【特集】SOUNDRAWオーディション選出アーティストEiichi the Franklinが楽曲「Fox the Whale」リリース 新たな創作スタイル語る

コラム・特集
2025.4.23
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2025年春、音楽生成AI「SOUNDRAW」を活用した実験的なオーディション企画が開催された。誰でも自由にビートを生成し、そこに自らの表現を重ねて応募するというこの試みは、プロ・アマ問わず、創作における「壁」を取り払う場となった。本記事では、佳作に選ばれたアーティスト・Eiichi the Franklinへのインタビューを通して、生成AIを用いた音楽制作の可能性と、新たな創作スタイルの在り方を探る。

 
取材・文: 亀山 響吾(ADORNO PROJECT)、Soraki Chiba(SOUNDRAW)

 
ビートがないなら、SOUNDRAWで作ればいい

Eiichi the Franklinは、10代の頃に川崎の地元の仲間とラップを始め、現在はアート作品の制作にも取り組む表現者だ。音楽活動を再開したのは昨年11月。再び言葉に向き合い、自身の内面と社会との関係を描くようなスタイルで創作に取り組んでいる。

「正直、ビートを作る技術はなかったんです。でも、SOUNDRAWを使えば自分でも始められると分かった。制作にかかるコストが抑えられるのも大きかったです。周囲にビートメイカーがいなくても、表現を形にできる。それが一番の魅力でした」

SOUNDRAWでのビートメイキングにおいて、彼が選んだジャンルは「ポップス」と「ローファイ・ヒップホップ」。ただしその音像は、一般的な柔らかさやチルさとは異なる。Eiichi the Franklinは、ラップにおいて「鋭さ」や「暗さ」といった質感を意識しており、南部ヒップホップや東海岸の影響を横断的に受けながら、独自のオルタナティブなスタイルを模索している段階だという。

 
 
Eiichi the Franklinの表現の軸 ― アートとラップの間にあるもの

現在、Eiichi the Franklinは主に絵画・AIアート・3Dアートのデジタルアートを中心に創作活動を行っている。特に、自身のスタイルの核には「ハード・エッジ」と呼ばれる、輪郭を強調しながらも平面的な色彩で構成される表現技法がある。これは、彼が音楽制作において大切にする“言葉の硬さ”、“構造的なリズム感”、そして“音の硬さ”とも深く共鳴している。

「AIで自画像を生成したことがあって、“AIと表現”の関係性にはずっと興味があったんです。アートも音楽も、どちらも“輪郭”や“間”で世界観をつくっていきたいです」


取材時の様子
取材時の様子

 
 
“AIと人間”の新たな表現関係

Eiichi the Franklinは、SOUNDRAWのような生成AIが、音楽のつくり方だけでなく、音楽との”出会い方”にも変化をもたらすのではないかと語る。

「たとえば街の音を拾って、そこから音楽が生成されるようになれば、“偶然を共有する音楽”ができるかもしれない。SHAZAMみたいに、音を聴かせたらそれに反応してビートが返ってくるとか、そんな世界を想像してるんです」

また、3D表現やディープフェイクとの連携にも興味を持っており、「音楽」という枠を越えた“総合的な表現体験”への展望も示していた。

 
 
“聴き手を包む”未来の音楽へ

最後に、今後の活動について尋ねると、Eiichi the Franklinは次のように語ってくれた。

「このまま、SOUNDRAWと一緒に音楽を作り続けたいですね。ラップに限らず、朗読や詩、ビジュアルと組み合わせる形でもいい。活用することで、“音楽はもっと自由でいい”っていうことを、自分なりに証明していきたいです」

生成AIによって開かれた創作の自由は、単なる「効率化」にとどまらず、アーティスト一人ひとりの内面を掘り下げる“鏡”としても機能し始めている。Eiichi the Franklinの作品は、そんな新時代の創作スタイルを体現する一例となるだろう。

一方で昨今、音楽生成AIをめぐっては、著作権を有する楽曲を無断で学習させる手法に対して、国内外で議論が活発化している。生成された音源の法的リスクが懸念される中で、SOUNDRAWはすべての学習データを自社開発・権利処理済みの素材に限定し、合法性と透明性を両立した音楽生成環境を提供している。これは、表現者が安心して創作に没頭できる土壌として、今後ますます重要性を増していくだろう。

今日4月23日、彼の佳作楽曲がSOUNDRAWチームのマスタリングにより、各配信サービスにてリリースされる。SOUNDRAWと人間のコラボレーションが生み出す、“新しい音楽のかたち”を、ぜひその耳で確かめてほしい。

 


Eiichi the Franklin Fox the Whale

Eiichi the Franklin「Fox the Whale」(2025年4月23日配信リリース)
https://linkco.re/uHQRmtCN


SOUNDRAW

楠 太吾 SOUNDRAW社長コメント
私たちSOUNDRAWは、”Unleash your creativity.”「あなたの創造性を解き放つ。」のビジョンのもと、すべてのクリエイターを全力で応援することを志し、開発・運営してきました。 そして今回、SOUNDRAW Auditionを開催させていただき、SOUNDRAWで作ったビートに多くのアーティストの方々にラップという形で命を吹き込んでいただき、多くの素晴らしい作品が生まれたことに感動しています。 優勝された又吉様、本当におめでとうございます。TuneCoreさん、高橋良さんをはじめ、関わったすべての方々に感謝しています。 SOUNDRAWは今後もより良いサービスに進化を続けます。ぜひこの進化を楽しみにしていただければ幸いです。有難う御座いました。

 
SOUNDRAWについて
音楽の知識やスキルなしで誰でも1クリックでビート生成できる作曲ツール。2023年にはオーストラリア発のデザインプラットフォームCanvaとの提携をしたほか、ヒップホップ界を代表するアーティストFrench Montana / Trippie Redd / Fivio Foreignとコラボレーション楽曲をリリースするなど、プロミュージシャンの素材としても使用されている。

SOUNDRAW HP : https://soundraw.io