Pam(ODOLA / Kuragaly Production) インタビュー 「音を詰め込みすぎない、詰め込んでいるように聞こえさせないということを意識している」

2020.9.1


Pam(パム) インタビュー

Pam(パム)

北海道出身、元Bullsxxtのメンバー。現在はODOLAを中心に、DJ、トラックメイカーやベーシストとして活動。

現在の所属はODOLAとKuragaly Production、そしてPistachio Studioのサポートも行う。ODOLAではトラックメイキングとベースや鍵盤などの楽器を担当し、イベントではDJとしても出演。ベーシストとしてはToshiki Hayashi(%C)、鈴木真海子バンド、Tajima Hal & Good Neighborsなどのレコーディングやライブサポートも行う。

IYOW : A series of interviews with featured beat makers / producers / composers


 
——キャリアスタートのきっかけ
高校生の頃は、地元の大学のジャズ研やジャズバーに出入りしていて、そこでエレキベースとウッドベースを弾いていました。その時に現在showmoreなどで活躍されている井上惇志さんにお会いして、井上さんをはじめとする先輩やプロの方々からジャズの手ほどきなどを教わっていました。

浪人した時にプレイヤー目線ではない立場に転向してみたいと思い、ノイズやアンビエント、エレクトロなどを勉強していた時に、それらを元ネタで使っていたA Tribe Called QuestやMadlibに出会ってヒップホップをやってみたいと思い、一人でトラックメイクを始めました。

トラックメイカーとして活動するようになったきっかけは上京した後にCHICO CARLITOやIDが所属するKuragaly Productionの面々とお会いして、Osurek Bertopさんにビートメイキングの手ほどきを受けつつ、他のラッパーやDJと交流するようになりました。

 
——ターニングポイント

ベーシストとしてBullsxxtに参加したこと。そして、ODOLAで『Metamorphose feat. Kuro』を発表したこと。

 
——最新作


Pam(ODOLA / Kuragaly Production) インタビュー 「音を詰め込みすぎない、詰め込んでいるように聞こえさせないということを意識している」【IYOW 】

ODOLA『OUT OF BLUE』(Bandcamp限定音源)

 
——キャリア当初の制作環境

Apple MacBook ProにPro Toolsを導入していて、それとRoland SP-404SXにピアノやギターを弾いた音源やノイズを取り込んで、ビートを作っていました。

 
——現在の制作環境

Apple Mac miniにAbleton Liveを導入していて、そこにMPCやSP-404で作った素材、サンプル音源や鍵盤などで弾いた素材を取り込んでいって、エディットしています。

 
——メインの機材

  • Mac mini
  • Ableton Live 9
  • Focusrite Scarlett 8i6
  • AKAI MPC2500
  • Roland SP-404
  • Novation Bass Station
  • KORG SV-1
  • KORG microKORG

Pam(ODOLA / Kuragaly Production) インタビュー 「音を詰め込みすぎない、詰め込んでいるように聞こえさせないということを意識している」【IYOW 】

 
——モニター環境

  • ヘッドホン : Focal Spirit Professional
  • イヤフォン : Apple 純正イヤフォン
  • スピーカー : YAMAHA MSP3

 
——使用音源

中古楽器店でジャンクで購入したYAMAHA PortaSoundが最近のお気に入りです!ローファイめな音や変な音が欲しくなった時にSP-404に繋いで、エフェクトかけつつ使ってます。

 
——使用プラグイン

Waves GTR Stomp/Amp

ほぼほぼサンプル音源やソフトシンセなどは音が汚れて良い感じになるので、どちらか繋いでいます(笑)。

 
——ビートメイクのプロセス

オーダーされる曲や作りたい曲がバラバラなことが多いので、基本的に楽曲の方向性によってリズムから作ったり、コードやメロディなどから作ったりなど様々です。その中でも大切にしているのは、ハイファイに作りすぎないことです。その方向で上手く作れる方は周りにも沢山いらっしゃいますので、逆にハイファイとローファイの中間辺りで人間味のあるサウンドを常に目指してます。

 
——ビートメイクポリシー

音を詰め込みすぎない、詰め込んでいるように聞こえさせないということを意識しています。うっすらとしか聞こえない音を部分的に入れたりして、曲ごとに理論破綻しているように見えるギミックは入れるようにしています。

影響を受けるインプットはかなり広くしているので、アニソンやメタル、ジャズ、クラシックなどから楽曲の展開のさせ方を学んだりしていることもございます。

 
——最も影響を受けたプロデューサー/ビートメイカー

挙げると際限がないですが、一人に絞るなら、Madlibです。彼のネタ使いとドラムの質感は唯一無二ですし、作品はほぼチェックしています。その影響で一時期SP-303をODOLAの相方の沼澤から借りてました(笑)。

 
——影響を受けた楽曲

Return To Forever – Vulcan Worlds

中学生の頃に相当見入ってた動画で、スリリングな楽器のアンサンブルが今聞いても最高ですね。個人的には再結成よりも当時の方がパワーが凄いなと思います。

 
Keith Jarrett Trio – God Bless The Child

Keith Jarrettも中学〜高校生の頃に殆どの作品を毎日聞いてたぐらい大好きでした。一音一音から出てくるソウルは今も不滅です。

 
SIMI LAB – Walk Man

日本のヒップホップにハマったきっかけがこの曲でした。ここから時代を遡って日本のヒップホップにのめり込むようになりました。その後、知人の紹介でOMSBさんとお話できて、家が近いというご縁で遊ぶようになったのもとても感慨深かったです。

 
Fumitake Tamura(Bun) – Searchin’

大ネタではありますが、原曲の良さを上回るビート感とテクニックで全く新しい曲のように聴かせられることが凄いと思います。

 
Jaylib – Mcnasty Filth

ネタの斬新さ、ドラムの揺れ具合、それの上に乗るラップ含めて全てが完璧な楽曲だと思います。

 
Beastie Boys – Sure Shot

HipHopやそのサンプリング元のレコードを集めはじめた時にBeastie Boysは圧倒的に衝撃的でした。この楽曲が入っている『ill communication』は色々なジャンルがクロスオーバーした名盤であり、アルバムという形の教科書の一つだと思います!

 
Toshiki Hayashi(%C) – little life ft. Kan Sano & jjj

%Cさんのこの楽曲は『Metamorphose feat. Kuro』のこう仕上げていきたいという参考音源の一つでした。後々本人から気に入って頂けた時は、驚きと共にとても嬉しかったです。

 
TAMTAM – CANADA

’17年頃にTAMTAMの自主企画イベントに吉田ヨウヘイGroupとの対バンのご縁で遊びに行った際に、一番印象深かった楽曲です。その頃からTAMTAMの一ファンではございましたので、後々Kuroさんと色々ご一緒できたことは嬉しかったです!

 
Kendrick Lamar – Alright

Kendrick Lamarを最近改めて聴き直していまして、彼のリリックには必ずそのトラックでないと成立しないという圧倒的なコンビネーションがどの楽曲を聞いても、感じます。昨今のBlack Lives Matterのことについて考えていた時に聴きたくなった楽曲でもあります。

 
Madvillain – Raid

この楽曲をはじめMadvillainはネタの使い方、展開の仕方、ドラム素材の選び方などヒップホップを作る時の教科書だと思います。

 
——My favorite works / 自分の作品からのお気に入り

Pam – All’bout feat. Bang Da Rhythm

この曲はソロで活動していた時の音源です。今となってはかなりローファイで凶暴なサウンドだなと思いながら、この質感を今出すのは難しいなと思います。まだフリースタイルダンジョンに出演する前のクルーの仲間でもあるCHICO CARLITOくんとも一緒にできて、自分にとってはとても思い出深い作品です。これを収録したEPはどこかで改めて出したいなとは考えているので、お楽しみに!

 
ODOLA – Metamorphose feat. Kuro

この楽曲はODOLAというユニットを本格的に始めた際に沼澤とスタジオに入って、適当にピアノを弾かせた際に録音したiPhoneのボイスメモが素材となっています。その素材から発展させて、歌をどうしようかと考えていた時にTAMTAMの『Modern Luv』を知人経由で聞かせて頂いて、Kuroさんに客演をお願いしたというエピソードがございます。その打ち合わせの際にちょうど沼澤に色々とありまして、そのことがKuroさんの歌詞の元ネタとなっています。偶然に偶然が重なってできた楽曲が色々な方々に好評を得たのは、巡り合わせのようなものを感じます。

 
Kuro – For Nothing

この楽曲は元々アルバム用に制作していましたが、その折にKuroさんからソロアルバム作っているからトラック聴かせて欲しいという連絡が来まして、Kuroさんに合いそうだったので、是非ということでKuroさんに提供させていただいた楽曲です。

 
Toshiki Hayashi(%C) – Rain feat. ニューリー

%Cさんとは個人的にお会いして、遊んだりしています。その中で『ベース入れたい曲あるから、楽器持ってきて!』という一言だけで当日聴かせられて、レコーディングした中の一つです(笑)。そんな些細なきっかけでしたが、元々こちらの楽曲が収録されていたリミックス企画が好きだったので、レコードになった時はとても感慨深かったです。ニューリーくんのギターもナイスな感じでこちらのバージョンもとても好きです。

 
showmore – I don’t love you

showmoreの井上さん、根津さんとは別楽曲で制作を進めていたのですが、諸事情でお蔵入りしてしまい、その代わりとしてバンド編成時代にレコーディングしていた楽曲をリアレンジさせて頂いた楽曲です。締切はかなりタイトでしたが、スタジオでエンジニアさんとshowmoreの方々と意見交換しつつ、楽しく制作できた作品です。

 
——Message

6月17日にODOLAとしてMixtape『OUT OF BLUE』をリリースさせて頂きました。こちらは恵比寿Baticaや中目黒Solfaを経営するS/B/C/A(有限会社トゥー・ファイヴ・ワン)へ売上の一部をドネーションさせて頂きます。『OUT OF BLUE』の中には城戸あき子さん(ex.CICADA)と鈴木真海子さん(chelmico)のソロ楽曲のここでしか聞けないリミックスも収録されています。Bandcampで1,000円から購入できますので、是非!!

また、8月28日にODOLAから「Bathtime feat. 城戸あき子」がリリースとなりました。城戸さんをボーカルに迎えたことで今までにないポップな楽曲に仕上がりました!こちらも収録されたアルバム『Grooovin’ Blue』が10月14日に発売されますので、そちらも是非チェックして頂けると嬉しいです!

先行シングル「Bathtime feat. 城戸あき子」各配信ストア : https://ultravybe.lnk.to/bathtime

 


Pam(ODOLA / Kuragaly Production) インタビュー 「音を詰め込みすぎない、詰め込んでいるように聞こえさせないということを意識している」【IYOW 】

アルバム『Grooovin’ Blue』 2020年10月14日リリース

 

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