Hi Link Channel インタビュー | 中国最新の“ New Blood”を体現する2人組

インタビュー
2025.4.25
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中国最大級の音楽フェス「STRAWBERRY MUSIC FESTIVAL」も手がける中国の大手音楽エンタテインメント企業モダンスカイの新人発掘プロジェクト「YOUNG BLOOD New Blood Project」とTuneCore Japanがタッグを組み、昨秋にオーディション企画を開催。そこで見事選出され、先日来日し東京のステージに立ったのがHi Link Channelだ。ボーカル/ギターの都日昭日格图とリードギターの李青云からなる2ピースバンドのHi Link Channelは、北京を拠点に活動しており、インディーロックにエレクトロを融合させた新鋭バンド。しかしながら、メンバーそれぞれが音楽プロデューサーとして本国で確かなキャリアを持っており、今後のさらなる活躍に期待が集まっている。

 
 
初来日、初海外公演

今回、初来日で初めての日本でのライブにも関わらず、Hi Link Channelは確かな手応えを感じていた。

「一言で言うとパーフェクトでした。オーディエンスも初めて見る僕らに対して熱いリアクションをしてくれましたし、日本のリスナーにアピールできたと思います。同じ東アジアという中で、音楽に関する何かコアのような部分が似ているかもしれないというのも感じました」

公演後、SNSでは彼らのパフォーマンスを絶賛する書き込みも相次ぎ、Hi Link Channelの持つ実力が確かなものであることが感じられた。普段は中国で音楽活動を行う中、日本の整備されたライブ環境にも驚いたようだ。

「ライブハウスのスタッフさんと特別なコミュニケーションをとったわけでもないのに、事前にテクニカルライダーを渡しただけで、出番になると全てが完璧に整えられている状態というのに驚きました。音響もそうですし、スタッフの方が曲にあわせてライティングなども調整されているのも感動しました」

 
確かな音楽キャリアを持つ2人

今回、数百組のアーティストから選抜された彼らは、同オーディション企画を偶然見つけて応募したという。彼らにとっても海外での公演は魅力的であり、選ばれた時は2人で非常に喜んだとのこと。そもそもHi Link Channelは、前出のようにキャリアのある2人によって2024年の春に活動開始。2人とも中国で数少ないポップミュージックや楽器演奏、現代音楽をメインに教える北京現代音楽学院の卒業生だが、学生時代はお互いを知らなかった。卒業後、それぞれが楽曲提供やプロデューサーとして活動を続ける中、2012年、音楽をテーマにした映画のキャスティングで出会う。

「バンドをストーリーにした映画で、2人ともそのバンドのメンバーを演じたんです。映画のサウンドトラックとメインテーマの制作も担当しました。そこではお互いに才能を感じつつ、具体的な動きはなかったのですが連絡はとりあっていて、そして数年前にたまたまもう一度会う機会がありHi Link Channelが始動しました」

グルーヴィーなリフと叙情的なメロディ、そしてダイナミックでコントラストの効いた構成やアレンジはHi Link Channelサウンドの特徴と言えるだろう。

「こういった音楽スタイル、サウンドにしようと具体的に話し合ったことは一度もないんです。2人でギターを持ち寄って自然に生まれたのがHi Link Channelの音楽なんです」

 
欧米の音楽をアジア人ならではのフィルターを通して昇華

幼少期にはマイケル・ジャクソンから影響を受けたというボーカル/ギターの都日昭日格图。それから、ガンズ・アンド・ローゼズやグリーン・デイ、X JAPANなどロックに夢中になった少年期を送り、徐々にエレクトロなアーティストに傾倒していった。一方、リードギターの李青云は、より哀愁を帯びた音楽やアーティストからの影響を受けており、最も好むのはレディオヘッドだという。それは、2人の性格にも現れており、外交的な都日昭日格图に対し、物静かな李青云という組み合わせは、まさに陰と陽、彼らの静と動の鮮やかなコントラストを描く楽曲にも反映されている。

「小さい頃から欧米や日本のアーティストに影響を受けてきましたが、それをアジア人として吸収して自分たちなりに昇華したHi Link Channelの音楽は、日本やアジアのリスナーにはきっと伝わりやすいと思います」

現在、Hi Link Channelの音楽にアクセスしやすいのはバンドの哔哩哔哩(bilibili)のチャンネルだが、早ければ今年中には1stアルバムをリリースして、Apple MusicやSpotifyといったストリーミングサービスに配信し、世界のリスナーに届けていく予定だ。

 
中国での音楽活動

中国での音楽活動の実情について伺うと、2人は若干シリアスな表情を浮かべた。音楽で生活ができるバンドマンは一握りのトップだけだという。ミュージシャンやバンドの数は増えているが、中国の音楽レベルやカルチャーは不安定で、まだまだだと感じているよう。また、中国での表現の制限についても語ってくれた。

「歌詞の規制については、正直自分たちも困っています。というのも、何が良くて何がダメなのか、明確な線引きがないんです。そして、今はOKな歌詞でも数年経ったらNGになってしまう、そういったことがあります。例えば、以前発表されたヒップホップの楽曲でもそういったことが実際に起きています」

こういった状況の中、Hi Link Channelも苦労しながらも自分たちの体験を歌詞に落とし込んでいる。例えば、ポップなイントロからビートの効いたダイナミックな展開をみせる「Black Monday」では、都日昭日格图が体調不良の時に経験した瀕死体験を描く。とはいえ、彼らは現状、歌詞よりもメロディを重視し、そこに伝えたいことや思いを込める。最後にバンドの今後について聞くと、明るく覇気のあるトーンで2人はこう語った。

「アジアの音楽シーンを改めて盛り上げていきたい。今回のような素晴らしい機会もそうですし、様々なことにチャレンジしていくので、注目してもらえたら嬉しいです」

 
日本と同じアジア発のアーティストとして今後の活動が期待されるHi Link Channel。まだ未聴の方は、現行の中国の”New Blood”に触れてみてはどうだろうか。

 
Hi Link Channel
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取材協力: MODERN SKY JAPAN

 
 

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