邦ロック特集「Monthly Core-Rock!! Select by 遊津場」#2【アンユースレス、HARERU、Marie’s Girl、カフェインジャンキー、ガガ・スプート、インタールード、Brown Basket、アベカワズ、sweet rain、ローライラック】
“先取り邦ロック”を武器に音楽ライターやイベント企画で活動する遊津場が、その月に気になった邦ロック楽曲を10曲セレクトします。
「若手が中心となるので、新たな発見があるはず!あなたをコアな邦ロックリスナーにさせてみせる!」と遊津場は息巻いてるとか何とか。
以下、セレクト楽曲を遊津場が解説。本記事の解説とともに、セレクト楽曲をまとめたTHE MAGAZINEのプレイリストもお楽しみください(毎月更新)。
#2 セレクト楽曲(2025年1月7日更新)
1. アンユースレス「Oh!SUSHI!!」
2月8日に初ワンマンライブが決定し、現在5ヶ月連続リリース中の大阪発5人組ロックバンド。
その第3弾となる楽曲はクリスマスのリリースにピッタリ?の寿司ポップソング。でもたしかに友達宅でのパーティーに寿司はおかしくないし、ホームパーティーならではの身内でラフに自由に楽しめるムードがギュッと詰め込まれた楽曲。あまりに途中の「へい!」の掛け声が勇ましすぎる。
2. HARERU「スイセン」
神戸の4ピースロックバンド。先日、その地元神戸で行われた野外コンテストにて、多くの有望株アーティストを抑えてグランプリを獲得。
ポップな楽曲を多く持つイメージがあったのだけども、最近SNSに投稿されているライブ動画を見ると熱量の高さや音の鋭さも感じていた彼ら。この楽曲も6分弱のロックバラードだけども、その鍛え上げられた音の強さも感じてるうちに、あっという間に時間が過ぎてしまった。
3. Marie’s Girl「サテライト」
こちらも神戸のロックバンド。2024年の本格始動から現場主義を貫き、全国にリスナーを増やした彼らの覚悟さえ感じるサブスク配信。2月12日には太陽と虎で自主企画を開催する。
鳴り響くロックサウンドの中でも星夜の中での静かな寝息や淡い思い出を想起させ、若者が複雑な心のなかで成長していく様が見える。これからも新しい夜の歌を歌って、闇夜の支えになってほしい。
Marie’s Girl「サテライト」収録『hinode (AM5:00)』
4. カフェインジャンキー「ぼくらのライフ」
密かに注目され始めている邦ロック系ボカロP。なんと2024年は15曲以上を配信リリース。Xのポストのような愉快な側面も感じさせるけど、洗練されたサウンドがしっかりと僕らのムズ痒い感情を掌握してくれる。
この楽曲も静かに体が沈み、削られていく心が伝わる。だが聴いていくうちに進みたかった人生のルートにしっかり体を向けてくれる。MV100万再生が目標とのことだが、サブスクも回るタイプだろう。
5. ガガ・スプート「スカイライン」
滋賀のスリーピースロックバンド。まだこの記事作成時点でXのフォロワーは50だが、良い意味で見合ってない。
ユイト(Gt.Vo)の伸びやかなボーカルは老若男女に好かれるものがあると思うし、まさに空に放たれたような果てない心地良さを与えてくれるサウンドとの相性も抜群。ライブハウスで一緒に手拍子、そして「ラララ」と歌おう。
6. インタールード「強がりと嘘」
大阪のフォーピースロックバンド。とにかくいつでもライブをしている印象で、昨年11月には私主催の大阪のイベントにも出演。前日群馬だったぞ。
熱い気持ちを最高速度そのままに届ける4人だが、この楽曲は冬にピッタリなバラードとなっている。そこに新鮮さも覚えつつ、ライブでもフロアに刺さるイメージがしっかりとできる強さ。この不器用さはあなたにもきっと覚えがあるはず。
7. Brown Basket「KICK THE FLOOR」
勢い止まらぬ京都のロックバンドが、1年4ヶ月ぶりのサブスクリリース。この楽曲に加えて『切に願う』も同時リリースされている。
最初のシンガロングから一気にトップスピードへ。そこからは手も足も動かずにはいられないサウンドが始まる。歌詞も巧みで、こんなの家で聴いていたら、下の階の人に迷惑がかかるので、ライブハウスに行きましょう。1月から全国21カ所ライブツアーですし。
8. アベカワズ「ハンドサイン」
2023年活動開始した静岡のロックバンド。個性の強いというメンバーが王道のロックンロールを真摯に鳴らす。
今作も力強くも余計な重みのない聴きやすいメロディーが、純粋なハートを飛ばしてくる。気持ちは示さなきゃ分からないというのは、当たり前のことかもしれないけど、ちゃんと言語化して前向きな気持ちにしてくれる。それはロックバンドの大きな役割の1つかも。
9. sweet rain「今、終わる夏」
東京の20代”異端ロックバンド”と言えば、このバンド。活動休止やメンバーの脱退を経ながらも、群雄割拠の東京のライブハウスシーンにおいても、より濃い色を放つオルタナティブ。
今作も新体制となって初リリースとなる楽曲だが、独特な温度感と奥行きを生んで、きっちり深くへと引き込む。色彩を奪われるようなクライマックスまで聴き逃すな。
10. ローライラック「claymore」
宮城エレクトロニカロックバンド。
エレクトロなバンドらしいサウンドの新しさとこだわりを感じる歌詞。簡単に“らしい”なんて書いているが、聴いてすぐにその個性を伝わせることは簡単ではない。ソロアーティストも増える中で、間違いなく希少性の高いバンド。
あと、とにかく忙しい大学生活の間に作ってるアルバムの収録曲でもあり、その制作過程を動画に残している。(卒論も含めて)無事間に合ってほしい!
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