I-DeA インタビュー 「とにかく固定概念にとらわれないように」国内ヒップホップ界を代表するクリエイター

2019.11.13


I-DeA インタビュー

もはや説明不要、国内ヒップホップシーンを代表するプロデューサー/トラックメイカー/サウンドエンジニアのI-DeA。時代を作ってきた楽曲はどのような環境で作られ、どのような楽曲にインスピレーションを受けて生み出されてきたのか、メインで使用している機材から自身のfavorite worksにいたるまで話を聞いた。

IYOW : A series of interviews with featured beat makers / producers / composers


I-DeA

1997年エンジニア/プロデューサーのD.O.Iとの出会いがきっかけでトラックメイキングやエンジニアリングにのめり込むようになり 本格的に音楽活動を開始、1999年、盟友SEEDAの作品で全曲楽曲提供。その後BUDDHA BRANDのDEV LARGEが設立した“エルドラドレコーズ” よりリリースされたFUSION CORE,FLICKの制作に関わる。

2004年8月には実力派のヒップホップアーティスト達が こぞって参加した1stアルバム『self-expression」をPヴァインレコードより発表。独自のネタ選びのセンス、独特の黒いグルーヴを醸し出すトラックは当然のように高い評価得を得てインディーズにも関わらず、爆発的なセールスを記録。瞬く間に日本屈指のヒップホップのトラック メーカーとしてI-DeAの名前は全国的に知れ渡る事となる。サンプリングこそが(音の面での)ヒップホップの醍醐味だということを肌身で知る者だけが鳴らすことが出来るサウンドを奏で、そこにはフレーズの弾き直しを含めたより繊細なニュアンスも加わり、音の表情、表現力は更に豊かなものになった。

以後、現在に至るまでプロデューサー/トラックメイカー/エンジニアとして多数の作品でクレジットを確認することができ、日本のヒップホップ界において最も注目されているクリエイターの1人として数々のアーティストから絶大な支持を得ている。

 
——キャリアスタートのきっかけ

中学の頃ヒップホップに出会ってしまったのが全ての始まりですねw

 
——ターニングポイント

97年に行ってた専門でD.O.I氏と出会えたこと、98年にD.L氏と出会えたことが全てにおいてターニングポイントになりましたね。

 
——最近手がけた主な作品

MEGA-G、D.O、T2K、漢、DOGMA、MCニガリ、GOODMOODGOKU、舐達麻、ブッダブランド、SCARS… その他、色々なラッパーの制作に関わらせてもらってます。

 
——キャリア当初の制作環境

MPC2000とタンテのみからキャリアスタートです。

 
——現在の制作環境

作業場はMacProにProtools&HD I/O、MaschineやMassiveなどのNI系のソフト、Reason、未だに自分の制作環境から外せないターンテーブル、コントローラー的な使い方になっちゃってるKROMEあたりで、最近はスタジオ外での編集や制作も多いのでモバイルシステムはMacBookProとApogee Elementを持ち運びながら全国どこでも作業できるようにしてます。


I-DeA インタビュー

 
——メインの機材

MacPro、MacBookPro、HD I/O、Apogee Element、ProTools、Maschine、Reason

 
——モニター環境

ADAM S2A、Victor EX-A3、SONY MDR CD900ST、SONY MDR-M1ST、beyerdynamic DT990あたりを基準にしてます。

 
——使用音源

その時の自分の志向で使う音源が偏ることはありますが、ソフト音源だろうがハード音源だろうがサンプリング音源だろうがレコードだろうが街の音だろうがカッコいいと思うサウンドはなんでも使います。

 
——使用プラグイン

NIのREPLIKAをディレイのファーストチョイスにしてるのと、Weiss Deessも必要に応じてボーカルにもインストにも使ったりはします。あとはだいたいみんなが使ってるのとそんなに変わらないと思います。

 
——ビートメイクのプロセス

なにかカッコいい音を聞いた時に「この音こうしたらこうなってこのドラムでこう組める」ってのが頭に浮かぶのでそれを具現化するのみです。そのための知識や機材の使い方などのスキルアップはかかせません。

 
——ビートメイクポリシー

とにかく固定概念にとらわれないこと、仕事するアーティストの好みや得意不得意を考えて与えられた環境の中で最大限かっこよくなる方法を導き出すために常に引き出しをいっぱい持っておくこと。

 
——最も影響を受けたプロデューサー/ビートメイカーを1人あげるなら

自分の発想にないクオリティを出してる人全員に影響を受けているので、1名には絞れません…

 
——影響を受けた楽曲

Gang Starr – The ? Remainz

Bob Jamesの「Look-Alike」が元ネタなんですが、トラック作り始めの時にサンプリングして同じように作ってみようと思ったら一見ループしてるだけに聞こえる楽曲が意外とDJ PREMIERのチョップの仕方が細かくて衝撃だったw

 
Gang Starr – You Know My Steez

DJ PREMIERのサンプルのチョップの仕方、歪んだドラムの使い方、これも当時未熟な自分には衝撃で勝手に勉強させてもらいましたw

 
Kanye West – Get ’em High ft. Talib Kweli & Common

Kanyeの1バース目最初の抜きの大胆さが衝撃で。ヒップホップの楽曲において「抜き」というのがどれだけ重要か学んだ曲。

 
The Weeknd – Tell Your Friends

サンプリングのトラックに歌で現代の仕様にちゃんとなってて、自分がやりたいことをすでに示してたから悔しさもありつつw

 
Kanye West – Devil In A New Dress

サンプルのチョップの仕方、途中から一気にサンプルメインから弾きメインに切り替わる構成の大胆さ、KanyeだけでなくプロデューサーのB!NKやMIKE DEANがいてこそで、みんなで1曲をブラッシュアップして作り上げてく成功例だと思ってて、このプロダクションから多くのことを勝手に学んでます。

 
——My favorite works

鬼 – 小名浜

ここ最近のラッパーにはほとんどいない、圧倒的な表現力ですよね。聞けばわかります。

 
NORIKIYO – 2FACE feat.BES

俺らはどんなことも音楽に昇華するんです。ま、説明はいらないすかねw

 
BES from SWANKY SWIPE – 評決のとき

これも説明不要です。聞けばわかります。

 
SCARS(BES) – 1step,2step

4拍子で作ってるんですが、3拍子でもカウント取れるビートでこれほどうまくハメてきたラッパーは後にも先にもBESのみ。心からお気に入りの曲です。

 
NIPPS & I-DeA – Rich Man, Poor Man

30オーバーの人たちにはとても響く曲ではないかなとw

 
KOHH – LOVE feat.sequick

オートチューンとトークボックスの融合がうまくできたと思うのでお気に入りですねw

 
Jamosa – fly away feat.Jay’ed

制作途中からキックをフットステップにし、スネアをアコギのボディ叩く音に変えて、どんどんスタジオで雰囲気感じてデモの時からかなり雰囲気変えてブラッシュアップしていった曲。本物のシンガーと曲を作るのは楽しいと感じさせてくれた思い入れのある曲です。

 
I-DeA – Paranoid feat. GOODMOODGOKU

最近のスタイルでは彼が一番好きで、自分のビートに対して自分が予想したアプローチをだいたいいつも上回ってくるのでこの曲もそうですが、俺とGOODMOODGOKUが絡んでる曲は全部お気に入りです。

 


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