【このリリースがすごい!】青春群像録『変わらずに変わっていく』 | 次世代バンドの1stミニアルバム、諦めとともに鳴るオルタナティブ

コラム・特集
2026.4.17
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音楽ファンは要チェック、注目のリリースをレビューする特集企画『このリリースがすごい!』。今回は、青春群像録のミニアルバム『変わらずに変わっていく』を紹介。


いつか終わってしまうことをわかりながら駆け抜ける日々のことを青春と呼ぶのなら、ほんの一瞬で過ぎ去ってしまうカタルシスを求めて鳴らされるオルタナティブ・ロックは、そのサウンドトラックに最適だ。青春群像録が気鋭レーベル・2st Recordsからリリースした1stミニアルバム『変わらずに変わっていく』には、そんな青い季節が手から離れる瞬間の感情の揺れが、鮮やかに閉じ込められている。

2022年冬に高校の軽音楽部で結成された4人組の彼らは、第16回東京都高等学校対抗バンドフェスティバルでグランプリを獲得するなど在学中から非凡なセンスを発揮してきた。大学受験を挟み活動を再開した昨年春からは、東京都内のライブハウスを中心にオルタナリスナーからの支持を拡大させている。

ツインギターでハーモナイズされたアルペジオと轟音パートのコントラストを聴かせるスタイルは、今日のシーンにおいてもはや王道と言っていいだろう。その中で光る彼らの大きな武器が、永木あずさ(Gt,Vo)のまっすぐな視線と、その歌を押し潰さず、むしろ輪郭を際立たせるサウンドだ。感傷に取り憑かれながらも俯かない永木の歌声は、詞世界に応じて声色を微細に変化させながら、激情的に渦巻く演奏の中で埋もれずに耳を突き刺す。

Tiny Moving Partsを想起させるTwinkle Emoなタッピングフレーズから幕を開け、胸を熱くする疾走感とシンガロングへと展開していくM4「pray」、5分間のスローパートで積み重ねたサッドネスを、クライマックスで爆発的に解き放つM5「別離」。そうしたドラマチックなソングライティングには、若さ故の焦燥や切実さが痛いほど瑞々しく刻まれている。ここにあるのは、ただフレッシュなバンドの初期衝動ではない。変わっていくものと変わらないものを同時に見つめてしまった時の迷い、終わりや別れを受け入れきれずにそれでも進んでいくしかないという諦念に近い決意。その複雑な手触りは今でないと形にできないということを、青春群像録は知っている。

 


青春群像録『変わらずに変わっていく』

青春群像録『変わらずに変わっていく』各サブスク

青春群像録『変わらずに変わっていく』歌詞

 
 

この記事の執筆者
サイトウマサヒロ
1995年生まれ、フリーのライター。インタビュー、ライブレポート、コラムなど書きます。