【このリリースがすごい!】mM7th「エメトワ」| ギターに惹かれ展開にハマる、聴くほどに楽しいパッチワークポップ
音楽ファンは要チェック、注目のリリースをレビューする特集企画『このリリースがすごい!』。今回は、mM7thのシングル「エメトワ」を紹介。
冒頭のじゃかじゃか鳴るギターの音を聴いているだけで、既になんだかワクワクする。
mM7thの「エメトワ」はソリッドでジャジーな雰囲気のあるギターロックみがあって、ゾクゾクするのだ。バンド以外の余計な音は鳴っていないのに、バンドに必要な音だけで空間が満たされている心地がするというか。かつ、安易なキャッチーさに傾倒せず、歌とサウンドのバランスを整えながら突き進む感じなのも良い。
バンド名は、mM7th(マイナーメジャーセブンス)。マイナーメジャーセブンスといえば、コード(和音)の名前である。さらに、自らを「パッチワークポップバンド」と称していることもあって、「音とかアンサンブルにこだわってそう」感がひしひしと伝わる。ちなみに、mM7thは東京発の4人組で、「エメトワ」は2026年9月30日にリリースされた7作目のシングルである。
最初に聴いたときはギターの存在感が好きだなあと思っていた。曲を聴いてもらったらわかるけど、ギターの存在感が大きい。カッティングで存在を示すこともあれば、チョーキングしたギターのうねりで魅せることもあって、ギターという楽器でいろんな景色を魅せてくれる展開になっている。
そのうえで、何回も楽曲を聴いていると、他の楽器の面白さにも気づくことになる。ベースとドラムもタイトで的確。スラップで踊るように展開するベースと、細かくもシャープにまとめあげるドラムがスリリングなリズムを作ることで、ここぞの場面でぎゅっとギターに意識が向かうような足し引きが存在しているように感じる。
サウンド面にさんざん触れたけれど、ボーカルの鹿島理莉子の声も良い。表情が豊かなんだけど、ちゃんと鋭さもあって、歌に表情をつけながらも声の芯はくっきり聴こえるのだ。演奏に埋もれず、それでいてバンドの引き締まった音にもよく馴染んでいるのが良い。
あと、サビのコード進行も良い。響きが移り変わるときに、すとんと落ちる感じがあるのだ。メロからサビに入るところとか特に、それをダイレクトに感じる。服の生地でいう「落ち感」、つまり布が重みですとんときれいに垂れるような、あの感じに近い。ギターの刻みでワクワクしていたところから、サビではその心地よい落ち方にぐっと引き込まれる。
さらに好きなのが、2番に入ってギターがいったん引くところ。あれだけワクワクさせてくれた音が引くことで、曲の見え方がガラッと変わる。音をひとつ引くだけで、新しい場面に入ったことが伝わってくるのが巧いなーと思う。
あと、楽器の抜き差しだけでなく、声の重ね方で展開を作るところも好きで。2番のサビ終わりで、男女混成の多重コーラスが差し込まれて、楽曲は一気にピークへと盛り上がっていく。楽器の音に惹かれたと思ったら、声の重ね方でも見せ場を作るのかという意味で、わりと興奮した次第。
こうして振り返ると、統一感はあるのに、良い意味でパッチワーク感のある音楽なんだと思う。カッティングやスラップが目立つ場面もあれば、多重コーラスを聴かせる場面もあって、使っている素材はけっこう違う。なのに、一曲としてはきれいにまとまっている。この組み合わせ方と分量のセンスがほんと絶妙。ソリッドでジャジーなのに、その中にこれだけいろんな表情が詰まっているのが良いなーと思うわけである。
というわけで、ギターの音に惹かれたところから、気づけば展開の隅々まで聴き込みたくなる一曲だった。そんなバンドアンサンブルの面白さも含めて、今回はmM7thの「エメトワ」を「このリリースがすごい!」に挙げさせてもらった次第。

mM7th
シングル「エメトワ」 https://linkco.re/v9C5Yuza