sleepyhead インタビュー 止まらない変化と進化、武瑠が体現するインスタ/ストリーミング時代の新しいアーティストのあり方

インタビュー
2019.1.30
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sleepyhead武瑠

昨年末に、早くも2nd EP『meltbeat』(3月13日リリース)をアナウンスした武瑠のソロプロジェクト・sleepyhead。新作『meltbeat』では、挫折を乗り越え制作された1st Full Album『DRIPPING』、SKY-HIをはじめ多様なアーティストとコラボレートした1st EP『NIGHTMARE SWAP』に続き、スピーディーに進化していくsleepyheadのネクストフェーズがパッケージングされた、みずみずしくもエッジの効いたミクスチャーロックサウンドに仕上がっているという。それにともない、全国8都市10公演を行う初の全国ツアー“sleepyhead LIVE TOUR 2019 meltbeat”も3月17日からスタート。今回のリリースにあたっても、様々なアプローチからの体験がファンに用意されているようだ。
インディペンデントながらそのアーティストスケールは加速度的に増しており、音楽に軸を置きつつも、ファッションブランドをはじめ非常に多岐に渡る展開で話題を集め続けている。ジャンルやスタンスは違えど、多くのインディペンデントなアーティストにとっても参考になるであろうその活動スタイルや考えについて、改めて武瑠に話をきいた。

 

 

 

ソロ活動の手応え

——sleepyheadとして活動をスタートされてから、『DRIPPING』、『NIGHTMARE SWAP』と2つの作品をリリースされて、そして、それらに伴なうツアーやライブを経た現在(取材時は2018年11月後半)の手応えはいかがでしょうか?

ジャンルに属して活動していたバンド時代からソロになって、縛られない音楽性になっていく中で、これまでの自分のキャリアからすると「変わるスピードが速すぎて、ファンやリスナーがついてこれないんじゃないか」ってまわりからも言われることが多かったんです。バンドのボーカルがソロにシフトすると、その度にファンが半分ぐらいになるっていうデータも実際あって。そういう部分もあり、バンドが終わってから改めて音楽をやろうってなかなか決断できなかったんですけど、だんだん「自分の中に思い浮かぶ表現をそのままやればいいんだ」って思えるようになって。『NIGHTMARE SWAP』リリース後の2回目のツアーでは、加速度的に音楽性も変化しているし、お客さんに対して「1回目は観に来てくれだけど、こんなに早く変化しているし、果たしてもう一度きてくれるんだろうか」っていう不安はかなりありました。でもいざフタを開けてみると、予想以上にみんなその動きについてきてくれて。もちろん、以前の僕のスタイルを求めていた一部の人は離れてしまったかもしれないけど、それを上回るぐらい新しいファンも増えていて。そこまで希望的観測はしていなかったんですけど、予想を上回る動きになっていて。だから、改めて引き続き挑戦していけるなという手応えを感じました。

 

 
——ファンの求めるものにとどまることなく、アーティストとしてスピーディーにスタイルを変化させるというのはチャレンジグですよね。

そこは相当危険な賭けというか。今の時代あまりみんなが選ばない道を選んでいるのかなとは思います。

——そのように、武瑠さんは追いかけるのが大変なぐらい次々に新しい動きをされています。

今、僕の活動ってわざとスタッフを置かずに、ファンクラブに“エージェント”というカタチでファンのみんなに登録してもらって、僕の活動にともなう作業を一緒に手伝ってもらうっていう仕組みにしてるんです。期間の区切りがないクラウドファンディングに近いかな。例えば、先日はライブのセットの背景を一緒に作るっていうワークショップを実施したり。

——一緒に作ることでファンとのエンゲージメントはすごく高まるでしょうね。

そうですね。あと薄利多売なビジネスモデルは自分にあまり向いてないと思っていて。だから、ターゲットを絞りながら、自分の得意なところに特化しています。例えばライブを一つ作りあげるとしたら、それに連動した服を着ることができたり、背景のセットの一部が持って帰れたり。そういう得意なところを活かしながら、違う角度からの体験をファンに提供したいなと思って。


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「ライフスタイルを掛け算で楽しめるような体験を」

——武瑠さんの活動は、そのように深く濃い部分があるので、どうしても「説明が必要になってしまう」ところが弱点でもあると以前おっしゃっていましたよね。裏を返せば、説明を伴うけれども、強みとなる“アイデア脳”をお持ちだということも。

だから、僕はテレビの尺には向いてないなっていうのはバンド時代からずっと思っていて。テレビって一瞬でわかりやすいものが求められるじゃないですか。でも僕の本来の表現はかなり入り組んだものだったりするし、今はキャッチコピーとして「3D音楽」っていうのをかかげてやってるんですけど、やはりそのひとことじゃもちろん伝わらないんですよね。そこは自覚もしていて。バンド時代は、テレビ的な分かりやすさを求められることもあったんで、本来の自分のクリエイティビティを殺さなきゃいけない場面も多かったんですけど、ソロになってからはふっきれたというか。「3D音楽」っていう言葉を耳にした時に、よく意味がわからなくても「それってどういうことだろう?」ってちゃんと興味関心を持ってもらえるような人だけをターゲットにしていこうと。

——ただ、武瑠さんの表現活動って、一度興味を持ったらもっと知りたくなるような魅力がありますよね。

そういうところを目指してはいるんですけど、コア層を狙う音楽性だと“依存”になってしまうケースが多いんですよね。僕の場合は依存というより、自分の活動に関わることで音楽だけじゃないクリエイティブやカルチャー、ライフスタイルを掛け算で楽しめるようなものにしたいと思っているんです。そういった意味で「3D音楽」と言っています。

 

広がる表現者としての幅

——そういう幅広さの部分で 「もはやミュージシャンじゃなくてもいい」 ともおっしゃっていましたが。

そうですね。自分が作曲者として必要じゃなければ、そのタイミングでは曲は書かないという判断もありだし。他の方のプロデュース案件も受け始めていたり、あくまでsleepyheadの今にあうのであれば自分が手がける、といったスタンスです。

——前作『DRIPPING』では作詞作曲を全て自分で手がけられていて、『NIGHTMARE SWAP』では様々な方と共作されていましたが、その対比のなかで気づいた点などありましたか?

自分の得意なところとそうじゃないところを改めて見直せたっていうのが大きかったですね。具体的にいうと、ラップをするにしても強くするよりは弱くした方が自分に向いてると思ったし、トラックに馴染むような声にした方が良いグルーヴが出るとか、そういったこれから意識するべきストロングポイントとウィークポイントを見つめ直せたのが良かったです。

——作曲のスキルも磨かれて、曲が言葉についてきたということもおっしゃっていました。

昔は言葉に頼っていた部分が多かったんです。曲を作るときは、その曲のテーマとなるワードを考えて、そこから派生させて曲を作っていたんですけど、いまは言葉が思い浮かばなくても音だけである程度まで完成させることができるようになったし、そこから言葉をのせる作り方ができるようになってきました。

——トラックにリリックをのせるという点で、ヒップホップのアプローチを意識されたりもしますか?

実際、ヒップホップに近い作曲の方法もやってますね。好きな曲のコードを調べて、そのコードにメロディをつけて歌詞を書いてから、アレンジャーにアレンジし直してもらうこともあるので。

——前作の 「アトノマツリデ」ではPARKGOLFさんをアレンジャーに迎えられていたり、武瑠さんはジャンルこだわらずエッジの効いたクリエイターを起用されていますよね。

基本的にはSNSで気になったら調べてみて、作品を聴いて良いなと思ったら連絡したりしてます。

 

 

 

 

自らに最適化した活動スタイル

——また、インディペンデントで活動しているアーティストの中でも、武瑠さんくらいの規模でやられてる方はあまり多くないですよね。

バンド時代、アイデアはどんどん生まれるんですけど、企画書まで作って提案しても通らないことがすごく多かったんです。それで、なんでだろうと思ってたら、レーベルの決定権のある人までそもそも話が届いていなかったりして。そういうことを何度も経験して、音楽に関わるプロセスって不透明だとすごく感じていて。

僕は服も作ってるんですけど、服の世界って買ってくれる人に商品が届くまでの流れがはっきりしているんですよ。余計な中間業者的な人があまりいなくて。だからすごくやりやすいんですけど、音楽業界ってその辺りがよくみえなくて。自分のクリエイティブに対しての予算の組み方の根拠も不明確だったし、実際動いてない人たちが打ち合わせに入ってたり。「なんでこの人はここにいるんだろう?」みたいな(苦笑)。

なので、自分の活動において一度そこを整理したくて。まわりのみんなに期待するっていうのはもう諦めて、自分が信頼できる人とだけやっていきたいなと。ソロをやる前は、物理的にも規模的に絶対無理だって言われてたんですけど、いざ実際に自分の手を動かしてやっていく中で、自分でできることと誰かにお願いしないとできないことがはっきり理解できましたし。だから、まだ試行錯誤していますけど、楽曲の配信やプロモーションは自分でやって、中間業者にかかるコストをカットしながら、その浮いた分で映像のクオリティを上げることに投資したりしています。僕の表現活動において、映像のクオリティはもっとも重要だと思っているので。

 
——表現のテーマとされている “上質な闇” もミュージックビデオが最もよく表すことができる?

僕の場合はミュージックビデオでの表現が本質だと考えていて、例えばストリーミングでの音楽配信とかは、ミュージックビデオを知ってもらうための一つの手段ぐらいの意識でいます。

——そのように、どこにフォーカスするべきか、いわゆる“選択と集中”においても、武瑠さんは時代の流れを読むセンスが長けているイメージがあります。

僕は完全に文系なんで、ストーリーを作るのは得意なんです。数字やビジネス的な部分は、それを補足するために、仕方なくやってるなといつも思ってて。そもそもビジネス脳じゃないですし、ビジネス的なことがあんまり好きじゃないので。なので発想としては、ビジネス的には全然NGで、みんながそこまでお金をかけてこだわらないことがあったとしても、それが僕の表現したいことだったら逆にお金をかけて徹底的に凝るし、じゃあその予算を得るために仕方なくマネタイズの部分を考えるという感じですね。

——プロモーションやマーケティングは、バンド時代に学んだことが活きていますか?

バンド時代は自分がプロデューサー的なポジションだったんで、マーケティングについてはずっと考えていましたね。でも今の方が、そういったこととは距離を置いてるかもしれないです。一旦無視しようみたいな(笑)。マーケティング自体はある程度分かっていても、いわゆる日本の音楽業界での作法みたいなものがもう見えてしまっている分、そこまでしてやりたくないなという感じがあって。

——音楽の価値も変わってきていますし、一旦はこれまでの枠組みはスルーしようと。

昔から感じていたのが、音楽って極端に言ったら、適当にボイスメモで録ったものも一流スタジオで予算をかけて作ったものも基本的な価格は同じじゃないですか。服の場合は良い生地を使って原価がかかったとしたら、単価をあげることもできる。高価な商品に手が届かなくても、そのブランドが好きな人にはTシャツを用意したり、ラインで分けることもできる。そういうことが音楽だと難しいですよね。だから、アパレルやファッションも手がけている人間の感覚として、音楽はもっと付加価値の部分をしっかり考えて提供したいなっていうのが今のテーマでもあります。

——そこは以前おっしゃっていた、「多数の観客が集まるライブを一回やるよりも、少なくても濃い観客が集まるライブを複数回やる」という部分につながりますね。

絵の場合だと、美術的な絵画を所有できるのは一人だけですけど、新聞のマンガはとても多くの人が手にしますよね。それってどっちがすごいかっていう話でもないと思ってて。でも、今までの音楽ってそれが勝手にランク付けされて、“すごさ”っていう物差しに関して、ある種洗脳されているところがあるなと。そういう意味でも、個人的に“ミュージシャン”ってもう名乗りたくないなっていうフェーズに入ってきてて。まぁ、例えばオリコンのランキングにもうみんな若干興味を失い始めている流れとかは、僕のような動きには追い風かもしれないですけどね。


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活動領域に応じたスタッフィング

——クリエイティブに関してこれまで武瑠さんは、音楽はもちろん、デザイナー、小説、映像、絵、服など表現者として様々なことをやられてきたと思うんですけど、それを実現させるために避けられない、いわゆるビジネス的なところで考えていることはありますか?

近いことを考えている方もいるかもしれないんですけど、例えば、音楽メディア、FCを手がける企業、ディストリビューション企業など、あるアーティストの音楽活動に関わる関係各所それぞれに権利を少しずつ渡して、全員が連動して作り上げる音楽プロジェクトみたいなものができたら本当は一番やりやすいのかなとは思いますね。従来のようにマネージメント1箇所で管理するというカタチではなく。実際、マネージメントの担当のスタッフがやめてしまった為に活動の全機能が停止してしまったという経験もありましたし。

アーティスト活動に基本的に必要な音源制作とライブはアーティスト自身でできるという前提の上で、それぞれの関係者がそのアーティストに投資して、そのアーティストがスケールすれば、その関係者全員にとってそのアーティストを手がけたことが実績になるというような。そういう関わり方のほうが今の時代っぽいんじゃないかなって。点と点でつながるというか。

——意識されていないかもしれませんが、武瑠さんはスタートアップの経営者の方と思考が似てるなと感じます。

色々なことで、純粋にもっとシンプルにすればいいのになとは思いますね。著作権に関してもそうだし、他の人が新しく参入できないようにわざとハードル上げてるんじゃないの?っていう感覚はあります。

——また、国内でも海外のようにアーティストがエージェントを雇う流れは大きくなると思いますか?

ただ、現状そのエージェントがアーティストにどこまで全力でコミットしてくれるのかなって考えたら不安が残りますよね。そのエージェントがすごいコネクションを持っていたとしても、果たしてそれをどこまで自分のために使ってくれるんだろうかとか。その辺のメリット、デメリットが実際海外の現場でどうなっているかはすごく気になります。

僕の場合、10年前はマネージメントって一蓮托生っていう感覚しか想像できていなかったし、全部信用して預けてたんで、そこが止まると何も動かなくなるっていう怖さも経験しました。あと、当時自分の動きが多岐に渡り複雑すぎて、今思えばマネージャー1人で把握できるような量ではなかったなと。若いときは「何で把握してもらえないんだろう?」ってずっとジレンマを感じてたんですけど、今ソロになって俯瞰して考えてみると、一人のスタッフにそこまでキャパシティを求めるのは無理なんだなって。そうなるとやっぱりマネジメント1箇所に依存するやり方は危ないし、じゃあ表現活動のそれぞれの領域を分けた方がいいなって気付きましたね。

——効率とリスクの両方の観点からも分散させたほうがいいと。

人を嫌いになりたくもないですからね。雇ったのに、「できない」って言われるとストレスですし(苦笑)。だったら最初から“これしかやらない人”って決めてお願いしようかなと。

 

「無意識に仕組みや構造を考えるのが好き」

——武瑠さんが、色々なアイデアをどうやって思いついているのかも気になります。

うーん、自分でもわかんないんですよね(笑)。なんか無意識に仕組みや構造を考えるのが好きみたいで。あ、でも最近A4Aの代表の東市篤憲さんとお話した時に、東市さんが「子供の頃から、とにかく目につくものから何かを思いつくようにするっていうゲームをしてた」っておっしゃってて、まさにそれを僕もやってたんですよ。その時はなんか恥ずかしいから「僕もやってました」って言わなかったんですけど(笑)。

——はからずも同じ思考トレーニングをしていたと。

小学生の時に、誰かがそういう発想の訓練をやってるっていうのを本か何かで読んだのがきっかけで、子供のころはそれをずっとやってましたね。だから、僕のアイデアや発想の原点はそこだと思います。

——それで閃きやアイデアのスキルが磨かれたんですね。

最近は少し数字的なことを考えすぎていて、発想力が鈍くなってる気がするのが悩みです。前は、純粋に「何が面白いんだろう」っていうことを、数字のことなんか関係なしに延々考えていました。最近はロジックの割合が少し増えちゃったかもしれないです。


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音楽フォーマットの変化

——そういった中で、武瑠さんが面白いなと思う音楽の動きなどはありますか?

もう音楽のフォーマットがアルバムじゃなくなってきてるなっていうのは感じますね。若い子はもうプレイリストで音楽聴いてるだろうなって。実際僕も曲がいいなと思ったアーティストでもアルバム全てを聴くことは減ってきていますし。この流れはちょっと怖い反面、面白いところだなとも思います。

あと、本当にストリーミングサービスによって国内と海外との音楽の垣根がなくなってきてますよね。洋楽、邦楽、メジャー、インディー関係なく、全部をフラットに探すことができるし、そこではチャートよりもやっぱりプレイリストの方が大事になってきてると思います。

——プレイリストに入ることによって再生回数が伸びたり、活動の幅が広がる事例が国内からも出はじめていますが、武瑠さんご自身は海外への展開に関してはどうお考えですか?

時代が変わってきているんで下火になった感じもありますけど、服と一緒にっていうのは貫いていきたいなとは思ってます。あと今のプレイリストからの展開でいうと、日本語詞っていうのはけっこう不利なんじゃないかなと。自分の想いや世界観を日本語で歌詞にちゃんと入れるタイプのアーティストはちょっと難しい部分もあるかもしれない。だから、僕の場合はカルチャーとか、そういった部分を活かした方が海外展開するとしたらありかもしれないかな。

 

インスタが変えたトレンドのスピード

——カルチャーのトレンドの部分はどう見られていますか? 例えばファッションでいうと。

服に関しては、作っている立場からすると、ここ数年は完全に飽和状態に入っていますよね。デザイナーのあいだでは、流行っているものはわかりやすいんだけど、それはイコール何も流行っていないっていうことが言われてて。やっぱりインスタの普及によって流行りが広まる速度がめちゃめちゃ上がったんですよね。ロスに行くと現地の流行ってるものと日本で流行っているものが全く一緒で、もう時差がないなって本当に実感します。

個人的に見てる感じだと、エーサップ・ロッキーやカニエ・ウェストが着た服を次にK-POPアーティストが着て、それから日本のアーティストが着て、日本の若者のあいだで流行るっていう流れがここ5年くらいあったと思うんですけど、その時差がなくなりましたよね。ケンドリック・ラマーが着た瞬間に、もうその服を日本の子が着てるみたいな(笑)。ファッションにおいて、日本での遅れがなくなったっていうのがけっこう僕の中で衝撃で。

インスタって、はじめてみんなが同じSNSを使ってる気がするんです。映像や写真における、今の時代の“絶対正義”みたいな。だから、もうめっちゃわかりやすいんですよ。「コレクション発表されました、はい、来年はGUCCIなんだな」みたいな(笑)。分かりやすすぎる感じにもなってるなと。そう考えると、服が好きな人はみんな飽きてる部分もあるだろうから、今むしろ日本のブランドが息を吹き返してる兆しはありますね。ストリートだと、ドメスティックな違うカルチャーのものが求められはじめている気がします。多分、二年後とかにはスターブランドが日本から出てくるんじゃないかな。CHRISTIAN DADAが日本から世界に出ていったように。

——そのようにInstagramで世の流れが均一化されていく動きについては、どのように感じていらっしゃいますか?

時代によってメインのメディアが変わっているだけだと思うんです。例えば小学校の時って、学校に行って「昨日のテレビのあれ見た?」っていうとだいたい通じたじゃないですか。あれが今はインスタになっているだけで。俯瞰で見ると、ここ数十年はそういうメディアは常に存在していたと思うし。そういうものがあることを前提に、自分がどう表現するかだけかなと思いますね。


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これからの時代の音楽活動

——普段からそのように俯瞰でフラットな視点は意識されていますか?

そうかもしれないですね。主観で見るとやっぱりイラつくこともあるじゃないですか(笑)。「なんで売れようとしたらここに属さなきゃいけないんだろう」とか。じゃあ属することがイヤだったら難しいって分かってても自分のやりたいようにカウンターで戦うしかなくて、そういう「イラつき」を作品にすればいいし。それが出来ないなら、嫌々ながら属するしかない。そういうことも俯瞰でみると、結局どっちかを選ぶしかない。

——インディペンデントで活動するにあたって、これからもっと活動の規模を大きくしていきたいアーティストへ何かアドバイスをするとしたら?

いやいや、僕もまだ全部勉強しながらやってるんで、そんなことを言える立場じゃないです。でも、自分を振り返って感じることは、僕が今18歳ぐらいで音楽をはじめるとしたら、絶対音楽だけをメインにはしないと思います。何かのクリエイティブとあわせたものしかやらないでしょうね。表現したい音楽から派生したアプリのゲームを作るとか。まずは構造の部分からアプローチすると思います。「あのフェスにヘッドライナーとして出たい!」みたいな明確な目標があるならまた違ってくると思うんですけどね。


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