【Who’s NXT】Qua |「リスナーの想像する情景にうまくスピットできる音楽作りを」独特の世界観、異色な存在感を放つ次世代ラッパー

2021.8.14


Qua インタビュー

Qua
絵本の中の世界のようなFantasyな世界観とサイコパスでHorrorチックな世界観を合わせ待ち、独自のメロディーでHipHop/Rap、オルタナティブ、Popsなど数多くのジャンルを展開している2001年生まれのラッパー/アーティスト。

2020年12月に1st Single「Death Carnival」をリリースし、YouTubeにMVを公開。ブリキ人形と殺し屋をモチーフにしたRussianなGuitar Pop Soundで彼の世界観をシーンに展開する。その後、数々のアーティストの客演参加で異色な存在感を放ち、2021年7月には彼自身初となる1stアルバム『CLOWN FANTAZIA』をリリース。同作のリード曲である「Qua’s Circus」はYouTubeにMVも公開されている。

Who’s NXT : A series of interviews with featured artists


——まず音楽に興味を持ったきっかけを教えてください。

元々8個上の兄がロックとかアニソンが好きで自分のウォークマンに入れてもらったりして、そこから興味持った感じですかね。他にも兄の世代で流行っていた音楽が家で流れていたので、自然と幼い時から音楽に馴染みがありました。

 
——自分でも音楽をやるようになったのはどういう経緯があったんでしょうか?

幼い時から歌うことと絵本を読むことが大好きで、ずっと読んでた絵本からインスピレーションを受けて創作で適当に歌詞とか書いたりしてました。あと、中学くらいの時テレビでレッドブルのCMが流れてきて、そこでラッパー/プロデューサーのPUNPEEさんがラップしててめちゃくちゃかっこよくて、そこからHipHop/Rapの曲だったりMC Battleをディグりはじめました。

本格的に自分でやりはじめたのは当時友達と内輪でフリースタイルとかしてたんですけど、埼玉の大宮でイベントがあるっていう情報を聞きつけて軽いノリで行ってみたらそこでDAKAさんっていうラッパー兼美容師兼イベントオーガナイザーさんに声かけられて「今度イベントあるからライブしてみない?」って口頭で言われて、それで埼玉の川越のライブハウスでライブしたのがきっかけですね。

 
——現在どの辺りを中心に活動していますか?

都内が多いです。住んでる場所は埼玉の大宮なんですけど、ライブするハコが渋谷、恵比寿とかが多いので自然と都内に出向くことが多くなってますね。


Qua

 
——先日1stアルバムをリリースされましたが、改めてどんな作品か、聴きどころなど含めてご紹介いただけますか?

先月、7月26日に自分の20歳になるタイミングで自身初の1stアルバム『CLOWN FANTAZIA』をリリースしました。

 
ちょっと長くなりますけど順番に曲を説明させてもらうと、まず1曲目の「It’s Show Time」は埼玉の4個上の先輩のトラックメーカー/プロデューサーのGready Bairnくんにトラックをお願いしました。元ネタはCrackazatの「Somewhere Elese」です。自分好みのMagicalでホラーチックな感じに仕上げられてかなり気に入ってます。アルバム1曲目は絶対にこれだ!ってGready Bairnくんにトラック送られてすぐ思いましたね。

続く2曲目は「Death Carnival」。シングルカットもされている自分のアンセムのような曲です。1verce目の「夜が暴れだした」っていう歌詞はPSGの”PSG現る 1972″の「チャックを下げな夜がしゃしゃり出た」からサンプリングしてたり間奏のセリフ部分はASMRtist “Cruel Children Comedy”のヴォルデモートのモノマネしながらASMRをするという動画のセリフを引用してたり小ネタが色々詰まっている楽曲です。聞けば聞くほどよくこんな気持ち悪いメロディー思いつけたなって自分でも思ってしまいます(笑)。これからも大事な1曲になりそうです。

 
3曲目の「Nightmare」はJnN DollarとEBABYを客演に迎えたDeep House Soundな楽曲になっています。本当はこのトラックとは別にオルタナティブロックのトラックで制作を進めてたんですけど俯瞰で聴いた時に「ちょっとアルバムの統一感に欠けるかも…」って思ってしまって、レコーディング当日の朝にこのDeep Houseのトラックに変更しました(笑)。 2人は「え?マジで?笑」みたいな反応してたんですけどちゃんと切り替えてトラックにバッチリはまった素晴らしいVerceを蹴ってくれました笑彼らの柔軟性はさすがでした。

4曲目の「Lucky Dice」はイスラエルのトラックメーカーのm00n_emojiにトラックをお願いしました。今回のアルバムで唯一のトラップ調な楽曲な気がします。俺がトラップでラップするならこいつを客演に呼ぶしかないだろって感じでKaminoを客演に迎えました。彼は独自のローボイスを持っていてもちろんビートアプローチもピカイチなんですけど何よりリリカルなんですよね。最初に「テーマは”賭け事”」ってざっくり彼に伝えたら、売れない関西の芸人という架空の人物像を創り上げて賭け事を”Life is gamble”という視点で解釈して歌詞を送ってきました。初めて歌詞を見た時こいつマジで変態だろって思いましたね(笑)。

5曲目の「Hat Man」はアルバムのボーカル録りがひと通り終わってエンジニアのミックス、マスタリングデータ待ちの時にノリで録ってみたら良い感じだったからアルバムに急遽入れた楽曲です(笑)。あとシンプルにHyper Popを1回やってみたかったってのもあります。内容としては自分をマーベル映画の主人公に見立てた、アイアンマン、スパイダーマンみたいな…曲ですね。歌詞も良い具合にサイコパスで気に入ってます。#目にステッキぶち込んでKill your inside!!!

6曲目の「Sherry Bear」は今回のアルバムで唯一のLove Songです。自分のアーティスト像的にどシンプルなLove Songは書くのはちょっと難しいなぁって思ってたんでがっつりストーリー性を作ってから書きました。Layla(レイラ)という女の子がおもちゃ屋さんで1体のTeddy Bearを母親に買ってもらって…… そんな曲です。あとこれは実の彼女に向けて歌ってて1verce目の「あなたの名前はSherry!」っていう歌詞があるんですけど彼女の実際の声で、いきなりボイスメモで送ってもらってそのまま入れちゃいました(笑)。彼女も気に入ってくれてて自分も思入れ深い好きな曲の1つです。

7曲目の「Univerce!!!」は客演にGRowを迎えた曲です。アルバム作りはじめの段階から絶対にGRowにはアルバムに参加して欲しい!って思ってたんで自分の1verce目とHookを録って2verceを空けた状態で彼にデータを送って「はい!空いてる所のVerceお願いします!」って感じで半強制的に参加してもらいました(笑)。音楽を始めて間もない頃のお客さんが10人もいないようなライブハウスでお互いライブをし続けて、今回のアルバムでやっとクロスオーバー出来て本当に嬉しかったです。リスナーの評判もアルバムの中の1位、2位を争うくらいかなり良くて自分もお気に入りです!

8曲目の「Sad unicorn Remix」は同い年のプロデューサーのSidewoodに編曲をお願いしました。かつて”Qua”という名義の前に”SPARCCCY”という名義で活動をしていて、その時に出したアルバムの中の1曲で元々emotrapっぽいトラックだったんですけど今回のアルバムでEDMSoundにパワーアップして戻って来た感じです。前の名義で活動してた時からすごい気に入ってたんですけど自分の進みたい方向性を改める為に一度白紙に還したモノをこのアルバムで進化させて”今”納得行くカタチでアウトプット出来て個人的に感慨深かったですね。過去を肯定出来たような気がしましたね。Sidewood Thx!!!

9曲目の「Oregel City」のトラックは一個上の女性のトラックメーカーのNaNさんにお願いして、haruru犬love dog天使さんを客演に迎えた楽曲になります。アルバムの客演の方で自分がしっかりリスナーとして聴いていた方を1人入れたくて探していたんですけど、前に作ったApple Musicのプレイリストをなんとなく聴いていたらharuru犬love dog天使さんの「Dr.」という曲が流れて改めて聴き入ってしまい「この人と一緒に曲つくれたらなぁ…」って思ってすぐにSNSでコンタクトをとりました。そしたら心よく受け入れてくれて、そこからはスムーズに制作にいたりました。すごい良い経験で一つ自分の夢が叶った瞬間でした。ありがとうございました!^^

10曲目の「Outro(Closing Time)」は後輩で地元も近い、Aなりかずきにお願いしました。彼は4曲目に客演で入ってるKaminoによくトラックを提供してて聞く度にめちゃくちゃやばいって感じててアルバムで何か一緒にムーブしたいなって思ってたんで参加してもらえて嬉しかったです。今回はOutroでの参加だったんでで次はちゃんと彼のトラックにボーカルを乗せてまた交わりたいですね。

そして最後は「Qua’s Circus」で、間違いなくこの曲は個人的にアルバムのリード曲にしたくてMVもすごい気に入っていて、アルバムで唯一、ファンタジーな世界観を手放して自分なりのリアルに基づいて歌詞を書いた楽曲になってます。だからOutroの後にこの曲を配置した感じです。この曲を簡単に表すとするなら、ズタズタのプライドと血みどろのハートで”このままでいいんだ”って自分に叫んだ夏を始める爽快で鬱屈としたDance Pop Sound!!!!って感じ。なんか言葉にするのが難しいんでとりあえず聴いてみてください(笑)。


Qua「CLOWN FANTAZIA」

『CLOWN FANTAZIA』各配信ストア : https://linkco.re/qcdnaMbY

 
——とても詳しい解説ありがとうございます。これを読みながらアルバムを聴くとよりQuaさんの独特の世界が楽しめそうですね。アルバムはもちろんどの曲もオススメだと思いますが、その中でも特に思い入れのある曲はあったりしますか?

やっぱり「UniVerce!!!」ですかね。先程の紹介でも言ったんですが、GRowと一緒に曲をつくれたことももちろんですけどHookの歌い回しがかなり気に入っていて、ファルセットを使っていたりこぶしを使っていたりと凝っている部分があったりして、Verceも伝えたい事を歌詞にしながら満足いくメロディーラインを作れて曲としての完成度がかなり高いと思います。是非聴いてみてください!

 
——話を伺うと、Quaさんは楽曲の制作スピードがかなり早い印象を受けますが、その辺りはいかがでしょうか?

けっこうコンスタントに制作してます。とにかく自分の新曲を聴くのが好きなんで、アルバムを制作しても間髪入れずにスタジオの予約をしてしまいます(笑)。でもたまにあまりにも早すぎてFeelingのインプットがアウトプットまで追いつかない時があるので、日々色んなジャンルのものに対して慣用的にインスピレーションを受けれるように生活することを心がけています。

 
——ご自身では、自分のどんなところが音楽的な特徴だと思いますか?

歌詞を書くにしろ、トラック選びにしろ、聞き手の想像する情景にうまくスピットできるような音楽作りを心がけています。1つの物語を聴いてるような曲が多いので、ディズニー映画やジブリ映画などが好きな人にぜひ聴いて欲しいですね。自分の音楽は、もちろんHipHop/Rapが好きな人も入り込める音楽ですけど、普段J-POPをメインに音楽を聴いてる方達や海外のオルタナティブやアンダーグラウンドカルチャーが好きな方達にも刺さる音楽だと思うので、ぜひ!


Qua

 
——冒頭にPUNPEEさんの話もありましたが、改めてQuaさんはどんなアーティストに影響を受けましたか?

やっぱり、まずは完璧にPUNPEEさんです。もちろんキャラクターだったり彼が歌うメロやラップも好きなんですけど、彼の色んなジャンルに対するディグの深さだったりロジカルな歌詞な組み立て方や緻密に形成されている奥まで手の凝った強いこだわりがすごい好きです。唯一、新譜が出る度にワクワクしながら何回も聴き入ってしまうアーティストですね。

他には、THE OTOGIBANASHI’S。今はメンバーのBIMさんやin-dさんはソロで精力的に活動されているんですけど、3人が揃った時の抜け感があるグルーヴがすごい好きなんですよね。他にも彼らのライフスタイルだったり創り出す世界観など色んな面で自分のスタイルのベースになっているかもしれません。最近ではあまり”THE OTOGIBANASHI’S”での活動は見られていないのでいつかまた3人での新譜が聴きたいです!

あと、Sub Urbanもです。自分がMVを作る際にSub UrbanのMVの芸術性がすごい勉強になります。また、世界観が自分に近しいところがあるので「いつか音楽で良い具合に稼げるようになったらこのくらいぶっちぎったMVを俺もつくれたらいいなぁ、。」って妄想してます(笑 )。

 
——影響を受けた具体的な楽曲でいうといかがでしょうか?

ぶっちゃけ、たくさんありすぎて挙げだしたらキリがないんですけど、強いて1曲挙げるとするならPUNPEEさんの「Renaissance」です。

この曲は音楽に興味を待ったきっかけの話に戻るんですけど、レッドブルのPUNPEEさんのCMを見てすぐにYouTubeで調べて初めて知ったPUNPEEさんの曲です。最初HipHop/Rapといえば硬派であまりメロディーが少ないイメージがあったんですけど、その固定概念を壊してくれてかなり自分に影響を与えた楽曲ですね。「大きな海原で財宝は結果見当たらない。いじけて砂浜に作ったオブジェ、意外と自分らしくていいじゃん。」という歌詞が大好きです。スタンスがぶれそうになったり制作が行き詰まった時に、今でも聴いてしまう自分の中での大切なアンセムのような曲です。

 
——Quaさんは音楽活動をするにあたって、何か特に意識していることはありますか?

まずは人と被らないようにすることですね。たまに他のアーティストに影響を受けすぎて、そのアーティストに自然と似てしまうっていう傾向が音楽やっていると方は結構あると思うんですけど、吸収したうえで自分色に消化してAのモノをBではなくCにするということを心がけています。音楽っていう畑があったとしてグレープが苗ってても作るのはブルーベリーじゃなくてマスカットにしなければならないって感じ?(笑)。

あとは映像を通したうえでリスナーに伝えるということでしょうか。自分の曲は特に頭で想像した映像を元に作ることが多いので、それはかなり心がけています。いつもMVを撮る際にお願いしてるDirectorのKeita Uchinoくんという人がいるんですけど、映像においては本当に彼に助けられています。自分が創りたい世界観を彼なり消化してもらって、撮影当日まで2人で幾度とない打ち合わせをして理想の1つの”カタチ”にしていくっていう工程がすごく楽しくて、毎回撮影の前日はワクワクで眠れません(笑)。映像の面だけでなく色々な相談に乗ってくれたり、背中を押してくれるような自分のお兄ちゃん的存在です(笑)。是非Keita Uchinoをチェックしてみてください!


Qua

 
——音楽活動をする中で、リスペクト、あるいは共感するアーティストはいますか?

アルバムにもフィーチャリングで参加してもらってるGRow、JnN Dollar、EBABY、Kaminoです。彼らは昔から一緒に切磋琢磨して音楽をやってきたアーティストかつ友達ですね。みんなスタイルは全然違うし目指している所もバラバラだけど、他の誰にも持っていない”何か”それぞれ持っているんです。よくプライベートでも遊んだりするんですけど、そこで今後のビジョンとか考え方とかお互い話している時が1番モチベーションがあがります。みんな自分にとって大切な存在です。


Qua
(Photo : Hiroki Nakayama)

 
——今の音楽を取り巻く状況について何か感じることはありますか?

すごく面白いと思います。古いモノを新しいモノに変換することが当たり前に行われていたり、それぞれ色んな個性を持った人達が沢山いるので自分も頑張ろうって思えますね。

 
——最後に今後の活動の展望や予定を教えてください。

まだ未発表の色んな方の客演に参加してたり、韓国人のRapperとも楽曲制作している最中なので以前と変わらず気ままに幅広く活動していけたらなって思っています。後は今月の中旬にアルバムからまた1曲YouTubeにMVをupするのでチェックしてみてください!


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この記事の執筆者

Coming Freshers

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