DIYアーティストがセルフマネジメントの際に意識しておきたいTips ― 4 ESSENTIALS OF SELF-MANAGEMENT
今回は、インディペンデントなアーティストへ新たなインサイトや役立つ知識を提供することを目的とした、Curb College of Entertainment & Music Business at Belmont Universityの学生とTuneCore(US)間のパートナーシップシリーズでシェアされた情報の一部をご紹介します。
ここで紹介していることは、「こんなの当たり前」と思われるかもしれませんが、改めて行動を意識することで、普段行っていることにも何かしらの影響を及ぼすものです。今の世の中、軽くリサーチして少し知識を身につけるだけで、アーティスト自身で出来ることは限りなくあります。ただ、その初めの「ちょっとした行動」が、実は乗り越えられなかったりします。そういった、はじめのきっかけの一助になればと、ここで再度DIYアーティストがセルフマネジメントの際に意識しておきたいいくつかのTipsをお届けします。
関連記事 : ストリーミング時代の音楽活動で知っておきたいこと
目次
■仲間をオーガナイズ
例えば、アーティストや作曲家がバンドセッティングで曲作りをしようと思ったら、楽器を揃えたり、メンバーを見つける必要がありますよね。その上で、クオリティの高い音楽にチャレンジすることになりますが、2019年の現在、その仲間探しのハードルは以前に比べて明らかに低くなっています。
Webサービスの利用
Join A BandやSonicbids、Meet & Jamなどのウェブサイトを利用するのが、メンバーを募集しているバンドやバンドに入りたいミュージシャンを見つける上で最も簡単な方法でしょう。より直接的にアプローチしたいなら、SNSを上手に活用しましょう。作品を募集しているバンドであれば、そういったプラットフォームを展開しているケースもあります。腰を据えて、身の周りで活動する相性の良さそうなアーティストを検索してみるといいかもしれません。まずは自身の音楽ジャンルの範囲から探し始め、息の合うミュージシャンを見つけることができたら、さらにSNSを駆使しての告知も検討してみてください。
まずは行動です。たった1通のメッセージがきっかけとなって、たくさんの仲間と演奏したり、曲を書いたりするチャンスへとつながるかもしれません。そして、そこから互いの切磋琢磨がはじまりますし、仲間のうちの誰かが何かしらの成功の糸口をみつけたら、また別のメンバーを客演やサポートアクトとしてフックアップしていく良い循環が生まれるでしょう。
音楽コミュニティへの参加
オープンマイクに参加し、作曲家やプレイヤーのコミュニティと知り合ったり、親交を深めることも検討してみてください。そこで出会ったプレイヤーが思っていた人物でなかったとしても、もしかしたらシーンの同じジャンルで活動している他のプレイヤーと知り合いかもしれませんよね。最初の出会いから最高の機会へとつながるとは限りませんので、出来ればオープンなマインドでコミュニティと関わってみてはいかがでしょうか。
■楽曲コライト(共作)
デモ音源を制作する前にも、その元となる曲が必要です。カバーばかりを発表するのもありですが、やはりオリジナル楽曲でチャレンジしていくことが多いと思います。作曲の方法には正解も間違いもなく、それが作曲という行為の素晴らしい点でもあります。詞先、メロ先、サビだけできる、ヴァースがふと思いつく、色々なケースがあると思いますが、作曲とは磨き上げることができるスキルでもあります。その修練にあたっては、コライト(共作)もひとつの手です。今や、共作は当たり前ですし、他人のアイデアとつながることで、そのクオリティは高いものになる可能性があります。
ぜひ恐れずに他の作曲家やプレイヤーとの楽曲制作を試してみてください。クリエイティブワークにおける多角的なアプローチは非常に効果的です。
■EPK (Electronic Press Kit) を用意
アーティストとしてのキャリアを促進させるため、プレスキット(宣伝素材)は欠かせません。時間の流れが早い現代、プレスキットは音楽関係者にあなたの情報を効率的に伝える上で非常に強力なツールとなります。今の時代のアーティストとしては、ぜひEPKを用意しておきたいところです。
EPKは、手元に用意しておくべきデジタルな宣伝素材であり、メールなどで送信することで複数のメディアへ効果的にPRすることができます。音楽活動において、EPKに盛り込むべき内容を以下に記載します。
1. バイオグラフィー
2. 本格的な宣材写真(アーティスト写真)
3. 音源(配信ストアのリンクやYouTubeのリンクなど)
4. MVのリンク
5. インタビューなどの特集記事や評論家からのレビュー
6. SNSのリンク
7. 過去の達成事項(ランキングやプレイリストへの選出、コンサートの会場など)
8. アクセス可能な連絡先
※EPKに関しては、本記事冒頭の関連記事で詳しく特集しているので、そちらもご参照ください。
■ブッキング
自分自身でのブッキングは気が重くなる作業ですよね。しかし正しい知識や方法、そして自信をもって取り組めばきっとうまくいくでしょう。
ところで「自分自身でブッキングする」とはどういうことでしょうか。
海外では、ブッキングはブッキングマネージャーやブッキングエージェントが代行することが多いです。彼らはアーティストの代わりに、イベントのプロモーターやライブ会場とやり取りをし、例えばサウンドチェックの時間や必要な機材、もちろん金額交渉に至るまで交渉を行います。
一方、アーティストが出演可能なイベントや演奏ができるライブ会場を探しているのと同様に、イベントやライブ会場もそれぞれに適したアーティストを探しています。こうしたアクトの発掘はエージェンシーが代行するケースがよくあります。彼らはイベントや会場に代わって、アーティスト(アーティストを代表するブッキングマネージャー・エージェント)と交渉します。
つまり、自分自身でブッキングするとは、自分自身でライブ会場やイベント(または彼らを代表するエージェンシー)と交渉をして、出演を勝ち取ることを意味します。新たなアクトのブッキングはどちらの立場にとっても重要ですし、特にアーティストやイベントにとっては次なるチャンスにつながり、それぞれ成長が見込めます。
難しいと感じるかもしれませんが、比較的シンプルなガイドラインを示しますので、身近にサポートしてくれる人がいなくても、それに沿って挑戦してみてはどうでしょうか。
ネットワークとスタンス
長い目で見て音楽業界で成功するためには、それに適したスタンスで交渉に望む必要があります。ネガティブなマインドやスタンスでは、キャリアをブーストする可能性を秘めているライブのチャンスを逃してしまうかもしれません。音楽において、スキルやクリエイティブな才能が成功のカギになることは紛れもない事実である一方で、ポジティブなスタンスや前向きにコミュニケーションする努力や自信、情熱を持ち合わせていれば、成功の糸口を引き寄せる確立は上がるでしょう。
セルフ・ブッキッングを成功させるための一つの方法は、言うまでもなくネットワークやコネクションを活用すること。仮にあなたの友人のアーティストが自身の公演のオープニングアクトを探していた場合、関係が悪化しない範囲で、ダメもとでも交渉することを検討してみてはいかがでしょうか。多くのアーティストは、そういった機会をソングライターのコミュニティを通じて得ていることが多いようです。かつて一緒に作曲した仲間が過去にそのステージに立っていたということは往々にして起きていることです。自身のネットワークを通じてブッキングを試みることは、効率的でもあります。キャリアアップにつながるかもしれないライブに参加できるだけでなく、その先でソングライターやアーティストなどさらなる多くの音楽仲間と知り合えるでしょう。楽曲制作でも大事になるコネクションはここでも同様です。
ヴェニューとの交渉
出演したいライブハウスがあれば、出演条件を調べ、コンタクトしてみましょう。仲間がそこによく出演しているのであれば、そのつながりからアポイントしてもよいでしょう。コンタクトする際は、先に紹介したEPKを用いると話が早いかもしれません。集客状況を聞かれることもあるので、過去のケースも確認しておきましょう。
あとは丁寧にヴェニューへピッチしていくのみ。上手くいかなくても、やりとりの中で得た情報や感触、経験は蓄積され、きっと後に活かされると思います。
プロモーションを通じて
上手くブッキングする方法として、プロモーション視点からのアプローチもあります。今日では、アーティストが集客に向けて活用することのできるツールはたくさん存在します。プロモーションを進めるにあたって、興味のあるヴェニューやエージェンシーには前もってEPKを送っておきましょう。セルフプロモーションによって、別の経由であなたを発見したとき、前もって送っておいた情報は有効に機能するはずです。さらに、仲間を見つける際につながったネットワークでも情報の告知に協力してもらえるかもしれません。他にも、ストリーミングサービスにおいても、ディスクリプションを自ら編集できるところは、ライブ情報などの発信に利用してください。さらに、Bandsintownを使えば、アーティストはフォローしてくれているファンに対して一斉にメッセージを発信することができるので、自分に興味のあるファンがライブを見逃すということも減るかもしれません。
また、自分自身のファン、オーディエンスとの強いつながりを大切にすることで作られる信頼関係は、関係者とのやりとりにおいても、相手に安心感を与えるでしょう。成功へ向けて求められることは極めてシンプル、すなわち一貫してポジティブなスタンスでい続けることです。
※元記事:4 Essentials of Self-Management (TuneCore US Blog)