沼澤成毅(ODOLA)インタビュー ODOLAでの活動をはじめ様々なアーティストのサポートも行う鍵盤奏者/トラックメイカー

インタビュー
2020.3.24
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沼澤成毅(ODOLA)インタビュー | ODOLAでの活動をはじめ様々なアーティストのサポートも行う鍵盤奏者・トラックメイカー【IYOW 】

沼澤成毅

1993年山形県山形市生まれ。鍵盤奏者/トラックメイカー。

大学入学後、鍵盤楽器での演奏活動を開始。音楽理論、ハモンドオルガンをジャズオルガニストの西川直人氏に師事。

Bullsxxt、ODOLAでは鍵盤楽器を担当。

様々なアーティストのサポート、レコーディングに参加。主なレコーディング、ライブでのサポートは、まん腹、Okada&Ryo、思い出野郎Aチーム、mei ehara、GUIRO、君島大空、岡山健二、城戸あき子、四万十川友美 など。

IYOW : A series of interviews with featured beat makers / producers / composers


 
——キャリアスタートのきっかけ

2017年にBullsxxtというバンドのキーボーディストとして、P-VINE RECORDSからデビューしたことがきっかけです。ちなみに現在メインで活動しているODOLAは私とトラックメイカーのPamの2人で活動しているのですが、私が彼をベーシストとしてBullsxxtに誘い同時に加入したので、一緒のバンドメンバーでもあります。

ODOLAに関してはそれ以前の2014年頃から曲を作っていて、特に作品の発表は行っていませんでしたが、Bullsxxtのアルバムリリースパーティーのオープニングアクトとしてお披露目をしたことが公に出たきっかけです。

 
——ターニングポイント

ODOLAでは、TAMTAMのヴォーカリストであるKuroさんをフューチャーした楽曲「Metamorphose」を2018年にリリースしたことから始まり、2019年には、さとうもかさん、Kuroさんへのソロアルバムへの楽曲提供を行いました。私個人としては、2019年に思い出野郎Aチームの3rdアルバムに参加したことや、ライブサポートでは、君島大空さん、mei eharaさん、GUIROとご一緒できたことが大きなターニングポイントでした。

 
——最近手がけた作品

ODOLA – Metamorphose feat. Kuro(TAMTAM)

 
ODOLA – Metamorphose feat. Kuro(TAMTAM) (LIVE)

 
ODOLA – ICE feat.入江陽 (2019)

 
さとうもか – ばかみたい(『Merry Go Round』収録、2018)

 
Kuro – FOR NOTHING (『JUST SAYING HI』収録曲、2019)

 
——キャリア当初の制作環境

KORG X50というシンセをマスターキーボードにして、GarageBandで打ち込みをしていました。

 
——現在の制作環境

KORG KRONOSをマスターキーボードにして、DAWはLogicまたはAbleton Liveを使って制作をしています。

 
——メインの機材

iMac 21inch、Logic、Ableton Live 10、RME Babyface Pro、Behringer Pro FX22、KRONOS X 88、Behringer DeepMind 12、YAMAHA DX7II-FD、YAMAHA Reface DX、Dave Smith Instruments Mopho Keyboard、Roland SP-555 などです。


沼澤成毅(ODOLA)

 
——モニター環境

スピーカー: YAMAHA MSP5

ヘッドフォン: PHONON SMB-02

 
——使用音源

特に使用頻度が高いのは、KORG KRONOSのピアノとエレピの音源ですね。デフォルトの時点で音の粒だちや音色が素晴らしいのと、かなり細かくエディットできるので、理想の音に近づけやすいです。

 
——使用プラグイン

Logicに標準搭載されているChromaVerbは、音色にドリーミーな変化を付け加える場面で重宝しています。また、ビートや楽器に対してオールラウンドに使えるエフェクターとしては、XLN Audio RC-20を最近はよく使っています。

 
——ビートメイクのプロセス

ODOLAの場合だと、ビートを仮組みし、シンセ、ギター、ベース等を重ねてベーシックを作り、パラデータをPamくんに送ってアレンジの返答を待つという流れで作っていきます。あまり音は重ねすぎなようにしています。アレンジの返答が返ってくると、ほぼ原型がなくなることもありますがそれで良くて、彼のアイディアでどんどん楽曲に変化が加えられていきます。その段階でサンプリングの素材なども入っていきますね。僕の方で大枠のアレンジを完結してしまうこともたまにあって、その時はまた違ったテイストの楽曲が生まれていきます。

 
——ビートメイクポリシー

ビートメイクにおいては、まずシンプルな楽器の組み合わせを基準に、音を重ねるべき正解を探っていき、いかにワンループでの説得力を持たせられるかを心がけています。

 
——最も影響を受けたプロデューサー/ビートメイカー

非常に悩みますが……佐藤博さんですね。パーカッシブな奏法をする鍵盤奏者が好きで、その流れで佐藤博さんを聴いていったのですが、彼の演奏はもちろん、代表的な作品である「Awakening」のようにセルプロデュースで一人多重に挑んだ作品にはとても強い影響を受けました。

 
——影響を受けた楽曲

The Isley Brothers – Hurry Up and Wait (『Grand Slam』(1981)収録)

イントロ~頭の4小節の気持ちよさ。明快で、尚且つポリリズミックな音楽の流れが大好きです。

 
山下達郎 – 僕の中の少年(『僕の中の少年』(1988)収録)

山下達郎さんの楽曲の中で特に好きです。アルバムの最後を飾る象徴的な楽曲です。

 
Donald Fagen – The Great Pagoda of Funn(『Morph The Cat』(2006)収録)

Donald Fagenのソロの中で、死生観などをテーマに扱った内容的には暗いアルバムに収録された曲なのですが、彼らしい、シニカルな音楽的な明るさが詰まっている楽曲です。Marvin Stammのソロも最高ですよ。

 
佐藤博 – You’re My Baby(『Awakening』(1982)収録)

佐藤博のヴォーカリスト/キーボーディスト/作編曲家としての個性が詰まった名曲です。1曲目の波の音に乗せたピアノのインプロヴィゼーションから、緩やかなイントロに流れ着くのを初めて聴いたときは鳥肌が立ちましたね……

 
The Rascals – A Ray of Hope(1968)

1968年という激動の時代に向けた、平和への賛歌です。ポピュラーミュージックは何を語るべきか、とても考えさせられます。自分にとっての指針になっている一曲です。

 
——My favorite works / 自分の作品からのお気に入り

さとうもか – ばかみたい(『Merry Go Round』収録、2018)

明るくて、軽やかなベットルームミュージックに仕上がったなと個人的に思っています!
さとうもかさんの歌詞も素晴らしいのです……。

 
Kuro – For nothing(『JUST SAYING HI』収録曲、2019)

ODOLAではTAMTAMのKuroさんに2曲提供しましたが、そのうちの一曲で、昨年発売されたソロアルバムに収録されています。(ギターはTAMTAMのサポートをされているYuta Fukaiさんですが、なんとこのテイクは旅先のサンフランシスコでレコーディングしたとのこと……熱いソロです)

 
思い出野郎Aチーム – 同じ夜を鳴らす(『Share The Light』収録曲、2019)

ハモンドオルガン、シンセで参加してます!レコーディングもとても楽しかったです。思い出野郎Aチームのこのアルバムは、今の時代だからこそ聴くべき一枚だと思います。

 
——Message

2018年にODOLA名義でリリースした「Metamorphose feat.Kuro」が昨年11月に7inch化されました。


沼澤成毅(ODOLA)インタビュー

B面のTOSHIKI HAYASHI(%C)さんのRemixも含めて、素晴らしい出来になっていますので是非お手にとっていただければと思います!アルバムも絶賛製作中なので、そちらも早く届けたいですね……

私個人では、ソロの制作に取り掛かっています。今まで聴いてきた音楽を振り返りつつ、また新たに掘り下げつつ、ハイブリットな感覚で楽曲を作っていければなと考えています。

また鍵盤勝者としては、直近ではmei eharaさんの2ndアルバム『Ampersands』に鍵盤楽器で参加しております。カクバリズムよりCD、LP、共に5月13日に同時発売されます。今年はライブも多くあるかと思いますので、そちらもチェックしていただけると嬉しいです!

 

沼澤成毅(Naruki Numazawa)
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この記事の執筆者
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