Madkosmos インタビュー 「一個一個の音や空間を最大限に生かすように、そして表現することを恐れずに」
京都発で現在は東京をベースに活躍するプロデューサー Madkosmos。マネージメントやイベントオーガナイザーのキャリアも持ち、UK発のトラップシーンにとどまらず活躍するHUCCIや、国内ではWATAPACHIからの影響を受けつつ、叙情的な旋律に感情の込もった静と動のダイナミズム溢れるMadkosmosならではのビートで国内外から評価を得ている。
About : Madkosmos
1992年生まれ。札幌と京都をバックボーンに持ちながら現在は東京で活動中。
古くからの先輩であるWATAPACHIから影響を受け、2013年に音楽活動をスタート。京都を拠点として、DJ活動をしながら独学でトラックメイクを開始。
また、2015年にはそれと並行してイベントのオーガナイズもスタート。#MADWANTと命名されたイベントでは、HARIKIRI (Higher Brothers Producer), HUCCI, OZZIE, Wondagurl, Kero One, Jarreau Vandalなど、様々なジャンルで活躍しているアーティストを京都に招きシーンを盛り上げる。
翌年2016年にはUKのレーベルであるVeyron Archeに加入。(現在レーベルは諸事情により活動休止中)自身の活動を含め、アジアツアーのマネージメントもこなす。
現在はオーガナイズ、マネージメント業を休止し、楽曲制作に打ち込んでいる。
——キャリアのスタート/きっかけ
中学生の頃からの先輩がWATAPACHIというユニットをやっていて、それがきっかけでDJを始めました。
——ターニングポイント
音楽を始める前に行ったイギリスです。まずやっぱり英語は色々と使うし、何よりそこで知り合った友達がHUCCIというアーティスト(後に自分が日本に呼ぶんですが)のマネージャーをその当時していて、今はそのHUCCIや、その周りが一生を通して付き合って行くであろうという友人なので、その出会いは大きかったです。
——最近手がけた主な作品
あんまり最近出せてないんですが、「桜の涙」という曲にドラムとミキシングで参加してます。
Shin Holmes – 桜の涙 (feat Saekidelics & Madkosmos)
この歌い手のSaekiくんも日本歌謡というか、こぶし&フォークぽくて凄くいいです。それに808のビート、みたいな組み合わせがすごく新鮮でかっこいいと思います。是非聴いてみて欲しいです。
他にストックしてるトラックもアンリリースのも、今まだ世に出せてない楽曲、自信あるんで、EPもしくはアルバムを期待してほしいです。
——キャリアスタート時の制作環境
パソコンにmidiキーボード、あとはインターフェースなしで直挿しのイヤフォンでしたね。イヤフォンはSENNHEISERのMOMENTUMがお気に入りでした。音自体もLogic pro Xの純正の音だけでけっこう長いこと作ってました。でも、ちゃっちい音をダサく聞かさない工夫みたいなのってすごく大事だと思うんですよね。為になってると思ってます。
——現在の制作環境
相変わらずパソコンにmidiキーボードくらいです。スピーカーはTANNOYという会社の使ってます。
——メインの機材
DAWはLogic pro Xです。インターフェースはRolandのRubix 22使ってます。スピーカーは先ほども申し上げたTANNOYという会社ので、Reveal 501aというモデルです。東京来てお金もなかったんで、とりあえずの音を出せる環境が欲しくてメルカリで買いました。でもけっこう気に入ってます。
インターフェースもそれに間に合わせるために買った安いものなんで、多分値段相応のものかと思いますが、今のところ不便はありません。
——モニター環境
ヘッドフォンがSENNHEISER HD650、イヤフォンがSENNHEISER IE 40 PROで、スピーカーがTANNOY Reveal 501aです。
——使用音源・プラグイン
Omnisphere 2、Serum、FM8、Kontakt、Wavesなど。
ほとんど友人からもらいました。Omnisphere 2は使えそうな音が多かったので買いました。自分は雰囲気的な音楽が好きなのでOmnisphereの背景となるような音には重宝しています。
——ビートメイクのプロセス
一個のサンプルから音を弾いて足していく感じです。その後に構成。ドラムはその曲によりますね。先つける時もあれば浮かばない時もありますし、「もうアンビエントとして出そか」、なんてこともあります。
——ビートメイクポリシー
好きなアーティストが言っていたことなんですが、「音楽に話させろ」、ということですかね。これまだ自分も到底できてると思えないのであんまり偉そうに言えないんですが、メロディーや空気にあった音やビートがあると思うんですよね。いくら音数が少なくとも。一個一個の音や空間を最大限に生かすように心がけてます。あとは、表現することを恐れないこと。
——最も影響を受けたプロデューサー/ビートメイカー
HUCCIですね。彼は天才。もちろん好きなアーティストはいっぱいいますが、もろ制作に影響してるのは彼ですね、やっぱり。DJし始めた時から聴いてますが、今でも天才と断言できます。シンプルさ、ユニークさ、配音センス、サンプルセンス、もったいぶらせる所と欲しい所でしっかりくる巧さ、あとはドラムループを聴かせる巧さ、天才です。
——影響を受けた楽曲
HU₵₵I – Realm
イギリス人の彼が、このどこか日本ぽい曲を出したのはもう四年以上前のことで、彼がまだ18、19歳の時リリースした曲です。大自然を展望できる気持ちになります。是非自然の中で聴いて欲しいです。
DJ Krush – Song For John Walker featuring Anticon
日本のヒップホップはこの人抜きで語れませんよね。自分の目標的な人です。この心臓のように動くベースを聴いてほしいです。
bobby raps & corbin – frozen tundra
この二人の組み合わせは、自分の中では宮崎駿と久石譲くらいキマってます。最初のcorbinの入り方も最高です。
Portishead – Roads
「暗い」 くらいの感想だけで済ませてはいけない名曲ですね。全ての楽器、声が共鳴している感じです。
Bon Iver – 33 “GOD”
サンプルの使い方、細かな電子音、生音感、完全に新しいもの作った人(バンド)かと思います。またMVも最高なんですよね。
Radiohead – All I Need
この歪んだ三拍のベースのコードライン、最後の盛り上がり、最高です。
Jamie xx – Gosh
これもコードラインが最高です。そしてこれはクラブで流すと皆んな必ず最後には踊ってますね。
James Blake – I’ll Come Too
最近のアルバムの曲で、彼の今の幸せな空気が全面に出てて最高な曲です。埋まってるけど浮いてるような耳触りのハットやスネア、あとはキックが入ってくる所も最高。
Toro Y Moi – So Many Details
この曲でToro Y Moiを知りました。今でも彼の曲の中でこれが一番好きです。
Nosaj Thing – Coat of Arms
やはりこの人は忘れられませんね。好きな曲はいっぱいありますが、よくDJでもかけてましたし、ヒップホップ要素と彼らしいシンセが気持ち良いです。
——My favorite works / 自分の作品からのお気に入り
Madkosmos – The Beauty of Fear
これは、去年人知れず嵐の中、一人で海を見に行った時に感じた率直な「怖い」という感情を表現した曲です。何かに恐るのも美しい感情ですよね。生きてる証拠です。
Madkosmos – Stay (w/ OZZIE)
これは自分と、HUCCIの実の兄であるOZZIEという友人と韓国で作った曲です。自分の曲の中で一番再生回数が伸びてる曲です。思い出の一瞬が世界の誰かの感情を揺さぶってるというのは嬉しいことですね。ちなみに声ネタはEric Bellingerなんですが、本人公認です。
BASICA – Nomerikom (Madkosmos Remix)
初めてジャパニーズヒップホップをremixした曲です。あんまり数字は伸びてませんが、今でもお気に入りです。ラッパーは埼玉出身のBASICAさん。今、一曲一緒に作ってるんで楽しみにしていて欲しいです。
Madkosmos – 蝉
初め仲のいい写真家の先輩、MASAHIRO YOSHIMOTOくんのプロジェクトで作った曲でしたが、リメイクし直した曲です。晩夏、秋隣というテーマです。儚さ、日本らしさがすごく気に入っています。是非この夏も聴いてみてほしいです。
Portishead – Glory Box (Madkosmos Remix)
こちらは、Portisheadの代表曲の1つである「Glory Box」のRemixです。Spotifyにも現在は載っていますが、これから消すかもしれないのでBandcampから。フリーダウンロードですので、ぜひDLして、かけてください。
ちなみに、DJ Krush氏にも送らせて頂きまして、お墨付き頂いております。完全に自慢です。よろしくお願い致します。
——Message
最後までお読みいただきありがとうございます。とにかく今制作中のEP/アルバムを聴いてほしいです。
生き続ける曲を作りたいと思って作ってます。本当に良い曲は生き続けると思うので。よろしくお願いいたします。
Madkosmos
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