【コラム】デビューひと月でフォロワー20万人 新人ボーイズグループ「RUNIDRE」のTikTokで今、何が起きているのか

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2026.10.6
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2026年8月30日、All In Entertainmentから5人組ボーイズグループ「RUNIDRE(ランアイドリー)」がデビューした。それからひと月あまりが経った今、公式TikTokアカウントのフォロワー数は約21万人に達している。デビュー直後はほとんど無名だったアカウントが、短い期間でここまで膨れ上がった計算だ。

理由の一端は、投稿のコメント欄を覗いてみるとすぐに見えてくる。並んでいるのは大半がアラビア語のコメントで、日本語はむしろ少数派だ。しかもその日本語のコメントさえ、サウジアラビアやアルジェリア、エジプトといった中東・北アフリカ圏のファンが、翻訳を頼りに懸命に書き込んだとおぼしきものが少なくない。ライブ配信を見逃したことを悔しがる声、自分の国にも来てほしいと願う声、日本語を勉強して仲間に翻訳したいと綴る声。単なる“数字上のバズ”では片付けられない熱量が、そこにはある。

日本発のボーイズグループのコメント欄が、遠く離れた地域のファンで埋まっていく。一見意外な光景だが、この地域が「ボーイズグループ」というフォーマットにどう触れてきたかを振り返ると、納得がいく。

世界の他地域と同様に、中東・北アフリカでもK-POPのファン層は着実に広がっていった。その入口のひとつになったのが、2000年代のテレビドラマだ。「冬のソナタ」や「宮廷女官チャングムの誓い」といった韓国ドラマが中東各地で人気を集め、ドラマをきっかけに韓国文化に触れたファンが、インターネットの普及とともにK-POPへと関心を広げていった。

韓国の海外文化広報院(KOCIS)らが実施した「2012年 海外韓流実態調査」によると、中東の韓流ファンの52%がインターネットを通じて毎日1回以上K-POPを聴いていたという。オンラインではすでに熱心なファンダムが育つ一方、文化・社会的な制約などもあり、この地域は長らくK-POPアーティストにとって“ツアーの空白地帯”でもあった。

その状況にも、2010年代後半から少しずつ変化が訪れる。2016年にはアブダビで中東初のKCONが開催され8,000人以上が来場し、2018年のSMTOWNドバイ公演には約1万5,000人が集まった。そして2019年、その流れは大きな転換点を迎える。Super Juniorがサウジアラビアでアジア人アーティストとして初めて単独公演を開催し、BTSのリヤド公演には約6万人が詰めかけた。ドラマからインターネット、そしてスタジアムへ。中東・北アフリカのK-POPファンダムも、長い時間をかけてオンラインの熱量を現実の観客動員へと変えてきたのだ。

もちろん、RUNIDREはK-POPグループではない。ただ、歌とダンス、SNSでの発信を軸にした「アジアのボーイズグループ」というフォーマットには共通する部分がある。K-POPをはじめとするアジアのポップカルチャーを楽しむファンダムが長年かけて育ってきた地域に、ジャンルの境界をまたいでRUNIDREが着地した——という見方もできそうだ。

そうした土壌がすでにあるからこそ、世界的な人気を確立したグループだけでなく、まだ広く知られていないグループを早い段階で見つけ、その成長を一緒に見届けることも、ファンにとってひとつの楽しみになり得る。そう考えると、RUNIDREがこのタイミングで“発見”されたことにも腑に落ちるものがある。

2000年代の日本のファッションを思わせる髪型やスタイリングも興味深い。世界的なY2Kリバイバルの中で見ればどこか馴染みがありながら、近年のK-POPとは少し異なる日本的な質感もある。アニメやマンガをはじめとする日本のカルチャーに親しんできた海外のZ世代にとって、その「知っているようで見たことがない」組み合わせが新鮮に映った可能性もある。

重要なのは、この広がりが当初から特定の国や地域を狙って設計されたものではなかったという点だ。TikTokという場が本来持つ「発見」の力と、ボーイズグループをはじめとするアジアのポップカルチャーを通じて長年育まれてきた海外ファンダムが、デビューというひとつのきっかけを得て自然に噛み合った。

誰かがRUNIDREを見つけ、興味を持ち、楽曲に触れ、ファンになり、自分でも動画を投稿する。その投稿がまた次の誰かの「発見」を呼ぶ。この循環がひとたび回り始めると、フォロワー数は短期間で大きく伸びていく。

TikTokにおけるバズは、もはや「どの国のリスナーに届くか」を発信する側が完全にコントロールできるものではなくなっている。むしろ、思いがけない地域のファンダム心理や文化的文脈と作品が偶然合致することで、予想もしなかった場所から走り出すことがある。

RUNIDREのこのひと月は、その象徴的な一例だ。日本発のアーティストがグローバルに届く経路は、必ずしも狙った通りの地図をたどるとは限らない。

コメント欄に並ぶアラビア語の言葉たちが、そのことを静かに物語っている。

 
(文:秋野)

 
 


RUNIDRE「Let's Live Like RUNIDRE!」

RUNIDRE 1st EP『Let’s Live Like RUNIDRE!』
音楽配信サービス各リンク https://linkco.re/A4vrY0eM

 
 
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