【Who’s NXT】 valknee

2019.8.27

ストリーミングネイティブのミュージシャンも次々とあらわれ、才能高きものたちはジャンルやシーン、国境さえも関係なく旧来の枠組みを軽々と飛び越えながら自らの表現欲求をストレートに詰め込んだ音楽作品をスピーディー&ダイレクトにリスナーへ発信している。

そんな要注目のup-and-comerアーティストをエディターピックアップ = Who’s NXT(next)

今回の Who’s NXT アーティストは、独特のセンスとサウンドで昨今シーンで着々と存在感を増している女性ラッパー valknee。アイドル音楽からクラウドラップまで、多方面のカルチャーを貪欲に吸収・咀嚼した末に生みだされるそのサウンドは、先人へのリスペクトも内包しながら新しい時代の表現者としての可能性を提示し、注目を集めている


【Whos NXT】 valknee

valknee + ANTIC – 人生最高のSSS

 
About : valknee

ラッパー、神奈川県出身。

2013年頃より音楽制作を開始。

 
——valkneeさんが最初に音楽に興味を持ったきっかけを教えてください。

両親ともに音楽が好きで、幼稚園児の頃から母親がカセットテープを作ってくれていて。そこでモーニング娘。や松田聖子、サザンなんかを聴いていて自然に好きになりました。

父親は80sのブラックミュージックのオタクで「ソウル・トレイン」のビデオがリビングで流れていました。ずっとアイドルやバンドが好きで、ヒップホップをしっかり聴いたのは大学生の頃からです。

 
——どういった経緯で自らも音楽をやることになったんでしょうか?

母親が昔弾いていたベースが祖母の家にあって。高校から触り始めて、大学でバンドをやってました。オリジナル曲も自分で作っていて。でも我が強いのでメンバーとぶつかるし、「思い通りにならない!じゃあ一人でやれる音楽って?」と考えたときにとりあえずDTMソフトとアナログシンセを買ったんです。イベントの電刃に遊びに行ったりしてたし、その頃Maltine Records周辺が活発だったので、当時の自分としてはそれが自然な流れで。

それプラス、大学の先輩でラップしてる人が数名いて。嫁入りランドや、lyrical schoolのプロデューサーのキムさんが学校の先輩にいて活動を見ていたんですよ。失礼な話ですけど、根拠もないのに自信家だったので「私もできんじゃね?」と思って宅録を始めました。緊張するんで先輩たちには全然話しかけられなかったですけど。それで、学祭でやったりとか、サンクラにアップしたりして。

 
——現在メインにしている場所やシーンはありますか?

横浜の泉区にあるCafe&Bar spareという箱でレギュラーでイベントに出ています。もともと日本の女性アイドルが大好きで、かついわゆるクラブミュージックも好きで。アイドル楽曲やJ-POPでクラブユースできるものにフォーカスしているようなイベントに大学生頃からよく遊びに行っていました。

TBSラジオの宇多丸さんのウィークエンドシャッフルにDJコーナーがあって、そこで知った情報でクラブに行ったりとか。そこの文脈の人たちとのつながりが大きいです。

 
——最新作を教えてください。

フランスのビートメーカー Sepharinaと制作したシングル「Dangerous」です。
リリックは “THE 自分”、自分賛歌です。


【Who's NXT】 valknee

「Dangerous」各配信ストア : https://linkco.re/PTNn30Fs

 
——他にvalkneeさんを知るためにオススメの楽曲をあげるなら?

EP『FIRE BAE』の5曲目、「悪夢」と言う曲ですね。元カレへの呪詛です。

valknee + ANTIC – 悪夢


FIRE BAE - valknee + ANTIC

EP『FIRE BAE』 各配信ストア : https://linkco.re/dygM4sD0

 
——楽曲の制作はどのようにされていますか?

Cubaseで宅録です。ビートとマスタリングは基本はお任せで、今一緒に制作しているビートメイカーのANTICとはお互いに任せつつも意見し合いながら何往復かして擦り合わせます。

リリックは感情の波があるときにiPhoneにメモしておいて、後で編集します。

 
——まだvalkneeさんを知らない人に、自分の特徴を伝えるなら?

“世の中に馴染めないOLの自己愛と怒りのヒップホップ”。

 
——valkneeさんが影響を受けたアーティストを教えてください。

ハロー!プロジェクト
つんく♂さんのプロデュースが好きです。何千曲とある中でめちゃくちゃイケてる曲がたまにあるんです。クラブでアガれるし、三枚目なところ、こってりとしたボーカルディレクションが特に好きです。ハローの楽曲は自分の人生で何十万回と聴いていて、言い尽くせないです。

Tommy february6 / Tommy heavenly6
彼女は、自己の二面性を2人のキャラクターとして表現しているんですけど、そういった自分の中で堂々と矛盾していたり、気分の波があるところも肯定したいと思っている部分が自分にもあるので最も共感するアーティストです。彼氏にブチ切れてカフェでカプチーノをぶっ飛ばす、そんな感情型のところも「わかる〜」となります!悪魔になりそう、天使になりたいのに。簡単に言うとそんな歌詞のところとか。

RHYMESTER
ヒップホップをしっかり聴くようになったきっかけが『ウワサの真相』です。リリースされてから10年後くらいに知ったんですが…憧れの先輩が『マニフェスト』を貸してくれたんですよ。最初はなんか、「説教?」と思いながら聴いていて、でもその先輩が言うんだから間違いないんだろうな?と。他の作品もTSUTAYAで借りて。『ウワサの真相』で、「文学じゃん!」と思った記憶があります。そこから徐々にヒップホップに傾倒していきました。今でもしっかり好きになるのは日本のアーティストで、リリックをちゃんと聴くのはライムスから入ったからだと思います。

 
——他に注目しているアーティストはいますか?

Tohjiさんの自己愛推しのリリックや世界観、そして彼の個性を引き立てている制作チームにも注目しています。

また、近年はあまり行われていないですがイベントの田中面舞踏会が好きで。ヒップホップの中で、いわゆるストリートの文脈と文化的なものが合流していくような動きを作っている方々、またそういったアーティストが好きです。自分の活動もそういったものにしていきたいと思っています。

 
——また楽曲でいうと、どういった楽曲から影響を受けましたか?

J Gryphin & GoHoLo / S&T

Twitterで流れてきたのかな?Koedawgさんが紹介してたのがきっかけだったと思います。AKANEさんなどにも提供しているトラックメーカーJ Gryphin とラッパーのGoHoLoさんの共作です。初めて聴いたとき雷に撃たれたみたいで、自分がどういう方向でやりたいか、どういうフロウをしたいか明確に見えてきたように感じました。その後Gryphinのほうからコンタクトをくれて、一緒に制作することができました(下記の楽曲)。

彼はコードや音楽理論が分かるから明確に曲のムードを定めたりとか、感覚だけじゃないところがヒップホップの中では珍しいし繊細で素敵です。

 
Yasterize – Five True Real feat. carios

非公式のSM○Pトリビュートアルバムの中の1曲。インターネットでの先輩たちの悪ふざけを見て育ったので、ブートの文化や、こういう盛り上がりって憧れしかなかったです。平日ツイッターに集合、週末はクラブに集合するような大人に憧れていて、結局今自分がそうなってる気がします…

 
$UICIDEBOY$ – MAGAZINE

初めて聴いた時に譜割りに衝撃を受けました。「こう来たらこうだよね〜」という予定調和のような譜割りを打ち壊しているように感じます。

 
MONYPETZJNKMN – Sucker World

イベントの田中面舞踏会きっかけで知りました。人気の曲は沢山ありますがトラックがシンプルなぶん3人が立ってて私はこれが一番好きです。キャラ立ちが漫画かなってくらいすごいし複数人でやる面白さを強烈に感じます。キャッチーなディレクション、SNSの使い方だったりYENTOWNの面々から学ぶことが山ほどあります。韻を踏むことの格好良さを再確認させてくれるのも彼らです。

 
VOLA&THE ORIENTAL MACHINE – Mexico Pub

NUMBER GIRLのアヒトイナザワがボーカルのバンド。構成の奇抜さ、ベースの主張のエグさ、歌詞のどこを取っても三枚目なところが良い。好きな要素が集約されてます。

 
Berryz工房 – あなたなしでは生きてゆけない

アイドル楽曲のオールタイムベストです。元ネタは「Jay-Z and Pharrell – I Just Wanna Love U (Give It To Me)」、「Justin Timberlake – Rock Your Body」。オリエンタルなウワモノとキラつきが丁度良くてトラックだけでもアガるし、小学生の頼りない歌声で大人びた歌詞、終始つんく♂さんが一緒に歌っているのも面白いです。

 
——音楽活動をする上で、意識していることはありますか?

自分自身がリスナーとして、メッセージや目を惹くところがあっても音源がイケてなければ絶対に聴かないので、そこ第一ってのはありますね。

その”イケてる”のジャッジが何なのかと言えば、トレンド、スキル、外しかた(力の抜きかた)、単純にノれるか、みたいなところかなと思ってます。自分はバカみたいにミーハーなので感覚的ではありますが…

 
——今活動している環境において、何か感じることはありますか?

無名の個人でも発信しやすくなっていますよね。いわゆるネットラッパー、ネット出身のイケてるラッパーたちが地ならしをしてくれたことで、私のような出自があいまいな存在でも受け入れてもらいやすくなったのかなと思います。

コネもなければ先輩もいない、引っ越しをよくしていたので地元すらないです。そういう人間でもやりやすくなったと思います。独立したままどう活動していくか、先を走っているアーティストに学びながら自分も示せていけたらと思っています。

 
——今後の活動の展望や予定を教えてください。

1st EPを共作したトラックメーカーのANTICと現在2nd EPを準備中です。

また、韓国の制作チームとも絡んでいて、そちらも意欲的にやっています。韓国のアンダーグラウンドなヒップホップは日本にかなり流入している印象がありますが、逆はまだ全然かなと。小・中学生のときソウルに住んでいて思い入れがありますし、間口を広げていきたいですね。

 
——最後にメッセージを。

年内に作品を沢山公開できると思うので、音源をチェックしてくれたら嬉しいです!

 

valknee
Twitter
Instagram
YouTube
SoundCloud
Lyrics
TuneCore Japan
TuneCore Japan (valknee + ANTIC)


【Who’s NXT】 valknee

この記事の執筆者

THE MAGAZINE

ストリーミング時代の中でうまれる新たな情報やアイデア、インサイト、ナレッジを、ミュージシャン/音楽アーティストおよびそのファンへ発信し、国内シーンの活性化と海外へのチャレンジをサポートするメディア ― Powered by TuneCore Japan

https://www.tunecore.co.jp/