川県出身、38歳。
近年はTRAPベースのビートメイカーとして活動。
また、スクラッチやジャグリングをプレイに盛り込んだDJとしても活動し、自身の作品に関してはミックス、マスタリングも全て自分で手がけています。
——キャリアスタートのきっかけ
中学生の時に深夜にテレビでたまたま観たスチャダラパーのライブに刺激を受け、すぐに家にあった父親のレコードプレイヤーでスクラッチの真似事を始めました。その後、必死で情報を集めDJ機材やサンプラー等の音楽制作機材を購入しました。
——ターニングポイント
一つ目は2018年に自分名義でリリースした1stシングル「Dreamin’」が完成した時です。キャリア自体は長いですがこの曲で初めて自分で表現したかった音を形にすることができ、初めて自分の音楽を愛せるようになりました。
「Dreamin’」 各配信ストア : https://linkco.re/eAXhMp5b
二つ目はラッパーのvalkneeとの共同制作とライブ活動を開始したことです。お互い得意な部分を信頼して任せあっているので、とにかく話も作業も早いですし何よりものすごいペースで作品が形になっていくのが日々本当に嬉しいです。
——最新作
ANTIC – Dreamin’
valknee + ANTIC – 人生最高のSSS
——キャリア当初の制作環境
AKAIのMPC2000というサンプラーで、自宅にあった父親のROCKや和モノのレコードなどをサンプリングしてHIPHOPのビート制作をしていました。
——現在の制作環境
ベースは自宅のDJブース兼スタジオですが、近年はシンプルな環境でどこでも作業するということを目標にしているので、常にMacBookProとイヤホンを持ち歩いて会社でもカフェでも居酒屋でも、隙があればどこでも制作しています。
——メインの機材
メイン機材としては基本MacBook Pro 2018と、インターフェイスにはRANEのDJミキサー SEVENTY-TWOを使用しています。
DAWはAbleton Live 9です。
最近はMacBook ProとApple純正イヤホン(iPhone付属)での作業が9割を占めています。
——モニター環境
Apple純正イヤホン(iPhone付属)でビートメイクからマスタリングまでほぼ全ての作業を完結しています。iPhoneに純正イヤホンで音楽を聴く人が多いと思うので、この環境で問題ないと判断できれば良いのかなと思っています。あと純粋にあのくらいの音が心地よいというのもあります。
——使用音源
最近はSpliceのサンプル素材をあらゆる用途で多用しています。イメージを伝えるためのラフスケッチに使ったり、メロディを弾く際の参考にしたりと作業効率が劇的に向上しました。基本的には弾き直したり音を足す場合がほとんどですが、サンプリング世代的な感覚であえてほぼそのまま使うこともあります。
——使用プラグイン
プラグインシンセはSERUM、RAZOR、iris2がメインです。ミックスやマスタリングにはiZotope製品全般を必ず使用しています。自分でビートメイクからミックス、マスタリングまで全部行うので、AI技術である程度のところまで仕上げてくれることで大幅に時間を削減でき、制作に集中できるので大変助かっています。
——ビートメイクのプロセス
頭に浮かんだイメージやアイディアをiPhoneにメモとして残したりして、それをもとに毎日仕事の昼休み時間や出先での空き時間に一気にビートを組んでいます。ミックスやマスタリング作業がある時は並行して作業を行います。
ビートメイクでは、ほとんどの場合まずメロディから作っていきます。メロディを納得いくまで弾いたり、Spliceからサンプルループを持ってきてひたすらエディットしたりと、その時の気分であまりこだわらずになんでもやります。ドラムはとりあえずサンプルループを使って曲を仕上げる時にしっかりと組み立てます。
昔からずっとスクラッチが好きなので、仕上げた仮ビートの上でひたすらスクラッチの練習をして乗れるビートかどうかの確認をすることも多いです。
——ビートメイクポリシー
音楽は自分にとって呼吸と同じようなものなので、とにかく毎日少しずつでも必ず制作をすることを心がけています。その中で自分自身から滲み出てくる音を素直に受け入れ、どのように曲として昇華していくかをひたすら試行錯誤しています。
制作をしていく中でこれはヤバいと思えるスイッチが入る瞬間があるので、少しでもそのチャンスに多く出会いたくて毎日取り組んでいます。
人生色々ありますが止まったら死ぬと思って、何があっても日々作り続けるのみです。
——最も影響を受けたプロデューサー/ビートメイカー
世界のDJ KRUSH。
DJとしてもビートメイカーとしてもずっと一番尊敬しているし、いまだに進化している姿に常に影響を受け続けています。ビートメイクもDJも自分にしかできないことをずっと探求する姿勢から受けた影響は言葉にできないくらい大きいです。
——影響を受けた楽曲
IC3PEAK – THIS WORLD IS SICK
自分が好きな要素しかない曲です。
Eprom & G Jones – Daemon Veil
自分的に最強のビートメイカーEPROM。聴くといつも刺激と制作意欲を貰えます。とにかく全曲最高なので最新作を。昔からEPROMの作品はDJで必ずプレイしています。
——My favorite works / 自分の作品からのお気に入り
ANTIC – DREAMIN’
自分名義で初めて出したシングルです。ドリーミーインストトラップです。
ANTIC – Emotional
自分名義での2ndシングルです。当時の気持ちをぶつけた曲です。個人的にとても思い入れのある曲です。
valknee + ANTIC – 人生最高のSSS
valkneeのラップ、自分のビート、𝒉𝒐𝒓𝒊𝒌𝒊𝒓𝒊𝒙さんのMV、全てが合わさって完全にオリジナルな世界観を表現できたと思っています。渡したビートに即valkneeからこのラップが乗って帰ってきた時に本当に鳥肌が立ちました。自信作です。
valknee + ANTIC – 悪夢
お互い名曲と言い合うくらい好きな曲です。いまだに毎日のように聴いてしまいます。
——Message
まずは10月にvalknee + ANTICでの2nd EPのリリースを控えています。
その後に若いラッパーの子達との共作EPやビート提供など、色々とリリースが続く予定です。敏腕スクラッチャーでありかわいい部下であるSHUとのユニットHUMANSHAPEでのビートアルバムの制作や、まだ世に出ていないシンガーとのユニットでのEPなど2020年に向けて止まらず動いていきます。
あわせて来年はDJバトルにも積極的に挑戦していこうと思っています。
valknee + ANTICの1MC1DJのライブも良い感じに仕上がってきているので機会があればぜひ観にきていただきたいです。
ANTIC
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