【このリリースがすごい!】キアロスノウ「マーシャル・アーツ・エンハンサー」| 聴けば身体が動き出す ― 新鋭男女ツインボーカルバンドが繰り出す痛快な一撃

コラム・特集
2026.9.28
【このリリースがすごい!】キアロスノウ「マーシャル・アーツ・エンハンサー」| 聴けば身体が動き出す ― 新鋭男女ツインボーカルバンドが繰り出す痛快な一撃のサムネイル画像

音楽ファンは要チェック、注目のリリースをレビューする特集企画『このリリースがすごい!』。今回は、キアロスノウの2ndシングル「マーシャル・アーツ・エンハンサー」を紹介。


聴いているだけなのに、身体の方が先に動き出す曲がある。キアロスノウの「マーシャル・アーツ・エンハンサー」は、自分にとってまさにそういう一曲だった。

再生した瞬間から、じっと座って聴く態勢が崩れる(くらいのインパクト)。タイトルのとおり、音楽の方から身体能力を底上げしにくる感じ。マーシャル・アーツの修行なんて一日もしていないのに、気持ちだけは今すぐリングに上がれそうになるようなパンチ力。

キアロスノウは2026年5月に結成された、にちな(Gt.Vo)と清風(Ba.Vo)による福岡発の男女ツインボーカルバンドだ。最近までそこまで注目してなかったんだけど、この曲で一気に心を奪われた。とにかく、ギターとベースの存在感がえげつなくて、音のブリブリ具合がとんでもないことになっているのだ。

1音1音の動きが速くて、ダイナミック。ギターとベースのどちらにも、相手の後ろに引っ込む気配がなくて、バチバチ。ギターがカッティングで鋭く刻み込んだかと思えば、ベースはスラップでどでかく音の絵を描く。隙間を探して息を整えようとしても、次の一撃がすぐ飛んでくる感じ。音そのものは重厚なのに、ビートは軽快なところも良い。身体が勝手に弾んでしまうという点では、Creepy Nutsの「Bling-Bang-Bang-Born」を聴いたときの楽しさを思い出す。こちらはギターとベースの応酬で、その気持ちよさを味わわせてくれる感じ。とりわけベースは、ブリンブリンと呼びたくなる暴れっぷりなのだ。

とはいえ。

ずっと音を詰め込み続けるわけではない。Aメロではギターは後ろに下がってベースが主役になっている感があるし、Bメロではテンポ感を重視してアンサンブルになっているし、サビもボーカルとのバランスがちょうど良くて、歌がしっかり届く構成になっている。

そう。歌!歌も良いのだ。しかも、ツインボーカル。ツインボーカルの掛け合いも、この曲の推進力になっている。男女の声が交互に出てくることで、ひとりで歌い切る曲にはない会話みたいな勢いが生まれる。たとえるなら、中川家や海原やすよ ともこの漫才。ひとりの言葉にもうひとりが間髪入れずに返して、会話がどんどん転がっていく、あの気持ちよさ。ふたつの声のやり取りそのものが楽しくて、次はどう返してくるんだろう、と耳が離せなくなる。そして声が重なる場面では、仲間と一緒に騒いでいるような高揚感がある。サビではマジで掛け合うように言葉をつないでいくし、サビの後半は二人の声が重なり合って、より印象に残るメロディーラインを紡ぐ。

その上で、これだけ演奏が暴れているのに、メロディーはちゃんとキャッチー。意外とサビは勢いはそのままに、メロディーの詰め込み具合を緩めて、しっかりと歌そのものを聴かせる流れになっていて、勢いだけでは終わらせないところも、キアロスノウの音楽のニクイところ。

尺は3分ちょっと。自分にとっては、日々の惰性から一歩抜け出せるような一曲だった。イヤホンから流れてくると、自然と歩くテンポも少しだけ速くなる。



キアロスノウ「マーシャル・アーツ・エンハンサー」

キアロスノウ
シングル「マーシャル・アーツ・エンハンサー」

2026年8月1日配信リリース
音楽ストリーミングサービス各リンク https://linkco.re/VsNvav6a

 
 

この記事の執筆者
ロッキン・ライフの中の人
ロッキン・ライフという音楽ブログとイベントを運営している中の人です。

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