ディープファン君 | 人類へファンク・エレメントを伝える愛の宣教師

2017.9.6


ディープファン君
ディープファン君

2017年のFUJI ROCK FESTIVALのルーキー枠、「ROOKIE A GO-GO!!」の出演でも話題になったファンク・バンド、ディープファン君の初インタビュー。本格的なファンク・ミュージックのグルーヴと、90’sポップ・ミュージックな要素が共存するサウンドを鳴らすディープファン君。そのディープで少しあまのじゃくな世界観は、コアなリスナーを中心に、国内音楽シーンへじわじわと浸透しています。今回はディープファン君のメンバーからスルガアユム(Vo.)、ユーセー(MPC, Beat making) 、チャンサキ(Vo.)の3名を迎え、お話をうかがいました。

 

ディープ+ファンク+○○○○○=ディープファン君

——まずはディープファン君の結成当初のお話を伺いたいのですが、活動はいつ頃から始まったんですか?

スルガアユム(Vo.):2012年だったかな。僕とユーセーが大学の同級生でして。僕は単位を落として留年してたり、こいつ(ユーセー)はそもそも大学にいかなくなってたりしてました(笑)。その頃、(ディープファン君の)前にやってたバンドがあったんですけど、メンバーの就職とかで空中分解しちゃったんです。(自分には)音楽がないとなにもなくなっちゃうので、だから、どうしてもまたバンドをやりたかったんです。そしたらこいつ(ユーセー)がサンプラーでビートメイクをやっていたのを知って、そこから「2人でやろうぜ!」って感じで最初は2人で始めたバンドですね。


スルガアユム(Vo)
スルガアユム(Vo)
 

スルガアユム:ライブをやるにあたって、やっぱり生バンドでやりたかったこともあり、徐々にメンバーを探しました。まず、「女の子のヴォーカルが欲しいな」ってことで後輩だったチャンサキを呼んで、1~2年くらいは活動してましたね。だんだん面白い仲間にも出会えていって、今の形になりました。それで、ようやく形になったかなって感じですね。

チャンサキ(Vo.):今までやってたって言っても活動はめちゃくちゃゆるかったですね。半年に1回ライブとかね(笑)。

スルガアユム:ほんとそう!1年に2回とか(笑)。

——最初はどういう音楽をやりたいと思ってディープファン君を結成したのでしょうか?

スルガアユム:ユーセーはめちゃくちゃヒップホップが好きで、僕は逆にEarth, Wind & Fireとか、Kool & the Gangとかのディスコが好きで。トラックメイクはユーセーがゴリゴリのやつを作ってくれるので、それにわかりやすいメロディーが乗っかってる、みたいなものを作ってました。

——HPのイントロ文を拝見したのですが、言い回しが独特で、ディープファン君としてやりたい音楽のイメージ、世界観が明確にあったのかなと思い、伺ってみました。

ユーセー(MPC, Beat making):あれ、宗教活動みたいですよね(笑)。

——宗教活動(笑)!確かにそんな感じがしますね……!

スルガアユム:カタコトでね(笑)。宗教活動……音楽が伝染病みたく広がっていけばいいなって感じでやっています。

——また、気になっていたのがディープファン君というバンド名なんですけど、名前ってどんな感じで決まったんですか?

ユーセー:カレー屋ですね。カレー屋で「何がいいかな?」「カタカナってかっこいいよね?」って感じで30分くらい討論して、決まりました。

スルガアユム:消しゴムの「まとまる君」ってあるじゃないですか?ああゆう感じがいいよね、って話になって、決まりました(笑)。

ユーセー:「ディープファン君、ええやん!」ってね(笑)。


ユーセー(MPC Beat making)
ユーセー(MPC Beat making)
 

生きづらい日本社会で「ファンクやってんだぜ!」って大声出して言いたくなってきた。

——では、曲作りの話について伺いたいのですが、曲作りはどのようにされていますか?

スルガアユム:トラックは主にユーセーが作っていて、出来た曲をクラウドにボンボン上げてってくれるんですけど、それを僕が聴いて、メロディーをつけて、歌詞をつけて、大体の展開ができるんです。それを最後にバンドのみんなに聴かせて、バンドのみんなが「いいね!」って言えば曲にします。いい曲が作りたいんで、バンド内でも「良い」ってなったやつはみんな「良い」と思うんですよ。だから、そこで判断しています。

チャンサキ:基本的に作ったトラックがベースにあって、バンドが味つけをするって感じですね。

スルガアユム:作り方としては若干特殊かもしれないです。バンドでセッションみたいなものはやらないけど、バンドで広がりを持たせるときは(セッションを)やります。

——曲は多くできる方ですか?

スルガアユム:ストックはいっぱいあるんです。僕がメロディー作るのに結構溜めちゃう部分があるので、そこはアルバムを作るときにいっぱい出せればなぁと思います。

——音楽を作るにあたって様々な音楽に影響を受けてきたかと思われます。さきほども少しお話ししていただきましたが、メンバーの皆さんのルーツミュージックについて伺ってみたいです。

チャンサキ:結構みんなそれぞれ違うんですけど、私の場合は母がジャズピアニストなので、聴いてきたのはジャズとかインストものが多かったですね。あとはマドンナとかマイケル・ジャクソンとかを小さい頃から聴いてきました。


チャンサキ(Vo)
チャンサキ(Vo)

チャンサキ:メンバーと出会ったのが大学に入って、軽音楽部に入ってからなんですけど、そこでエリカ・バドゥとかのネオ・ソウル、ファンクとかを絶対演奏する部活だったんですよね。

スルガアユム:そうだね。

チャンサキ:女性だったらエリカ・バドゥとかチャカ・カーンを絶対歌う部活に入って、その部活がきっかけでネオ・ソウルとかファンクにハマりました。

ユーセー:ストーンズ・スロウ・レーベル(Stones Throw Records、DJであるピーナッツ・バター・ウルフが主催しているヒップホップ・レーベル)ってのがあるんですけど、そこのレーベルがすごくいいっすね。あとは80年代のアメリカ西海岸あたりのファンク……ZAPPとかはめっちゃ聴いてました。

スルガアユム:僕はさっきも言ったんですけど、ディスコミュージックが根幹にあって。Earth, Wind & Fire、マーヴィン・ゲイ……。そこから教科書通りにPファンク、80’sからD’Angeloが出てくる90’sまで通りましたね。当時の大学の先輩に教えてもらってからPファンク、ネオ・ソウルにはまっていきました。
逆にヒップホップはあんまり聴かないんだけど、あれは好きですね。デ・ラ・ソウルが「Come on everybody let’s baseball〜♪」ってひたすら言ってるやつ(笑)。ゴリッゴリのヒップホップよりかは聴いてると楽しくなってくるノリのやつが好きですね。

——ちなみに、他のメンバーさんはどんな感じですか?

チャンサキ:レゲエとかロック畑のやつもいたりするんですけど、基本的にはみんなブラック・ミュージックを聴いてる人が多いですね。

——リスナーとしての出自はバラバラではあるけれど、やはり皆さんの根幹にはブラック・ミュージックがあるわけですね。

スルガアユム:そうですね。黒人になりたかった(笑)。でも、日本人なので日本人らしさを大切にしようと思っています。

——ディープファン君の音楽はブラック・ミュージックをベースにしている中でも日本人らしさ……ディープファン君らしさというものはどこにあると思いますか?

スルガアユム:歌詞ですね。最初の頃は歌詞をそこまで考えてはいなかったんですけど。ブラック・ミュージックの歌詞の感じをそのまま日本語に訳すとどうなるんだろうみたいな、そういう曲を作りたくて。だいたい当時の人たちってLOVEとかしか言ってないんですよ。最終的に「愛してる」、みたいな。だからラブソングが多くなりがちなんですけど、「夜明け」って曲から日常的な、日本人独特の言いたくても言えない……ような歌詞が書けるようになってきて。そこからかなり言葉選びを大事にしてますね。

——こそばゆさ、もどかしさといった感じですかね。

スルガアユム:そうですね。「うまくいかねえ!」みたいな。うまくいかねえをうまくいかねえって言わないような感じを歌詞に落とし込んでます。

ユーセー:「夜明け」って曲がターニングポイントになって、歌詞にこだわるようになったんですよ。自己表現するようになったよね。

スルガアユム:そうだね。鬱憤がどんどんたまってきてね。

ユーセー:それまでは伝えたいこととかなかった。

スルガアユム:そうなんですよ、本当に。でもだんだんね、生きづらい日本社会で「ファンクやってんだぜ!」って大声出して言いたくなってきた。そういうこともあって歌詞も変わってきた、生まれてきたんじゃないのかなって思います。

自分たちで物を作るのはやっぱり楽しい!


ディープファン君「SEXY EP」
ディープファン君「SEXY EP」

——「夜明け」のお話に関連して『SEXY EP』のお話について伺いたいのですが、収録されている4曲はどんな時系列で出来ましたか?

スルガアユム:4曲目の「最後の愛してる」が一番最初に出来た曲で。「SEXY」「夜明け」「朝」は実は結構同時期に出来て。みんな3ヶ月で出来た曲なんです。「SEXY」に関してはイメージをかなり重視してて。煙、湿ってて、スケベな感じを出して。「夜明け」はさっき言った通り、言いたくても言えないみたいな感じで。「朝」は結構妄想な設定で書いてみて、結果的にストーリー性のある感じに収まって、いい作品になったかなと思います。
時系列的には曲順とは逆なんですよね。スターウォーズ的な(笑)。

——『SEXY EP』の4曲はMVも作られていますよね。

スルガアユム:曲が出来てからMVを作り始めたんですけど、やっぱり映像作品は総合芸術だと思うんですよ。

チャンサキ:うちのメンバーにプロのカメラマンがいたりするので、彼を筆頭に作っていきましたね。「夜明け」とかは作るのに時間がかかりましたよね。

スルガアユム:「夜明け」はなんの滞りなく進んで、とても楽しい撮影でした。自分たちで物を作るってのはやっぱり楽しくて。音楽だけじゃなく、それ以外のこともゆくゆくはやってみたい。その先駆けとしてMVを作りましたね……!色々やってみたいですね。

ユーセー:バンドが音楽作ってライブだけやる、ってのはもう前時代のフォーマットだと思うので、例えば演劇とか飯屋と一緒にやるとかやってみると面白いのかなって感じはしますね。

チャンサキ:映画とか作ってみたい!

スルガアユム:いいねぇ〜!

——ディープファン君といえば最近、フジロック・フェスティバルのルーキー枠(ROOKIE A GOGO!!)に出演されましたね!ずばり、出演してみていかがでしたか?

スルガアユム:フジロックは最終日のルーキー枠最後、本当に最後の最後って時間に出演したんですけど、果たしてお客さんがいるのか!?ってなりましたね。もう月曜日だし。みんなビョーク(フジロック最終日のヘッドライナー)みたら帰るんやろ!ってちょっとふてくされてはいたんですけど(笑)、そんなことはなくて。遠方から来てくれた人もいて、かなり自由に好きな事ができたし、結構気持ち良かったですね。


FUJI ROCK 2017 - ROOKIE A GOGO!!1 
FUJI ROCK 2017 - ROOKIE A GOGO!!2

FUJI ROCK 2017 - ROOKIE A GOGO!!3
FUJI ROCK 2017 – ROOKIE A GOGO!!
 

チャンサキ:客としてサマーソニックとかは行ったことあったんですけど、演者として出たのは初めてでした。サマーソニックは都市的だけど、フジロックの山の中でやる感じは雰囲気が全然違って、また行きたいですね。

——フジロックに引き続き、りんご音楽祭への出演が決定されたということで、おめでとうございます。

大人になるにつれて、忘れてしまいそうになる子供の頃のピュアな気持ちを忘れずやっていきたい。

——では最後に、今後の活動について伺いたいです!ディープファン君として、やってみたいことはありますか?

スルガアユム:まずはアルバムを作ることですね。まだ会場限定のEPしか作っていないので、アルバムをつくることが目下の目標です。
あとはさっきユーセーも言っていたんですけど、ただライブをやるだけじゃなくて、色々総合的な面白い感じで自主企画をやって、それを皮切りに面白いことをやっていきたいですね。話していたのは一軒家を借りてライブをしたいってことを昔から言っていて。一軒家を借りたゆるいイベントをやりたいですね。

ユーセー:そうそう、いつかやりたいことリストってのがあるんですよ。「動物園の檻の中でライブする」とか。

——(笑)!インパクト強いですね……! 


スルガアユム:変なところでライブってのはぜひやってみたいんですよね。あとはグッズとしてソフビ人形とかも作ってみたいんですけど、低ロットで100万くらいはかかっちゃうんです。調べ尽くしたんですけど、低ロットでもそのくらいはどうしてもかかっちゃう。職人の領域なんですよね。作るためにも頑張ってスポンサーを探さなきゃ……!バンダイさんとか(笑)。

ユーセー:バンダイはつかねえよ(笑)。

——(笑)!

スルガアユム:そういった無駄に見えることをどんどんやっていきたいなと思います。無駄な時間こそ価値があるんじゃないかな。チャンサキは何かやりたいことはある?

チャンサキ:うーん。やっぱりフェスには出たい!あとはなんだろう……。

ユーセー:占いやりたいって言ってたじゃん。

チャンサキ:(笑)!言ってたっけ?

スルガアユム:いいじゃん!自主企画の時にやろうよ、「チャンサキの館」(笑)。

——(笑)。音源やライブにとどまらず、自分たちが面白い、楽しいと思えることをやっていきたいって感じですかね。真面目に不真面目的な感じで。

スルガアユム:そうですね。大人になるにつれて、だんだん忘れがちになっちゃう気持ちを大事にしながらやっていきたいです。


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