【このリリースがすごい!】Rhakka『afterglow』 | 注目バンドの1stアルバムで綴られた、強くて優しい距離感

コラム・特集
2026.5.19
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音楽ファンは要チェック、注目のリリースをレビューする特集企画『このリリースがすごい!』。今回は、Rhakkaのアルバム『afterglow』を紹介。


今ここにあるものだけを信じて駆け出す時の高揚感と、それでも頭の片隅にちらつく明日のシフトや迫る提出期限の憂鬱と、その相反する感情をどこか冷めた目で俯瞰しようとしているまるで他人のような誰かと。Rhakkaの1stアルバム『afterglow』には、それらすべてをひっくるめて自分と呼び包み込んでみせるような、不器用でも優しい距離感がある。

2025年に結成され、下北沢を中心に精力的なライブ活動を展開している4人組。cephaloのメンバーであるオオマエ(Gt)、ともにWater Mazeで活躍したクマガイ(Ba)とYamato(Dr)、そして後に海風邪を結成する梅サワ(Gt,Vo)と、東京インディーオルタナシーンのキーパーソンと言えるメンバーが揃った。

待望の1stフルアルバムとなる本作では、これからいかようにも彩っていけるキャンバスの白さと広さを存分に活かすように、思い切りの良いサウンドがせーので一塊に鳴らされている。本作のリリースパーティで彼らがNUMBER GIRL「IGGY POP FUN CLUB」をカバーしたことにも象徴されているように、90年代オルタナ〜インディーからの影響もピュアに出力。梅サワの歌声もクリアでストレートに響きつつ、半音ずつ動くM5「Yes, sir!!!」をはじめとするアンニュイなメロディラインが、少し背筋を曲げて歩く私たちにフィットする。

そして何より、本作の手触りを異質なものとしているのが梅サワによる詞だ。彼女の言葉は切実でありながら、同時に対象と妙な距離があって、その隔たりが後悔や諦念を示唆しつつも、わずかに残る体温を閉じ込めている。「もう会えないって鮮烈だろ / そうだろ」(M1「青空響室」)とやけに他人事のように投げかけて始まり、「私は愛したい / 不細工な人の迷いの格好を / 悲鳴のような笑い方で / バカにするなよ」(M9「灯」)という人間愛に至る全9曲。それは無闇にメタに立つことで大人になろうとしているわけではなくて、むしろ自分の内にあるものを正しく理解しようとするプロセスを経て綴られた核心なのだと思う。

 


Rhakka『afterglow』

Rhakka『afterglow』各サブスク

Rhakka『afterglow』歌詞

 
 

この記事の執筆者
サイトウマサヒロ
1995年生まれ、フリーのライター。インタビュー、ライブレポート、コラムなど書きます。