STAP Sigh Boys インタビュー 1970年からやってきた“高円寺のMac DeMarco”?謎とセンスがあふれる注目ポップ・アクト

インタビュー
2024.3.22

パーフェクトな3rdアルバム『Chord』とダンサブルな最新楽曲「Light(n)ing」

——昨年9月にリリースしたアルバム『Chord』について、完成時の手応えはいかがでしたか?

出来たときは、泣きそうなぐらい嬉しかったね。『Chord』は自分自身にチャレンジしたアルバムだったし、このアルバムで本物のミュージシャンになろうと思って作ったから。その結果は聴いた人が決めることだけど、自分としては、もし明日死んだとしても大丈夫っていうくらいパーフェクトなアルバムが出来たと思う。お母さんにもクリスマスプレゼントであげたら、喜んでくれて。毎日車で聴いてるらしいです。

——粒ぞろいのキャッチーな楽曲が揃っていながら、一貫したコンセプトやテーマを感じさせる作品だと思いました。

「お母さんの屋根裏で見つけたミックステープ」っていうのがアルバムのコンセプトになってます。小さい頃によくミックステープを作ってたから、A面B面が切り替わる音を入れて、そのワクワクを再現しました。サウンドエフェクトを盛り込んでるっていう点では、ここにも『FANTASMA』の影響があるかな。一曲一曲は短いんだけど、最初から最後まで盛り上がって聴けるように、曲の良い部分だけを切り取ってる。

——短尺の曲に親しみが深い若年層のリスナーも意識して楽曲を構成したということですか?

そう。イントロやアウトロも取っ払ってる。最近の若者はTikTokの影響であんまり長い曲に集中できないでしょ?今まで、そんなに若い人はSTAP Sigh Boysの楽曲を聴いてなかったけど、『Chord』では新しい世代にもアピールしたかった。

STAP Sigh Boys『Chord』

STAP Sigh Boys『Chord』

 
——2月21日にリリースされた最新楽曲「Light(n)ing」は、よりソリッドでストイックなダンス・チューンに仕上がっています。

10年前にダウンロードしたディスコ・ミックスを最近めっちゃ聴いてたから、「Light(n)ing」はディスコ・ミックスのように色んな曲が1つにまとまった曲にしたかった。途中で別の曲にスイッチするように、前半はディスコ、後半はDaft Punkをイメージしてる。

——楽曲冒頭でマッチに火を灯し、クライマックスに吹き消すというギミックも印象に残ります。

「Light(n)ing」という曲名が、Lightning = 稲妻と、Lighting = 照明のダブルミーニングなんです。楽曲の中には、雷の音も入ってて。歌詞でも、クラブの照明やミラーボールの光と、一目惚れで恋に落ちた瞬間の雷のようなショックを受けている。

STAP Sigh Boys「Light(n)ing」

STAP Sigh Boys「Light(n)ing」

 

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