【Who’s NXT】水いらず | 「常に楽曲を刷新していく」プレイリストへのピックアップも急増、注目オルタナロックバンド
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水いらず
東京を拠点に活動するオルタナティブインディーズロックバンド。2020年11月に続けてリリースされたシングル「沈沈沈」、「ほとんど、空」がSpotifyのオフィシャルプレイリストをはじめ、各所で次々にピックアップ。12月19日には全8曲収録のNewアルバム『ほとんど、空』をリリース、今後の活躍に注目が集まる。
MEMBER : 井上(Gt&Vo)、桜井(Syn)、金子(Ba)、小宮山(Dr)
Who’s NXT : A series of interviews with featured artists
——水いらずはどういう経緯で結成されたんでしょうか?
井上 : 法政大学のロック研究会というオリジナルの曲を作るサークルがあるんですけど、そこで今のバンドの前身となる「エレファントトークス」というバンドを結成しました。当時は現メンバーの井上と小宮山を含む3ピースのバンドでした。その後、井上のギターボーカルの技術とやりたい音楽の乖離もあり、ギターが加入し、バンド名も「水いらず」に変えました。活動していく中で、ベースが脱退し、対バンした金子がベースとして入り、その後ギターロックに限界を感じ、元々知り合いだった桜井がシンセで加入しています。
——井上さんが音楽に興味を持ったきっかけというのは?
井上 : 僕の場合、祖父が宗教音楽の指揮者、兄や両親がバンドをやっており、元々音楽を聴くことは好きでした。親族の影響も受け、中3からバンドを組み始め、最初はみんなに褒められるのが嬉しいとか、目立ちたいとか、そんな感じだった気がします。
——水いらずは現在どの辺りを中心に活動していますか?
井上 : 東京です。ライブをするときは下北沢が多い気がします。
——最新作の紹介をお願いします。
井上 : 12月19日にアルバム『ほとんど、空』をリリースしました。いくつか楽曲を説明すると、表題曲でもある「ほとんど、空」は個人的にすごく思い入れが強い曲になっています。制作期間に1年近くかかってまして、何度も作ってはボツにするのを繰り返し完成しました。曲中に含まれるサンプリングやエフェクトもかなり曲の世界感に寄せていて、細かいアレンジも気にしながら聴くと面白いかもしれないです。個人的にはセカイ系的な自分の世界=外の世界みたいな、ある種痛々しい感じだと捉えて聴くと理解しやすいと思います。
金子 : 「水の重さ」は機械的なリズムに対して、訥々としたボーカルが乗るアンバランスさが気に入っています。これまでの水いらずに無かった曲だと思います。また、「午後の世界」はT君の編曲により、バンドだけでは作れない曲構成になったと思います。目まぐるしく変わる展開全てが聴きどころですが、アウトロのコーラスとハンドクラップの掛け合いが特に気に入ってます。
井上 : 基本的にこのアルバムは内省的なことをテーマにしているのですが、「あと」という曲だけは別で、外の世界を描こうとしています。その意味で次のアルバムの伏線となる曲だと思っています。コーラスワークはかなりこだわっていて、通常は使われない和音だけど、どこか気持ちのいい、拡がりのある和音になっているので、そこを聴いてほしいです。
![水いらず ほとんど、空](https://magazine.tunecore.co.jp/wp-content/uploads/2030/12/io718865-1.jpg)
『ほとんど、空』各種配信ストア : https://linkco.re/afByEbY3
——これまでのリリースで思い入れのある作品はありますか?
井上 : 常に新しいものを作ろうと思っているので、今の作品を聴いてほしいです。
金子 : 「洩れ入る昨日」という曲がありまして、まだ音源化されていない初期の楽曲なのですが、今作とは違った奇をてらわない良さがあると思います。YouTubeにライブ動画あるのでよければ聴いてみてください。
——水いらずでは楽曲の制作はどのようにされていますか?
井上 : 基本的に、自分がデモをDTMで作り、それをメンバーに共有し、プリプロを作成しています。最初のデモは普段考えていることや鼻歌をメモし、それをつなぎ合わせて、コンセプトと楽曲を作り、抽象的なことと具体的なことを往復しながら作っていっています。
桜井 : 井上さんと家が近所なので、僕の家で簡単な録音をしたりアレンジをすることが多いです。また、昨年はアルバムを手伝ってくれたTさんの家で、アレンジを考えることも多かったです。
——ご自身たちでは、水いらずはどういったところが特徴的なバンドだと思いますか?
井上 : わかる人にはわかる、わからない人にはわからない。そういうのが顕著にでてるバンドだと思っています。
——水いらずはどういったアーティストに影響を受けていますか?
井上 : 自分は、まずBon Iver。自分の原風景的なものを、最新の実験的なサウンドで表現していて、自分のやりたい方向に近い気がしました。その意味で楽曲制作のヒントになっています。
次にFrank Ocean。『Blond』のようなアルバムに出会えて幸せだし、あのレベルのアルバムを作ってみたいです。
最後は細野晴臣さん。常にアルバムごとに自分の音楽を刷新していく姿は尊敬しています。
桜井 : 僕の場合は、忌野清志郎さんです。自分から音楽を聴き始めるようになったきっかけなので、沢山影響を受けたと思います。明確にどのような影響かといわれると答えられないのですが。
他には山本ニューさん。何をやっている人なのかよく分からないし、どこまで本気でやっているのかもよく分からないのですが、作られる楽曲はどれもポップで素晴らしいものばかりで憧れています。
——楽曲ではいかがでしょうか。それぞれ影響を受けた楽曲を挙げていただければ。
井上 :
空中泥棒 – 鉄鎖
曲の構成、アレンジ、音像、どこをとってもすごい。かなり複雑な曲なのにメロディは聞きやすくて、面白いです。
坂本龍一 – andata
外の子供のはしゃぐ音とかが入っても聴ける、環境に調和する曲。やかんの沸騰する音などの環境音の使い方がすごく綺麗。それでいて、叙情的なのが凄いと思っています。
TV Blonde – EUROPE
Spotifyでたまたま見つけたアメリカのインディーアーティスト。音とかはかなり悪いんだけど、何故か聴けちゃう不思議な曲。
Jacob Collier – Moon River
とにかく新しい。和音にこんなアプローチがあったんだと感じました。彼のインタビューとか読み漁って、コード理論を勉強しました。
金子 :
Beirut – When I Die
Radiohead – There,There
木下美紗都 – さらば
Lantern Parade – ある熱情
桜井 :
The Band – Moon Struck One
曲と歌詞の世界が非常に合っていて、こんな風に曲がアレンジできたらなと思っています。
Crass – Mother Earth
どこをとってもかっこいい曲です。
蠱的態 – 葬列による序奏
こういった明確な曲の中心がある音楽がなかなか作れないので、参考にしています。
Kero Kero Bonito – Trampoline
シリアスな内容をシリアスにしすぎないところが好きです。胡散臭い日本語や全体の音も面白いです。
——水いらずが音楽活動をするにあたって何か特に意識していることはありますか?
井上 : 常に楽曲を刷新していく。自分の良いと思うものをみんなに良いと思ってもらいたいです。
——音楽をとりまく現状について何か思うことはありますか?
井上 : 日本に限らず、いいねや再生回数などの数字の動員戦になっている気がして、あまり好きではないです。もっと面白い音楽が増えたらなと思います。
——今後の活動の展望はいかがでしょうか?
井上 : アルバムの制作も終わったことだし、久しぶりにライブをやりたいです。バンドを法人化しようかとも考えています。次のアルバムのアイディアはすでにあるので、傑作にしたいです。
桜井 : 僕も、今回のアルバムで試しきれなったアイディアがあるのでまた新しいものが作りたいです。
——最後にメッセージを。
井上 : 最新作『ほとんど、空』はかなり面白いアルバムになっているので、是非聴いてほしいです。そして、CDを買って、活動を応援してほしいです。