Rashad Haughton インタビュー |「Blak Suitの創り出す音楽は、現代社会で戦う女性一人一人の物語そのもの」

2015.9.30


Rashad Haughton
Rashad Haughton

全米で絶大な人気を誇ったR&Bシンガーで女優としても活躍し、宇多田ヒカルやCrystal Kayにも多大な影響を与えたアーティスト「アリーヤ(Aaliyah)」。その兄「ラシャード・ホットン(Rashad Haughton)」がエグゼクティヴ・プロデューサーをつとめるプロジェクト「Blak Suit」のデビューシングルがリリースとなった。今回リリースにあたって、Rashad Haughtonにメールインタビューを行った。

 

――Blak Suitの「Choco Banana」リリース、おめでとうございます。今回のプロジェクトは、いつ頃から企画されていたのでしょうか?

ありがとうございます。私はプロジェクトを企画するとき、今現在自分のおかれている環境から入ってくるパワーやアイディアを大切にしています。
2010年に来日し日本に住みはじめ、日本で仕事をして新しい仲間やビジネスパートナーに出逢い、そんな日々の生活の中で見つけたインスピレーションの積み重ねがこのプロジェクトのベースとなっています。実際にクリエイティブが形になるまでの期間は数ヶ月でしたが、長い時間をかけて育ててきたプロジェクトでしたね。

――今このタイミングで、女性アーティストをプロデュースしてみたいと思った経緯やキッカケがありましたら教えてください。

ずっと妹アリーヤのクリエイティブコンサルタント、スタイリスト、音楽制作まで務めてきたからこそ、僕にとって女性をプロデュースすることは自然な成り行きでしたね。

――どうしてそのプロデュースワークを日本で、日本人の女性と行ってみたいと思ったのでしょうか?

日本が大好きだったからです。その気持ちから、ずっと日本人アーティストをプロデュースしたいと思っていました。そんなときに、オーディションでHAZUKI (Blak Suitボーカル) に出会ったんです。彼女の歌声と演奏能力はもちろん素晴らしい。そしてそれ以上に、小さい頃からずっと音楽に触れて育ってきて、僕がやりたかったアーティストコンセプトをすぐ理解してくれた。そんな彼女に出逢えたのが、今回のプロデュースのきっかけです。

――ラシャードさんは、幼い頃から日本文化に興味を持ち、大学では日本映画を専攻していたとのことですが、最初に日本に興味を持ったキッカケは何だったのでしょうか?

小さい頃から日本のアニメが大好きだったんです。初めて日本のアニメを見たとき、その設定の細かさ、複雑で深みのあるキャラクター、コンセプトに沿って考え抜かれたストーリー構成にすぐに引き込まれていきました。そして気が付けば、大学で日本映画を専攻していましたね。

――日本映画の中で特に影響を受けた作品や、映画監督がいましたら教えてください。

1人の監督に絞るのは難しいです… 黒澤明監督、溝口健二監督も大好きだけど、選ぶなら宮崎駿監督の「もののけ姫」か、小津安二郎監督の「晩春」「麦秋」「東京物語」ですね。

――日本映画に利用されている音楽がインスピレーションの元になっていたりしますか?お気に入りの日本映画音楽があれば教えてください。

武満徹さんと、久石譲さんです。映画音楽は「もののけ姫」の曲が一番好きで、今でもプロデュースする作品はジャンルを問わず影響を受けています。

――実の妹である歌姫アリーヤさんを含め、ラシャードさんは今までたくさんの才能溢れる女性アーティストたちと出会ってきたと思います。成功を掴む女性アーティストたちに共通して受ける印象はありますか?

 

 
妹のアリーヤもそうでしたが、声、スタイル、容姿、ダンス、正直に言って生まれ持った才能によるところも大きいと思います。ただそれに加え、彼女は努力家でもありました。ですので、天性の才能とプロフェッショナルな姿勢を併せ持つことが、真のスターへの道に続くと思っています。

――今回の「Blak Suit – Choco Banana」はどんなコンセプトで制作されたのでしょうか?

日本に来て初めて電車の中でブラックスーツを着た男女を見かけたとき、不思議な印象を受けました。それがこのプロジェクトのタイトルにもなっています。それは決してネガティブなイメージじゃなくて、結束、集中、自制心という自分が大学で学んできた日本文化のキーワードが浮かんでくるような感じで、日本らしくて良いなと感じたんです。

 

 
ただその一方で、女性の中には大なり小なり少女の心が残っていて「楽しみたい!」という願望が、いつも心のどこかにあると思うんです。だから、朝満員電車で押し潰されて挫けそうになった時、ボスに怒られて落ち込んだ帰り道。「頑張れ!絶対やれる!」とか何かを強要する応援歌ではなくて「BlakSuit」の曲を聴いて自分を重ね合わせて、ほんの少し元気が湧いてくる、そんな曲を作りたかったんです。

――本プロジェクトで、ラシャードさんが世の中に伝えたい想いやメッセージを教えてください。

今回のシングル「Choco Banana」は、是非歌詞を聴いてもらいたいです。笑ったり、悩んだり、時に感情的になったり、楽しく弾けたり。Blak Suitの創り出す音楽は、現代社会で戦う女性一人一人の物語そのものなんです。僕が小さい頃から大好きだったこの日本で、一人でも多くの人に笑顔になってもらえたら嬉しいです。


Blak Suit

Twitter
YouTube
Facebook

この記事の執筆者

THE MAGAZINE

国内のインディペンデントアーティストをメインに新たな音楽ムーブメントを紹介するウェブメディア