FANI インタビュー | バイト辞めてシーン駆け上がる京都発新鋭ラッパー
スターになるという確信からラッパーへ
──では、HIPHOPとの出会いについて教えてください。
一番上の兄が中1〜中2ぐらいの時、僕が小学生の時に当時流行ってた名古屋のHIPHOPを聴いてて。薄い襖越しに隣の部屋から流れてくるAK-69とかTOKONA-Xを耳を澄まして聴いてたのが始まりでしたね。長男の部屋ではポップスはあんまり流れてなくて、HIPHOPかレゲエ。それまでよく聴いてた音楽と違って、ちょっと悪そうでカッコいいなっていう単純な憧れからでした。当時は何を言ってるかわからへんかったけど。
──特に影響を受けたラッパーやアーティストはいますか?
短期大学に通ってた頃、京都のイベントで見てた人たちにはやっぱり影響を受けてますね。DCAっていうグループとか136youngbossっていう先輩がローカルの箱でイベントをやっていて、「俺も前まではそっち側やったけど、今はステージに立ってんねん」って語ってるのを見て、俺にもやれるんちゃうかなって。ずっと何者かになりたかったんですよ。小学校の卒業アルバムにも、夢はスーパースターって書いてたんです。間違いなくスターになるってどっかで思ってて。保育の短期大学だったんですけど、みんなが就職するタイミングでその夢を思い出して、それやったらラップをやってみようと。
──「push」では「教科書代わりにMC漢」とラップしていますが。
自分で音楽を始めてからようやくちゃんとリリックを聴くようになって、「HIPHOPってこういうことなんや」っていうのがわかるようになってきたんですけど、それからやっぱ漢さんには食らいましたよね。本当に勉強になるんで。
──ラップを始める時に、周囲にやり方を教えてくれる人はいたんですか?
いや、誰もいなかったですよ。まずはYouTubeでビートを検索して、誰にも教わらずに手探りでやってきました。同じタイミングでラップを始めた地元の友達がいたので、一緒に試行錯誤してました。
──現在は配信されていないものの、『Out the 貧乏』以前にもアルバムをリリースしていたんですよね。最近のFANIさんの楽曲とはテイストが異なるのでしょうか?
全然違いますよ。もっとふざけてますね。テーマがないというか。『Out the 貧乏』はひたすら「貧乏から抜け出す」ということにフォーカスしましたけれど、昔出したアルバムは適当でした。ミックスも家でやった雑な仕上がりなんで。ちゃんと仕上げてまたどこかでリリースできたらとは思いますけどね。
──リリックの内容も今とは全然違う?
言ってることはあんまり変わらないかもしれないです。けど、間違いなくラップは上手くなりました。ここ数ヶ月、毎日のように「ああでもない、こうでもない」ってレコーディングしてるうちに上達したと思います。