秋月琢登 (感覚ピエロ) |「自分たちが地に足をつけた形で360度回っていけるのが、いちばん強くなるはず」

2016.5.27

感覚ピエロというバンドを、ご存知ですか?「知ってる!」、「最近、聞いたことある!」そんな人が今、すごく多いのではないでしょうか。そうですそうです、毎週日曜日に放送中の人気ドラマ「ゆとりですかなにか」(日本テレビ)の主題歌を歌っている、あのバンドです。現在、話題急上昇中の感覚ピエロですが、あまり世の中から気付かれていない事実があります。彼らはなんと、2013年にバンドを結成して以来、音楽レーベルやマネジメント会社に所属せず、すべて自分たちの手で、セルフプロデュースで活動しているのです。なんの後ろ盾もない、裸一貫のインディーズ・バンドが、宮藤官九郎さん脚本の注目ドラマに主題歌として起用され、地上波に乗ってお茶の間まで届いている。実はこれ、大変なことが起きています。「ゆとりですかなにか」の主題歌を歌うことになった経緯とは?セルフプロデュースで活動し続ける想いとは?感覚ピエロのギタリストであり、自主レーベル・JIJI RECORDS代表も務める、秋月琢登さんにお話を伺ってみました。

少し早い、エイプリルフールなんじゃないか。

——あの… 最初に伺っても、良いでしょうか?おそらく、今多くの人たちが気になっているであろうことを。

どうぞ、どうぞ。
 

<秋月琢登さん(感覚ピエロ)>

——『ゆとりですがなにか』のタイアップは、一体どんな経緯で実現したのでしょうか?

(笑)

——いや、みなさん、「感覚ピエロが地上波の主題歌」って事実を、あまりにも簡単に済ませすぎじゃないかと(笑)。これ本当に、ものすごいことで。

ありがとうございます。まず、そうですね… あの、『ゆとりですがなにか』の主題歌になっている「拝啓、いつかの君へ」って曲は、元々このドラマのために書き下ろした曲ではないんです。

<拝啓、いつかの君へ>

今年のはじめに、日本テレビの音楽出版の方から、「秋月さん、ぜひお話頂きたい方がいるのですが」と、連絡を頂きまして。そこでご紹介頂いたのが、今回のドラマで演出監督を務めている水田伸生監督だったんです。

その後すぐに、水田監督から「感覚ピエロさんですか?「拝啓、いつかの君へ」という楽曲をYouTubeで拝見したのですが、僕が次に作る日本テレビの『ゆとりですがなにか』という作品に、ぜひ楽曲を使わせて頂きたくて…」という内容の電話をもらって。

——もうそこで、いきなり。

あんまりにも突然すぎる内容なので、これは怪しい電話じゃないんだろうか?と半ば疑いつつ(笑)。それで話を進めていく内に、どうやらこれは本当らしいぞ、ということが分かって。

——すごいなぁ。

びっくりでした(笑)。すごく恥ずかしい話ですけど、最初に「『ゆとりですがなにか』という番組なんです」と水田監督に言われたとき、そのタイトルだけを聞いて「どんなバラエティ番組なんだろう?」と思ってましたし。

でもそこで、「脚本は宮藤官九郎、主演が岡田将生、松坂桃李、柳楽優弥…」と、キャストの皆さんの名前をばーっと聞いて。そこらへんから、ちょっと頭が混乱して(笑)。

ひとまず「分かりました、ありがとうございます」と言って、その電話は終えて。一息ついて、『ゆとりですかなにか』と、ググってみると…

——まさかの…

「えっ!!ドラマですかコレは!?」と(笑)。もうほんと、少し早いエイプリフールなんじゃないかって感じでしたね。

 

書き下ろしといっても、おかしくないぐらい

——今のご時世、監督から直々にバンドに声がかかって、地上波ドラマのタイアップソングに決まるなんて…

滅多にないですよね。特に、僕たちのようないちインディーズ・バンドにオファーをもらえるなんて。水田監督にはもう、すごく感謝してます。まず、YouTubeで「拝啓、いつかの君へ」のPVを観てもらっているっていうのが、驚きだったし。

ただ、この曲(拝啓、いつかの君へ)に関しては、実は出来上がったときから、僕らの中でも引っかかるものがあったんです。なにかにハマるんじゃないかって予感がすごくして。

だから著作権に関しても、あえてJASRAC登録せずフリーにして、誰でも楽曲を使える状態にしていたんです。それも結果として、それも良かったんですよね。タイアップのお話をもらったときに、著作権使用料の部分に関しては「ぜんぶフリーです」と即答できたので。

——元々、「なにかの予感がする」曲だったんですね。

そうだったんです。それにこの曲は唯一、僕が作詞作曲をやった曲で。今までずっとボーカルの横山がやってきていたのを、この曲だけ僕がやって、曲のニュアンスや歌詞を今までのものからガラッと変えて。「なにか新しいキッカケになれば」という位置付けで、書いた曲だったんですね。

言い換えるなら、今まで僕たちを聴いてきたお客さんには「感覚ピエロ、いきなりメジャーな方向に行ったな」と、思われる可能性もあり得た曲というか。

——なるほど…

正直そのバランスは、去年のリリースタイミングに(2015年10月リリースのアルバム『あなたの正義、創ります。』に収録)すごく迷いました。でも何度も考えた結果、この「拝啓、いつかの君へ」は、僕ら、感覚ピエロとして、今後向かっていかなくちゃいけない方向を意味する曲なんだと思えて。

だから今、そういう経緯があって世に出て行った曲が、結果たくさんの人たちに聴いてもらえる曲になっているっていうのは、すごく面白くて。
 

<あなたの正義、創ります。>

——ある意味、バンドからもそうなる意図を、あらかじめ持たせた曲というか。

実際に後日、あらためて水田監督とお会いする時間があって、直接気になっていた部分を伺ったんです。そのときに、オファーをくれた理由として「あの楽曲の歌詞や世界観が、この作品にぴったりだった」と言ってもらえて。

それで、水田監督がドラマの脚本を、3話ぐらいまで読ませてくれたんです。その場で読み進めていったら、全然誇張じゃなく、歌詞の内容とドラマの世界観がリンクする場面が何度もあって。だから水田監督が「ドラマの世界観にぴったりだった」っていうのは、本当にそう思って言ってくれているんだと、すごく嬉しかったですね。

あとは、僕ら自身も「ゆとり世代」なんですよ。僕も含めてメンバー全員、まさにど真ん中の年齢(笑)。そういう色んな背景が絡み合って、この「拝啓、いつかの君へ」という曲は、このドラマのために書き下ろした曲と言ってもおかしくないぐらい、すごくその世界観にハマったんだと思います。

 

「O・P・P・A・I」って曲が、ありまして

——あの… 失礼でしたら、すみません。

はい。

——実はこのインタビューを行う前までは、あんまりにも色々と綺麗に決まりすぎていたので、「これは元々、仕込んであった話なのかな?」って、思ってました。

(笑)

——ほんとうに、すみません。

いや、でも、そう思われても不思議じゃないくらい、全てがすごく良いタイミングで合ったんですよ。タイアップの予感を信じて、楽曲に関する権利を自分たちで持っていたのもそうだし、6月1日に『不可能可能化』って名前のセカンドミニアルバムを出しますけれど、これもこのタイアップありきで決定した話ではなくて、元々去年から、自分たちで決めていたものですし(笑)。
 

<不可能可能化>

——秋月さんたちのところへ直接オファーが行くことも驚きなんですけど、それが「タイアップ決まった!」で喜んで終わりではなく、次の展開に発展させていく動きがすごいですよね。咄嗟の出来事にも、よくリアクションされているというか。

それは意識してますね。たとえば脚本の1話目を読んだときに、「おっぱい」っていうワードの連呼があって…

——(笑)

水田監督に「あのー… これ『おっぱい』って単語、めちゃくちゃ出てますよね」と話してみて(笑)。「実は僕たちにも「O・P・P・A・I」って曲がありまして…」って、言ってみたんですね。そしたら監督がニヤッとして、「実は、あれも観ました」と。

<O・P・P・A・I>

——『O・P・P・A・I』のPVも、観てくださっていたんですか!

そうだったんですよ。だから僕も、「もしかしたら、この楽曲(O・P・P・A・I)も入れてみるもの、面白いかもしれませんよね」と提案してみたら、監督が「入れる入れないはどうなるか分からないけれど、もしハマれば、面白いことをしようよ」と答えてくれて。

——その結果があの、『おっぱい祭り』に。

嬉しいことに、見事ハマって(笑)。水田監督、僕たちみたいなインディーズ・バンド、ましてやレーベルやマネジメント事務所もつかずに、ぜんぶ自分たちでやっているような人と仕事をするのは初めてらしいんです。

だからそれも含めて「せっかくだから、面白いことをやろうよ」と、言ってくれて。「このバンドなんなんだよ!?って言われるぐらいに、したいよね」って。

——監督とアーティストの間で、面白いことを一緒に考えていく、信頼関係があるんですね。

水田監督あっての話ではありますけどね。ただ、これはバンドの活動ぜんぶに言えることだと思っていて。やっぱり、他人任せ、他力本願にはなりたくないんです。
感覚ピエロは自分たちのバンドであって、自分たちがプレイヤーですから。自分たちの売り出し方や、どこで誰とどんな掛け算をしたらファンが喜んでくれるのかということに対して、自分たちで考えてプロデュースしていく姿勢を、大事にしたいんですね。

 

飛ぶまでの、最短ルートを

——感覚ピエロの活動を見ていると、すごく確信犯的に、自分たちをプロデュースしているなぁと感じます。それこそ「O・P・P・A・I」のような方向に振り切れるときもあれば、今回のタイアップのような場所もあって。

元々、そういう気質はあるんですよね。感覚ピエロの成り立ちも実は、僕がライブハウスのブッキングマネージャーをやっていたときに、面白かったプレイヤーたちを集めて結成してますし。

——秋月さんがブッキングマネージャーを?

はい。関西のライブハウスで、ブッキングマネージャーを4年程度やっていて。ライブハウスって、当たり前ですけど1日に5〜6組アーティストがライブをやっていて、それを年間365日観ることになるんですね。4年間続けたら、2,000組近くのアーティストを見ることになって。
 

<秋月琢登さん(感覚ピエロ)>

そうやって観続けていく内に、バンド活動における「バランス」の難しさが分かる。たとえば、ギターやドラムだけがものすごくうまいバンドがいたり、ボーカルが変わるだけですごくよくなるのにって思うバンドがいたり。要はメンバー同士の「組み合わせ」だなぁと思ったんです。(感覚ピエロの)ボーカルの横山なんかはまさにそれで、ライブを観ていて、このボーカルいいなぁと思っていた奴なんです。

——横山さんとは、ブッキングマネージャーと出演者という形で出会われたんですね。

そうだったんです。それでそんな時期を過ごす中で、僕が個人的に良いなぁと思っていたメンバーのいるバンドがぜんぶ同じタイミングで解散しそうになったときがあって。そのタイミングで、あらためて横山に声をかけて、僕が自分の前身バンドからドラム(西尾)と、他のバンドからベース(滝口)を連れてきて結成したのが、感覚ピエロなんですね。だから最初から、チーム編成も含めて、自分たちで狙って組んでいるというのがあるんです。

——はあぁ… なるほど。

そのときの経験は、今もかなり生きてますね。ブッキングマネージャーって、アーティストのかなり深い部分まで、入り込むんです。楽屋から、ステージから、精算から、全ての工程に立ち会う。するとその中で、飛び抜けていくバンドもあれば、途中で勢いをなくしてしまうバンドも見えてくる。そういう光景に何度も出会っている内に、客観的に見て、バンドが飛ぶまでの「最短ルート」は、導き出せるんじゃないかと思って。

バンドマンってどうしても、固定概念に捉われがちなところがあると思うんです。とにもかくにも、自分たちの信じた音楽をやっていければ、それでいいみたいな部分があって(笑)。もちろん、それはそれですごく大事な姿勢なんですけど、その固定概念から一度離れて、今自分たちに何ができて、今何が足りていないかを的確に把握して、まずは世間に評価してもらうステージに立たなくちゃ、と思うんですね。

——まずはステージに立ってからが、スタートだと。

はい。僕たちが感覚ピエロを結成して最初にやったのも、バンドとしてPVをつくることだったんですね。2013年の7月に「メリーさん」のPVを撮って。デモ音源をどこかにアップしたり、CD-Rに焼いて配ったりするんじゃなくて、最初からPVで行ってみたんです。

<メリーさん>

これは僕の考えですけど、たとえばカフェを出すとして、外装にしっかりお金をかけて最初からお洒落な店舗を構えたカフェと、味には自信があるから外装は後まわしだって判断でひとまず店舗を構えたカフェがあったとしたら、みんなどっちに入るんだろうっていう。ほとんどの人が、前者ですよね。

——たしかにそうですね。それに、たとえ味が美味しいんだとしても…

後者のカフェには、足を運びづらいだろうなぁと。結局、足を運ばずに終わってしまうことも多いと思うし。そういう考えを音楽活動に置き換えてみると、僕たちも「できるだけ高い位置」から自己紹介する方法を考える必要があって。それは、SoundCloudにデモ音源をあげることでもなく、CD-Rを配ることでもなく、音と映像で合わせて勝負する「PV」だったんですよね。

 

プレイヤーが、やりたいことを具現化する

——なるほど… すると「メリーさん」の公開が2013年8月だから、そこからすぐに「O・P・P・A・I」を(同年12月にPV公開)。

そういうスピード感と、表現の振り幅を出したかったんです。もちろん、1曲目はすごく大事ですけど、その次の手となる2曲目も、それ以上に大事で。僕たちが最初に『メリーさん』のようなアプローチをとったのは、「僕たち、ロックバンドです。どうぞ宜しくお願いします」っていう、あくまでも分かりやすい名刺をつくったというか。

でも、この後にまた同じアプローチでいくと、それはただ単に「ロックバンド」どまりになっちゃうと思うんですね。もっとバンドとしての振り幅を見せる、おもいっきり1作品目と違うところにボールを落とすってことをやってみたくて。

点と点を思いっきり離して、大きな円をつくるというか。そういう考えがあって、ああいう歌詞の、ああいうタッチの、ああいうコメディのような「O・P・P・A・I」をつくりましたね。

——「O・P・P・A・I」で、大きな円を(笑)。

あはは(笑)。いや、(バンドとして)僕らもクールっちゃクールなんですよ。「メリーさん」のときなんて、全員めちゃくちゃ格好つけてますからね。格好つけているのに、メンバー全員、はじめてのPV撮影でしたけど(笑)。

でも、そういうガチガチに決めた作品をつくった後に、バンドとしてめちゃくちゃアホな感じや、バカっぽいところや、個性の強い感じっていうキャラクターを伝えることができたかなと。

——実際に、活動の初期からそういう狙いをもって、ストレートな作風の1作目(メリーさん)と、コミカルに振り切った2作目(O・P・P・A・I)を公開してみて、どうでした?

やっぱり、バンド自体を認知してもらうことには、すごく役立ったなと思います。面白いのが、一気に「コミックバンド」って呼ばれるようになって(笑)。

——まだ、2作しか出していないのに(笑)。

そうです、そうです(笑)。「メリーさん」がゴリゴリのギターロックで、「O・P・P・A・I」がああいう作風で。その2作品を出したら、もう「コミックバンド」と呼びはじめる人がいる。しかも「感覚ピエロは、こうじゃない」とかって言い出してる人もいる(笑)。たった2曲でこれだけの振り幅を感じてもらえるんだったら、3曲目でやれる表現というのは、ますます広がるだろうなぁと。

それは今だってそうで、お客さんの反応を見ていると、すごく面白いんですよ。たまたまドラマの主題歌になった『拝啓、いつかの君へ』という曲があって、あの曲を入り口に、僕たちに興味を持ってくれたひと、ファンになってくれた人も多くいる。

それでその人たちが「感覚ピエロ」って調べてみると、いきなり「O・P・P・A・I」のような作品が出てくる(笑)。「こんなコミックバンドがドラマの主題歌歌ってるの!?」って思われるかもしれないけれど、この振り幅を感じることで、僕たちをもっと面白がってくれているような気がするんです。

——秋月さんのお話を聞いて感じたのですが、「感覚ピエロ」は、自分たちの楽曲と聴き手との間に、コミュニケーションの「厚み」をつくるのが、すごくうまいですよね。

そうだといいんですけどね。でも、たとえば「O・P・P・A・I」みたいな楽曲をSoundCloudにアップしただけだったら、ある程度の再生回数まではいくとは思うんですけど、今こういう役割を果たしてくれる楽曲になっていないと思っていて。

それと逆の話で、たとえばアルバム収録曲としてリリースされていた楽曲だったとしても、その曲をしばらく経ってからあらためて映像化したり、なにかプロモーショナルな要素を持たせたりしたら、きっとお客さんは(その曲を)いいな、って感じてくれると思うんですね。その曲のライブでの立ち位置も変わるだろうし。だから、曲がもつ文脈や力っていうのは、工夫次第でいくらでも高められると思います。

——う〜ん…もうほんと、レコード会社やマネジメント会社が考えて実行していくようなプロセスを、全部自分たちでされてますよね。

(笑)。やっぱり、さっきも少し話しましたけど、プレイヤーである自分たちを中心に、やりたいことを具現化していくっていうのが、いちばんバンドの良さを周りに伝えやすいと思うんですよね。

たとえば僕たちのPVを撮ってくれている監督は、1作目からずっと一緒なんです。彼も僕たちと同世代の映像監督で、すごくクリエイティブに関する意思疎通もとりやすくて。そうやって、バンドメンバーも含めたコアなチームで、ひとつひとつをやっていけているのは、すごく大きいと思います。

<A-Han!!>

 

目と目を合わせて、音楽活動を

——そのチームは、これからもっともっと、大きくなっていくんでしょうか?

そうですね… 「チーム」って捉え方とはまた違いますけど、今度とある古着ブランドさんともコラボレーション予定ですし、そういう機会は増えるかもしれないです。ただ、母体はあくまでも僕たちにあるまま、何かをやって行きたいですね。

今後は、マネジメントがもっと重要になっていくと思うんです。自分たちが地に足をつけた形で、360度回っていけるのが、いちばん強くなるはず。中心はあくまでも僕たちのまま、業務提携というかたちで外部の方とレーベル事業をやっていったり、共同出資という形で新しい会社を立ち上げたり、そういう方法もあるんじゃないかと思ってます。

——すでに行なわれている外部の方との取り組みでいくと、TSUTAYA 限定版(レンタル限定版)をリリースされてましたよね?

出しました。実はあれは、僕たちからTSUTAYAさんに企画を提案させて頂いたんですね。全国に販売網があって、僕たちの音楽が一番届く方法って何かって考えると、やっぱりTSUTAYAさんの存在が大きくて。でもそこで、単純にCDを置く置かないって話ではなく、何か仕掛けとしてユニークなことが出来ないかなと思って。

そこで、もうすでに流通している作品をレンタルに出すんじゃなくて、まだ「未流通」の作品をレンタルで最初に出してみるっていうのは、面白いんじゃないかなと思ったんです。そのアイディアをTSUTAYAさんとお話させてもらっていく内に、いっそ未流通作品を「3タイトル同時レンタル解禁」にしちゃったら、もっと面白いんじゃないかと(笑)。
 

<TSUTAYAレンタル企画1枚目『ソンナノナイヨ』>

そういう流れがあって、2014年と今年に、TSUTAYA限定レンタル版を3タイトルずつ出したんです。だから僕たち、全国流通版のCDはまだ1タイトルで、ようやくこれから2枚目というところなんですけど、TSUTAYAさんにはすでに6タイトル並んでるっていう(笑)。

——そのセルフプロデュースは、すごいですよね。自分たちで販売網すら開拓されていて。

企画を受けてくれたTSUTAYAさんには感謝していますし、それに今って企業の方々も、アーティストの話にすごく耳を傾けてくれると思うんですね。それはスタンスの問題であって、アーティスト側が「なんとなくお願いをする」っていう姿勢じゃなくて、今までこういう取り組みがなかったから、僕たちはこういうことをしたいんですっていう「提案」さえできれば。

——アーティストが主体として、動いていければ。

もちろんアーティストが踏ん反り返って偉そうにしている、というのは全くダメですけど(笑)。でも、あくまで音楽活動の資本というか、イニシアチブをとっていくのは、アーティスト自身だと思うんです。

アーティストが音を作って、歌を歌って、ライブをやって、そこにお客さんが集まって。その火種を広げていくために、外部の人たちと手を取っていくのが、いちばん自然であり、本質なんじゃないかなと思います。

——アーティストを中心としながら、その火種をさらに広げるために、適材適所でパートナーシップを組んでいくということですね。

はい。だから僕たちも、今回のタイアップの件もそうですけど、自分たち自身も、そこに関わる人たちも、お互いが勝てるかたちで活動していきたいんですね。転ぶときはお互いが転びますし、登るときはいっしょに登るっていう関係性で。

バンドとしての活動範囲が大きくなるにつれて、どこかで最小人数のマネジメントに限界は来ると思いますので、そのときには「この人だ!」っていう人たちと、目と目を合わせて、音楽活動をしていきたいなと思います。
 


感覚ピエロ
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