【Who’s NXT】ZERRY(ks zerry) |「何があってもありのままで」福岡発、ロックからヒップホップまでジャンルを横断する哀しみと怒りのヴォーカリスト

2020.1.14


ZERRY(ks zerry) インタビュー |「何があってもありのままで」福岡発、ロックからヒップホップまでジャンルレスなヴォーカリスト【Who's NXT】

ZERRY(ks zerry)

これまでにない表現と存在感で頭角を表しているヴォーカリスト、ZERRY(ks zerry)。2017年ごろからその印象的なライブパフォーマンスと音源でその名を福岡から全国へ響かせる。滲み出る哀しみと怒りを内包したロックとヒップホップのミクスチャーサウンドを基に、シャウト&ラップを取り入れた特徴的なスタイルで、その存在感、心をえぐるリリック、ヴォーカルワーク、楽曲のスケール感などもあわせ各所で話題を呼んでいる。

Who’s NXT : A series of interviews with featured artists


——ZERRYさんが音楽に興味を持ったきっかけを教えてください。

元々父親がロックが大好きで、小さい頃によく自宅や車でレコードやカセットテープ、CDなどで毎日音楽を聴かされていたのが興味を持ったきっかけです。かかっていた音楽としては、洋楽だったらBlack SabbathやThe Beatles、Led Zeppelin、Sex Pistolsとかで、邦楽ならBLANKEY JET CITYやBOØWY、THE BLUE HEARTSだったり。幼少期はこういう音楽に囲まれて過ごしましたね(笑)。


ZERRY(ks zerry) インタビュー |「何があってもありのままで」福岡発、ロックからヒップホップまでジャンルを横断する哀しみと怒りのヴォーカリスト【Who’s NXT】
幼少期のZERRYと、ZERRYの父親

それで、ヒップホップに関しては小学4年生の時にレコ屋でCDを衝動買いしたのが始まりでした。たしか2000年初頭ぐらいで、Eminemと50 Centだったかな。

 
——それから自ら音楽をやることになったのはどういう経緯だったんですか?

音楽を始めるきっかけっていうのが、まず僕は元々クラブのヘッズだったんですよ(笑)。当時はウェッサイやチカーノラップ、ギャングスタラップがゴリゴリの世代で。そういうのを先輩たちがやってて、若い僕たちをクラブに入れてくれて魅せられたっていうか。そういう環境だったんで、自然と「俺もやるしかねえな」って(笑)。実際、自分もかなりヤンチャだったし、なおさら「俺みたいな奴も中々おらんから言いたい事いってやるわ」という感じですね。


ZERRY(ks zerry) インタビュー |「何があってもありのままで」福岡発、ロックからヒップホップまでジャンルを横断し哀しみと怒りを表現するヴォーカリスト【Who’s NXT】

 
——アーティストの表記で、ZERRYさんは「ZERRY」だったり「ks zerry」だったりされますが、その違いというのは?

ks zerryは昔の名前なんですよ(笑)。2013年くらいにそう名乗ってて。それから改名したっていうか、まわりから”ZERRY”とか”ZERRYちゃん”って感じで呼ばれることが増えたんで、もうZERRYにしようって感じで今に至ります。

 
——ちなみにZERRYという名前の由来は何かあったりするんでしょうか?

THE TIMERSっていうバンドが昔いまして、みなさんご存知のあの方がヴォーカルとして“ZERRY”っていう名前で活動してたんですよね。もう亡くなられてしまいましたけど、当時のメディアやテレビ等でもありのままに歌っている姿を見て、それで自分も“ZERRY”って名前にしました。

 
——ZERRYさんはVEREYRAREに所属ということですが、VEREYRAREというのはクルーなんでしょうか?

VEREYRAREにはMC、DJ、バンド、デザイナー、カメラマン、トラックメーカーなど多種多様なメンバーがいるんですけど、元々自分がソロ活動をしている中で集まってきたメンバーの集まりで、クルーというよりムーブメント的な感じの集団ですね。今は、VEREYRAREでの活動というよりソロとしての活動に集中しています。


ZERRY(ks zerry) インタビュー |「何があってもありのままで」福岡発、ロックからヒップホップまでジャンルを横断する哀しみと怒りのヴォーカリスト【Who's NXT】

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——今はどのあたりを中心に活動していますか?

福岡、博多から活動をはじめて、今は東京や大阪をはじめ全国の色んなところから声をかけられる機会も増えて、各地でライブを行っています。


ZERRY(ks zerry) インタビュー |「何があってもありのままで」福岡発、ロックからヒップホップまでジャンルレスな哀しみと怒りのヴォーカリスト【Who's NXT】

 
——昨年末には新作をリリースされましたね。

2019年の12月31日に約3年ぶりとなるNewアルバム『ZERRY』をリリースしました。作品としては、この3年間分黙ってきた心の中の叫びを込めたというか、かなり激しい内容になっています。とはいえ自分としてはまだ序章に過ぎないんですけどね(笑)。「こういうのは無いよな!」みたいな部分も多く表現されてると思うし、自分自身のダークなところも反映されている作品になっています。

楽曲としては、例えばプロデューサーのLil’Yukichi君と作った「Fude out」や後輩のLIL Gと作った「知らんけど」は、かなりいい感じのリアクションがありますね。


ZERRY(ks zerry) インタビュー |「何があってもありのままで」福岡発、ロックからヒップホップまでジャンルレスなヴォーカリスト【Who's NXT】

『ZERRY』 各配信ストア : https://linkco.re/8F6dYeFY

 
——「HARAKIRI」や「不器用な愛の詩」のようにメタルやロックなサウンドの曲もありますが、トラップサウンドの曲の時と比べて歌い方の違いなどは意識していますか?

自分の曲が完全にトラップサウンドという意識は無いので、その曲ごとに合わせて自由にやっています。僕は元々の入りがロックだったからそうなっちゃうのかも知れませんね(笑)。まだ発表してない楽曲の中にも、敢えてジャンル分けをするならば完全にロックな曲も歌モノもまだまだたくさんあります。

 
——新作の他に、これまででおすすめ、あるいは思い入れのある楽曲をあげるなら?

2017年に初めて発表したEP『Burned out lose』に収録されている「ワルイアソビ」って曲は、みんな知ってるぐらいにバズりましたね。今でもライブで人気の曲です。


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『Burned out lose』 各配信ストア : https://linkco.re/bEXCQAzz

他には、FUJI TRILLとKNUXによるプロデューサーユニットOVER KILLとJin Doggの楽曲「Psycho」で、僕がリミックスで参加した「PSYCHO (ks zerry remix) [feat. KS ZERRY]」もライブだとかなり盛り上がります。


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『PSYCHO REMIX』 各配信ストア : https://linkco.re/5S8ZFBuu

あと、2018年末にリリースしたFRESH DUDE CREWのRINOH(23vrsz)とタッグを組んだ楽曲「Pain」は、リリースした後たくさんの人から「この曲で救われた」っていうメッセージを頂きましたね。ライブでこの曲を披露すると、みんなスマホの光をかざしてくれるし、それが蛍の光みたいになっていつも感動的なステージになるお気に入りの1曲です。


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「Pain (feat. Rinoh)」 各配信ストア : https://linkco.re/1M6pnfvc

 
——楽曲の制作はどのようにされていますか?

基本はスタジオにいて作ってますけど、自分でも機材は揃えているんで場合によってはそれらを使って作ることもあります。やっぱり何事も自分でトライするのって大切ですからね(笑)。

 
——まだZERRYさんのことを知らない人にその特徴を伝えるなら?

僕の事を知らないなら知るべき。僕は生きる痛みが分かるから。だから必死に汗かいて歌うし、1人にはさせない。これまで何人もの人を音楽で救えたから。

一つ言うのなら「俺みたいな奴は俺しかいない」ってことですね。ありのままの表現者です。


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——ZERRYさんはどういったアーティストに影響を受けてきましたか?

まず、Pay money To my PainのKです。一回だけガキの頃にお会いしたことがあって、その時RIZEのJESSEさんとかもいたんですけど、Kさんに「頑張って生きろよ!」って何気なく言われた事は忘れられないですね。もう亡くなってしまったけど、今でも痛みを叫び生きる力をくれるヴォーカリストです。

次は、Linkin ParkのChester Bennington。スタイルとシャウトの強さが好きです。見た目とか、取り繕っていないところから溢れ出るカッコ良さというか。彼も亡くなってしまったけど色褪せない存在ですね。

最後は、甲本ヒロトです。とにかく歌詞が凄いし突き抜けてる。「ドブネズミみたいに美しくなりたい」って最高の言葉ですよ。分かります?って感じですね。

 
——どなたもレジェンドなヴォーカリスト、アーティストですが、楽曲でいうとどういう曲に影響を受けましたか?

次のような曲に影響を受けました。理由はもう言わずともって感じですよね。

Nirvana – Smells Like Teen Spirit

 
Pay money To my Pain – Rain

 
THE BLUE HEARTS – ロクデナシ

 
Snot – Stoopid

 
Sid Vicious – My Way

 
GUN DOG – Chair

 
RIZE – カミナリ

 
Sublime – Santeria

 
Insolence – Poison Well

 
——ZERRYさんが音楽活動を行うにあたって、特に意識していることは?

何があってもありのままでいることですね。ありのままに、ありのままに!

 
——今の音楽を取り巻く環境や状況について何か感じることはありますか?

なんて言うか、流行りだけに流されるのはやっぱり寂しいかな。間違いないアーティストは表に出てないだけでたくさんいるんですよ。俺を含めて俺の周りもカッコいいし、何が間違いないかは自分のコアな目と耳で感じて欲しい。もっと良くなるはず。シーンも世界もね!

 
——今後の活動の展望や予定は?

今後はよりアクティブに音楽活動に打ち込みます。新しい音源もMVもライブも。ライブはもちろん全国をまわるし、各地でみんなに会えたらいいなと思います。

 
——最後にメッセージを。

みんなに伝えたいことは、誰が偉いとかすごいとか比べるんじゃなくて、みんな自分らしく生きて欲しいってことですね。嫌なことがあっても死にたいとか思っても絶対に生き抜いて欲しい。やりきれない時は休んだらいいし、何よりありのままでいて欲しい。同じ空の下!俺もそこにいるから。


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