Littyインタビュー 「Pull Up」のヒットで話題の注目ラッパー 「『私でもここまでいけたよ』って希望を届けたい」
人生を変えた「Pull Up」のヒット
──さて、「Pull Up」がヒットしたことで、どのような変化がありましたか?
Litty:家から出なくなった(笑)。家でレコーディングして、ご飯作って、家事をして、また制作して、休憩して…… 今は遊ぶ気力もないっていうか、それよりも音楽を作りたいんです。
──「No Tears」のリリックでは会社員時代の苦しい経験のことが綴られていますけれど、その時からは想像もできない変化なのでは?
Litty:会社では新卒なのに3つの部署を掛け持ちさせられたりとかして、入社したばかりだからやる気を出して全部を引き受けてたらあっぷあっぷになっちゃて怒られたり。同じ時期に、プライベートでも嫌なことが立て続けに起きて。仕事もできないしプライベートでも自分がメチャクチャになっちゃって、「生きてるの辛いな」って思うような時期でしたね。当時と今を比べると、人ってここまで変われるんだって思います。
──本格的に音楽を始めたことで、自分を変えることができた?
Litty:そうですね。自分が好きなことを仕事にするなんて、不可能だと思ってました。かといって、毎日会社に行って残業して金曜の夜は飲んで、っていう過ごし方をずっと繰り返すのも私には絶対合わない。何の才能も取り柄もない私は、こうやって人生が過ぎていくのを耐えるしかないのかなって、怖かったんです。でも、転機が訪れて今に至るので。幸せで幸せでしょうがないというか。本当に、すべてに感謝してます。
──「Pull Up」以降も順調にリリースを重ねていますが、デビューから現在までで、アーティストとしての成長や進化は感じていますか?
Litty:感じてます。自分の作品を出す前は世の中を舐めてたと思うんです。やっぱり現実って甘くなくて、良いと思ってリリースしたものでも批判を食らうことはあるし、ましてや音楽と関係のない自分の見た目のこともいっぱい言われたりして。嫌なことをたくさん書かれて、最初は「ここまで言われるんだ」って、寝れなくなるくらい落ち込みました。でも、それからだんだん強くなって、今では悪口も刺さらないんですよね。「この人はきっといま自分に余裕ないんだな」「この人も大変なんだろうな」って思えるようになったというか。悪い意見ばっかり目に付いてたけど、良い意見に目が向けられるようになって、ポジティブになったかなって。
──最新シングル「Ride or Die」は、まさに「Pull Up」のヒットを経て辿り着いた誇り高いマインドが感じられる一曲ですよね。どのように生まれたのでしょう?
Litty:「Pull Up」と同じように、フローが先行して出来ました。アメリカ人になったつもりでフローを考えて、そこに言葉を乗せていくというやり方ですね。カッコいい曲を作るために、ラップの良さに拘りたくて。言葉遊びやダブルミーニングをなるべく駆使しました。
──なるほど。「Ride or Die」に限らず、リリックを書く時に気を付けていることはありますか?
Litty:自分の気持ちに嘘をつかないっていうのは絶対です。あとは「Uber」とか「通勤」とか、親近感の湧く言葉を使うのが好きで。みんなにも身近に感じられるだろうし、普通の人間な私だからこそ書けることがあると思うので、みんなに共感してもらった上で、「私もきっと変われるんだ」って感じてもらいたいです。
──個人的に良いなと思うのが、韻の精度の高さで。
Litty:韻を踏むとシンプルに気持ち良いですよね。かといってガチガチにしすぎるとそれはそれで違うなっていうのもあって、バランス感は気を付けてます。日本語と英語で踏んだりするのも面白くてよくやりますね。
──それもある種ギャップとして機能してるのかなと。メロディアスでスムースなラップなのに、実はハードライム、みたいな。
Litty:嬉しいです!メロディアスな時も韻は必ずちゃんと踏むっていうのはまさに意識しているところです。
