【コラム】ストリーミング時代も変わらない“胸に刺さる言葉・歌詞” の強さ― 落合渉「君が隣にいることいつか当たり前になってさ」のヒット | TikTokとバイラル

2020.2.6

先日、東南アジアのバイラルチャートを席巻している楽曲cinnamons × evening cinema「summertime」の事例を紹介しましたが、今国内でもある楽曲がSNSと音楽ストリーミングが相互に関係しながらスマッシュヒットにつながっています。

落合渉「君が隣にいることいつか当たり前になってさ」

大阪出身で、現在は上京し東京・大阪を中心に全国各地へ活動の幅を広げているシンガーソングライター落合渉。以前からストリートライブも多く行い、地道な活動で培われたライブパフォーマンスは定評を得ています。そんな落合さんが2019年10月4日に配信リリースしたアルバム『ノンフィクション』(CDでは2019年5月18日にリリース)の4曲目に収録されている「君が隣にいることいつか当たり前になってさ」。同曲はMVも2019年8月1日に公開され、現在35万回以上再生されており、昨年からじわじわと再生は伸びていました。


ストリーミング時代も変わらぬ心に響く言葉・歌詞の強さ ― 落合渉「君が隣にいることいつか当たり前になってさ」

『ノンフィクション』各配信ストア : https://linkco.re/7prb3u1g

国内バイラルチャートで1位を記録

そんな中、同曲は今年1月11日にSpoptifyのチャート、日本バイラルトップ50の2位に突如チャートインし、1月13日にはチャートトップを記録。その後も、1月29日に14位までさがったものの2月4日には再び10位まで浮上し、TOP10の高い順位で現在も推移しています。


ストリーミング時代も変わらない“胸に刺さる言葉・歌詞の強さ” ― 落合渉「君が隣にいることいつか当たり前になってさ」
Spoptify 日本バイラルトップ50(2020年1月1日〜2月4日)における落合渉「君が隣にいることいつか当たり前になってさ」デイリーの推移

この楽曲のバイラルについて改めて追跡してみると、「summertime」と同様TikTokが強く影響を及ぼしている動きが見てとれました。しかも、この楽曲に関しては他と異なる興味深い要因の存在に気付きました。

ストリーミング時代も変わらない“心に響く言葉・歌詞”の強さ

通常楽曲のTikTokからの拡散は著名人によるポストや、チャレンジ系、アルゴリズムやミームへのフィットといったケースがよくあります。そして、共感系。

「君が隣にいることいつか当たり前になってさ」においては、その強く共感を呼ぶ言葉・歌詞が1曲の中に1つではなく2つ含まれていました。

楽曲タイトルである

「君が隣にいることいつか当たり前になってさ」

そして、

「君が僕以外の人をいつか選んでしまってさ」

という歌詞。

これらは比較的長い言葉ですが、ユーザーはそれぞれハッシュタグをつけこの楽曲をTikTok動画でポストしています。

この2つの言葉は、カップル、特に10代のカップルから強く共感を呼んだようで、TikTokでもポピュラーな #歌詞動画 #カップル動画 という要素と合わさりながら拡散しています。落合さん自身も同曲の動画をTikTokにポストしていますが、二つの歌詞フレーズを含んだポストは今年に入ってから加速度的に広まっています。

@tomo02.06

記念日に作ったらガチ泣きしてくれた(;;)#君が隣にいることいつか当たり前になってさ #落合渉 #記念日 #anniversary #歌詞動画 #動画編集 #バズりたい #おすすめのりたい #運営さん大好き

♬ オリジナル楽曲 – 👼🏻❤︎︎

@2143282646

#君が僕以外の人をいつか選んでしまってさ 今年1年も一緒にいてくれてありがとう来年もよろしく︎︎︎︎︎☺︎

♬ オリジナル楽曲 – sёяа

@ochiai_wataru

大切な人が隣にいることは決して当たり前じゃない。#落合渉 #この楽曲がtiktokで使える様になりました #おすすめのりたい #mv #君が隣にいることいつか当たり前になってさ

♬ 君が隣にいることいつか当たり前になってさ – 落合渉

この二つの歌詞フレーズがリスナーの興味をどれだけ喚起したかは以下の通り。


ストリーミング時代も変わらない“胸に刺さる言葉・歌詞の強さ” ― 落合渉「君が隣にいることいつか当たり前になってさ」のヒット | TikTokとバイラル
「君が隣にいることいつか当たり前になってさ」Googleトレンド検索結果

ストリーミング時代も変わらない“胸に刺さる言葉・歌詞の強さ” ― 落合渉「君が隣にいることいつか当たり前になってさ」
「君が僕以外の人をいつか選んでしまってさ」Googleトレンド検索結果

Via:Googleトレンド(2020年2月6日時点)

Googleトレンドにその流れが明確に表れています(しかもこれらの歌詞を検索している地域が地方だというのも興味深いですね)。こうなると、アーティストがTikTok及びストリーミングサービスに楽曲を配信していることが前提ですが、ストリーミングサービスで再生が伸びるのは必然ですね。

著名人や業界のバックアップといったものが背景に感じられず(確信はありませんが)、インディペンデントで活動するアーティストが紡ぎ出す素晴らしい言葉、歌詞自体がSNSでオーガニックに共感を呼んでストリーミングヒットにつながっている今回のケース。USでは当たり前となっているTrillerやTikTokからのヒットが、今年やっと国内でも加速していくのかもしれません。

SSW・落合渉

落合さんは、2月2日に1stアルバム収録曲「君の風景」を改めて配信リリース。無料ファンクラブ「チーム落合」も展開しており、2020年夏には全国ツアーを開催予定。また4月と5月には大阪と東京でAcousticLIVE2020「Yellow」開催をアナウンスしています。


ストリーミング時代も変わらぬ心に響く言葉・歌詞の強さ ― 落合渉「君が隣にいることいつか当たり前になってさ」

落合渉
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