【このリリースがすごい!】つしまみれ「Oversized American Dreams」 | 絶妙に交錯する鋭いサウンドとクールなボーカル、そしてバンドの物語を宿す歌詞

コラム・特集
2026.5.15
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音楽ファンは要チェック、注目のリリースをレビューする特集企画『このリリースがすごい!』。今回は、つしまみれのシングル「Oversized American Dreams」を紹介。


一聴するだけで感じる、並々ならぬエネルギー。切れ味鋭いギターリフと、シンプルながらも大胆なベースとドラムのリズムメイク。バンドサウンドとしてはシンプルなのに、重厚に感じてしまう不思議な聴き心地。それは、つしまみれのアンサンブルが研ぎ澄まされているからこそ感じる体感。良い意味で音そのものに緊張感があるし、音が鳴っている空気そのものもパッケージになっているようなドキドキがある。音色そのものはもちろん、収音やミックスやマスタリングにもこだわったからこそだと思う。それくらいにサウンドがバキバキなのだ。それに対して、その上に乗るボーカルはクールでスマート。えげつないロックンロールを響かせる一方で、ボーカルは勢い任せの熱量で歌うのではなく、巧みにピッチと感情をコントロールして響かせる気持ち良さが、この歌にはある。

これだけでも、「Oversized American Dreams」は「このリリースがすごい」になり得るんだけど、トドメと言わんばかりに歌詞の面白さが耳に残ることになる。なんせ、その歌の中でリフレインするのは「おにもつだ」というフレーズなのだ。

ギャップという言い方が正しいのかはわからないが、サウンドの鋭さとボーカルのクールさに対して、フレーズとして繰り返される内容が切実に響く感じが不思議で、面白い。しかも、あんまりこういう音楽では聴かない類の単語であることも、より耳に残る理由となっている。それこそ、タイトルは「Oversized American Dreams」という大きなテーマでスタートしている。のっけのラップのパートも軽快なリズムで繰り出されており、イケイケなトーンをドライブさせるように進んでいる。だからこそ、サビとして提示されるフレーズの独特の温度感は強烈なインパクトを与えることになるのだ。実際、ぼーっとこの歌を聴いていても、嫌でもサビのフレーズは耳に残ることだろう。

単にインパクトのフレーズを繰り返しているだけではなく、フレーズのひとつひとつがどこまでも等身大なのも良い。結成27年を迎え、様々な海外ツアーを経験したバンドが、この楽曲を引っ提げてアメリカツアーを行うタイミングでリリースされた楽曲である……という物語まで踏まえてこの楽曲を聴くと、サビのフレーズの軸である「おにもつだ」という言葉が、より立体的に響いてくる。

いや、具体的にどういう想いをのせているのかは想像でしかないんだけど、過去のツアーへの想いとか、今回のツアーに対する緊張感とか、”夢の大きさ”と”自分たちが背負ってきたもの”との対比を独自の視点から言葉にしてるのかなとか、色んなシーンや感情を想像して、ワクワクしながら歌を聴くことができるのだ。フライト直前の空港のロビーで、重たいキャリーケースを引くような具体的な様子も目に浮かぶし、ひとつひとつの具体的なフレーズが「この歌だからこその比喩」のように聴くこともできる。フレーズだけを切り取るとシニカルにも聞こえるこのフレーズは、不思議と最終的に「Oversized American Dreams」に集約する大きな物語のエネルギーとして受容できるワクワクに繋がる。

サウンド、ボーカル、歌詞。この交錯の仕方がたまらないからこそ、2026年5月の「このリリースがすごい」では、まずはこの歌を選んだ、そんな次第。ように思うから。そんな想いを勝手に感じて、今回はこの記事を「このリリースがすごい!」に挙げさせてもらった次第。



つしまみれ「Oversized American Dreams」

つしまみれ「Oversized American Dreams」各サブスク

 
 

この記事の執筆者
ロッキン・ライフの中の人
ロッキン・ライフという音楽ブログとイベントを運営している中の人です。