【このリリースがすごい!】Ramblamp『各駅をさかのぼる』 | “綿羊オルタナティブロック”は旅の途中を描き続ける
音楽ファンは要チェック、注目のリリースをレビューする特集企画『このリリースがすごい!』。今回は、RamblampのEP『各駅をさかのぼる』を紹介。
音楽を聴いていてハッとさせられるのはいつも、どこかへ向かっている最中のような気がする。電車や自動車の中で、あるいは散歩の最中で。一瞬先にはもう過去になってしまう景色が、いつまでも瑞々しいまま鳴り続ける音と分かち難く結び付いて、僕の中に留まり続ける。
Ramblampが夏の終わりにリリースしたEP『各駅をさかのぼる』はまさに、そのためにあるような音楽だと思った。知らない路線の発車メロディみたいなアルペジオから始まる全6曲は、移り変わっていく車窓の外を、あえて各駅停車に乗り込むみたいにじっくりと、つぶさに見つめている。
2023年5月に新潟県長岡市で結成され、2025年4月に東京へと拠点を移した彼ら。本作に閉じ込められたのは、単なる故郷へのノスタルジーではなく、かといって新天地であふれる希望だけでもない。いまだ移り変わっていく途中の視界や心情が、どこにも到着しないままで響いている。
“綿羊オルタナティブロック”を掲げる彼らのサウンドは、突破力の中にノスタルジーと屈折した思いを柔らかく内包していて、BraidをはじめとするUSエモバンドを彷彿とさせる。一方でしらい(Gt,Vo)の歌声は時に嗄れてがなりたてるように搾り出されて、ガレージパンクバンドでもフィットしそうだ。だからこそ良い。かけ(Dr,Cho)が直線的なビートのみならず繊細なニュアンスを一打一打に込めているけれど、それでも受け止めきれない感情が時にこぼれ落ちてしまう、その瞬間にこそRamblampの歌は煌めいている。
中盤、「けもの」「あとの祭」の2曲は、まさに出発点でも目的地でもない場所に立っている。「けもの」でしらいは、どうやってここまで来たのかを忘れ、これからどこに辿り着くのかもわからぬまま、「何にもないから歌うのさ」と宣言し、その言葉だけがコンパスとなってバンドを前進させていく。その力強さと対照的なのが「あとの祭」で、祭囃子のようなメロディに乗せられるのは、皮肉にも行く当てなく彷徨うことしかできない姿の頼りなさである。
長い旅の中で日毎に変化していく自らの、矛盾めいた姿も刻んだ楽曲たち。これで良かったのかどうかはきっと終着駅に辿り着くまでわからないし、あるいはそれでも答えらしい答えは見つからないかもしれない。それでも迷いながらこの道を通ってきたという事実だけが、手の中に温かく残り続けるだろう。
