音楽で生活できる環境を自ら切り拓いたSUKISHAが語る、インディペンデントアーティスト・後進へ伝えたいこと

2022.4.8

インディペンデントアーティストがチャートのトップになり、億を稼ぐ時代となりました。全世界でインディペンデントアーティストは存在感を増し、日本でも例外なくその勢いは拡大しています。

そんなインディペンデントアーティストのためのWebメディア『THE MAGAZINE』が、音楽家に無料法律相談サービスを提供するMusic Lawyer Collective「Law and Theory」代表の水口瑛介弁護士(アーティファクト法律事務所)とともにインディペンデントアーティストをサポートするため、音楽活動に関するトピックや役に立つ情報などをお届けするPodcast番組『THE MAGAZINE talk』を開設。アーティストエンパワーメントプログラムを発信しています。

今回も前回の#7、#8に続き、ゲストにシンガー・トラックメイカーのSUKISHAを迎え、『インディペンデントアーティストとお金、収益』にまつわるトークを展開。#9では収益公開の真意に迫りながら、音楽で生活できる環境を自ら切り拓いたSUKISHAだからこそ語ることのできる考え、お金との向き合い方、ストリーミング時代に生きるアーティストとしての気付きが語られます。そしてラストの#10では「音楽をやる人を増やしたい」と語るSUKISHAがあえてお金の話をするその真意や後進のために実現したいことを聞いていきます。

音楽で生活できる環境を切り拓いたSUKISHAが語る、インディペンデントアーティスト へのアドバイス
(L to R) SUKISHA, 水口瑛介弁護士

 

TuneCore JapanによるWebメディア・THE MAGAZINEのポッドキャスト番組『THE MAGAZINE talk』。音楽家に無料法律相談サービスを提供するMusic Lawyer Collective「Law and Theory」代表の水口瑛介弁護士(アーティファクト法律事務所)をMCに迎え、インディペンデントアーティストをサポートするため、音楽活動に関するトピックや役に立つ情報などをお届け中

 
 
■楽曲配信で食べていける確信があった

水口 : SUKISHAさんが以前出演されたインタビューで「実力はあるけどお金が稼げていない人や、不本意ながらくすぶっている人も少なくない。音楽をやっていることに人生を楽しんで。もう少し自尊心を持ってほしい」という発言があって、とても印象に残ったんです。この発言の意図や背景がありましたら教えていただきたいです。

SUKISHA : そういった人たちを実際に近くでみてきたからですよね。無名であっても音楽的には価値があって、すごいなぁと思わせる人たち、いいバンドってたくさんいるんですよ。そういう人たちってめっちゃ努力してて。自分たちのライブに命をかけて練習しているし、演奏も素晴らしかったり本当にすごいなと思います。だけど、そういう人たちでも毎回ノルマを払ってライブをやってて。本当だったら音楽だけで生活したいはずなのに、聴いてくれる人間が増えていかなくてお金にならないので生計を立てられない。生計を立てるとなったら、昔だったらレーベルから声かけてもらってCDを出してっていうのが当たり前でしたけど、今だったら他のやり方もたくさんあるわけで。

例えば4人組バンドで毎月10万円とか稼げるようになれば、一人25,000円入ってくるわけじゃないですか。もちろんそれくらいだと自分らの音楽だけで食っていけるわけじゃないけど、自分らの音楽がちゃんとお金になっているって実感があるだけで気持ち的に自尊心も保てると思うし、仕事に関するモチベーションも上がると思うんですよね。そういった体験を得られるサービスにTuneCoreがなったらいいなみたいな。たくさん稼げなくても生きがいみたいなものを持てたら、ほかの仕事しつつでもキラキラ輝いて生きていけるんじゃないか、と。

水口 : なるほど。これもまた前回の話と繋がってくるところがあるんですね。作ったものをちゃんと聴いてもらわなきゃいけないっていう話があって。そうすると、SUKISHAさんは1,000万円稼いだといってももちろん勝手にそうなったわけじゃなくて多くの人に聴いてもらうためにいろんなことをされてきたと思います。それがリスナーに届いた理由ってどんなところにありますか?

SUKISHA : 大前提として、多くの人に聴いてもらうには自分が作る音楽がより多くの人間に受け入れられやすいものだったら、届く可能性も上がりますよね。自分の場合、もともとJ-POP育ちで、R&Bも好きで、いま世界全体ではHIP HOPが流行ってる。そういった自分の好きな音楽と世の中が好きそうな音楽の2つの集合をそれぞれaとbとするならば、その”aかつb”の部分にうまくハマってラッキーだったなみたいな感じはありますね。その部分を狙って作ってたこともありますけど。

水口 : 狙って作ってたこともあるんですね。

SUKISHA : そうですね。最初のうちは自分の好きな音楽を世の中に認めさせるぞというのが本名の頃の活動だったんですけど、やっぱりちょっとうまくいかなかったっていうのもあって。その時ちょうどシティポップが注目されはじめてて、「僕も作れますよ」って「4分半のマジック」を作ったら多くの人に聴いてもらえたり、やっぱりいろいろ模索していた時期はありましたね。ただ、今はもう狙って作るとかはなくて、自分の作る好きな曲が世の中も好きだったら嬉しい、みたいな感覚で作ってますね。だから、曲を作る以外のところでの頑張りみたいなことをそんなにしているつもりはなくて。

水口 : マーケティングといっていいかわかりませんが、そういう部分は気にされていたりしますか?

SUKISHA : まったく気にしてないですね。

水口 : 客観的に見てるとSUKISHAさんは演奏動画をインスタやTwitter、YouTubeで発信していたり、あるいはYouTubeの「おしえて!S&Z」をやったり、実はリスナーやユーザーとのエンゲージメントを高める行為をちゃんとやってて、それが結果にも繋がってるのかなとも感じるのですが。

SUKISHA : それはあくまで結果的に、ですね(笑)。曲作ってる様子をYouTubeに上げるのって、海外ではやってる人いっぱいいるじゃないですか。そういうのがおもしろいから僕もやってみようと。新しいテクノロジーや新しい文化って、自分から積極的に触れにいかないと感性が古くなるんじゃないかってう危機感もあって。だから動画編集は割と早い段階から着手したし。あと、そういうことをやるのが単純に楽しいんですよね。だって「おしえて!S&Z」なんて再生数もそこまで多くないし、そもそもエンゲージメントがどうだかなんてあんな動画で気にしてやってないですよ(笑)。自分達がただおもしろいからやってるだけで(笑)。

水口 : おもしろいからやってることが、リスナーからするといろんな面が見えるし、SUKISHAさんの内輪に入ったみたいな気持ちになって、もっと曲やSUKISHAさんを好きになる。そういう流れができているのかなと思いました。

SUKISHA : できてるのかな(笑)。でも僕の音楽って僕のことを知らない人も気づかずにいっぱい聴いてもらってるみたいで。SUKISHAですって自己紹介してその時は分かってもらえないんだけど、実は僕の曲めっちゃ聴いてましたって後から言われることがけっこうあって(笑)。音楽だけひとり歩きしてるっていうか、いつのまにか聴かれてるっていう状況が作れてるのはけっこうデカいかも。

さっき聴いてもらう努力をするっていう話がありましたが、僕は聴いてもらう努力はそんなにしてないけど、自分がいいと思う曲をずっと作り続けようっていう努力はすごくしているつもりです。すでに自分が良いと思える曲が本当にずっと作れているのであれば、その次の段階として人に伝える手法やマーケティングについて考えるというのはいいと思うんですけど、僕としてはそのジャンルで一番良い曲を作れているかどうかを常に自問自答することがやっぱり一番大事なことだと思うんですよね。僕自身ミュージシャンという立場からすると、同じジャンルの一番かっこいいと思う人間とちゃんと勝負できる曲作ってんの?という質問に自信を持って、目を見て「イエス!」と言えるようじゃないと音楽の世界では勝負できないのではないかと考えています。

水口 : たしかに。しかもそれは音楽以外でも通じる話ですよね。

SUKISHA : どんな世界でも最前線、トップで戦っているスーパーマンみたいな人たちがいるんだから、その人たちに勝つつもりでやらなきゃなって思ってます。

水口 : 今って実体のないものをすごそうに見せるのが得意な人たちも結構いたりします。

SUKISHA : そうですね。それはプロモーションのひとつの方法ではあるんでしょうけど、いずれにせよそのものの良さが本質に伴ってないと結局人はついてこないんじゃないですかね。

水口 : 音楽に関して言うと、曲を聴けば化けの皮が剥がれちゃうから分かりやすい世界ではありますよね。

SUKISHA : 最初の5年とかはそれで生き抜けたとしても、20〜30年後に同じように生きていけるかっていうのはけっこう難しい話なので。だから例えば若い時に良い曲が作れて、その1曲だけ爆発的にヒットしちゃったりすると、30年後にもずっと同じ曲を歌い続けなきゃいけいとかってしんどいと思うんですよ。新曲を作っても誰も興味を持ってくれない状況って、できればないほうがいいと思うんで、そうならないように長く活動していくってことも考えたら、やっぱり一番いいと思える曲を作って、みんなにもいい曲として認められることが健康的なのかなって。

水口 : SUKISHAさんがそのようにクリエイティブ至上主義を念頭に置きつつも、一方でお金や収益のことを意識するようになったきっかけはありますか?

SUKISHA : お金に関していうと、そもそも僕は他の仕事はしたくない、好きな音楽で食っていきたい、と音楽を始めた人間なんで。だから音楽でお金を稼ぐっていうことが基本だったんですよ。お金なんてどうでもいい、好きな音楽だけ作っていたい、とかだったら普通に働けばいいじゃないですか。でも僕の場合は働きたくないがそもそも活動の入り口だったんで。そうすると、働かないためには毎月音楽でいくらお金を稼がなきゃいけないっていうのを考えなきゃいけない。例えば月10万円で生きていけるなら、毎月何をして10万円を音楽で稼いでいくのかっていうのをしっかり考えるところからスタートしました。だから最初からお金についてはちゃんと意識していましたね。

でも最初は実際どこからお金が稼げるようになるのか分からないままスタートして。だから、はじめの頃は例えばいろんな人に「音楽作れます、BGMとか何でも作ります」って営業したこともあるし、ネット経由の音楽の仕事を請けながら暮らしていたこともあります。

僕はSUKISHAって名前に変えてからTuneCoreを使い始めて、「4分半のマジック」とかをリリースしはじめたんですけど、TuneCoreって自分のリリースの色んなデータが見れるじゃないですか。で、10曲入りのアルバム『Junk Food Society』をリリースした後にデータをいろいろ見てたら、リリース単位でみたらシングル「4分半のマジック」よりアルバム『Junk Food Society』の方が全体でいうと再生数が上回っていることに気付いて。そこで、「あれ、これ曲数たくさん出したら、それだけで食えるようになるんじゃね?」って思ったのが、(お金を稼ぐ入り口を見つけた)一番最初なんですよ。1曲だけの爆発的なヒットによる再生増よりも、色んな曲をたくさん作って配信した方が、もしかすると結果的には長く再生が伸びていくんじゃないかって。もちろん1曲の爆発的なヒットで食える人もいるとは思いますけど、僕の場合はそうじゃなくて、いっぱい曲を出すことによって全体的に再生が底上げされて収益が増えて、それで食えるっていう状態ができてる感じですね。ちなみに、ストリーミングで食べていけるようになるだろうなっていう確信は持ってたんですよ。その確信がより現実的になったのが、さっきの『Junk Food Society』のリリースからでしたね。

水口 : なるほど。実体験として、考えていたとおり実際に収益が入ってきているじゃないか、と。

SUKISHA : そうですね。「これからのミュージシャンってどうやって食べていくべきなんだろう」という問いにも、まだちゃんとした答えが出てなかった時期でしたけど、一人で曲を作って、ちゃんと聴かれる作品をコンスタントにリリースできるようになりさえすれば食べていけるなと考えるようになったのはその頃からですね。

SUKISHA

 
 
■音楽が好きな人、作る人を増やしたい

水口 : インディペンデントなスタンスでTuneCoreを使って配信して活動している中で、例えばメジャーレーベルから声がかかって、果たして契約した方が良いのかどうかみたいな話ってありますよね。僕もこういった相談をよく受けるんですけど、なかなか回答に困るところもあって。もちろん場合によるとは思いますが、SUKISHAさんはどういうご意見を持たれていますか?

SUKISHA : レーベルから声がかかりました、という時の話で僕がよくするのは、まず自主制作で何曲かは出したほうがいいって絶対言いますね。なんでかと言うと、業界の標準的な慣習として、割とパーセンテージを持っていかれるんですよね。それが新人であればあるほど当たり前のように言ってくるので。新人だと、それゆえに何も分からないだろうし、権利関係とかで強気に出れない人も多いと思うし。藁にもすがるじゃないですけど、「僕なんかに声をかけてくれて」みたいな。実績のあるメジャーレーベルから声をかけられると、これから大きいことができるかもしれないって期待しがちなんですけど、世の中には新人としてデビューする人間がめちゃくちゃいっぱいいるので、うまくいくかどうかっていうのは、レーベル側も期待しているかどうかも分からない。「君には才能がある」って、口だけで言ってるかもしれないし、本気でそう思っている可能性もある。けど、世の中に受けるかどうかは本当に神にしか分からない。なので、(レーベルから)曲をリリースしたときにめちゃくちゃ聴かれればいいですけど、ちょっとだけ聴かれるとかだと、権利関係で契約している以上、全然お金が入ってこない状況もありえる。めっちゃ頑張って曲を作って出したのに、儲かりませんみたいなことは全然あることで。アーティスト本人が「こんなはずじゃなかった」と思ったとしても、レーベルとしては「いやいや、そう言ってたじゃん」みたいな風になると、不信感が生まれるんですよ。その状態で活動が続くのはお互いにとって不幸で。だから、もしかしたらそういうこともありえるかもということで、まずは契約する前に自主制作で、自分たちで権利を100%持っている音源を最低でも5曲、出来れば1、2枚のEPかアルバムくらいは出しておいた方ががいいかなと思います。そうしていることで、もし後でメジャーにいって上手くいって有名になった時に、インディペンデントの頃の曲も聴かれると思うし、その自分たちでリリースした分は確実にお金が入ってくるようになるんで。

水口 : 自活する力を持った上で、レーベルに助けてもらうかどうかっていう話になってくるわけですね。

SUKISHA : まさにその通りです。

水口 : ぜったくんもSUKISHAさんのことを師匠と慕われているようですが、そういった後輩からは実際にどんな相談をされますか?

SUKISHA : 作った音源に対してアドバイスを求められることもあるし、活動に関していうと、悩みは聞きますけど成功の方法って千差万別だし僕のやり方が唯一無二の正しい方法とかは全く思っていないので。だから、音楽に関するアドバイスの方が多くなりますね。

水口 : ちなみに音楽に関してはどの程度のアドバイスをするんですか?

SUKISHA : 音源を聴かせてもらっても、自分がプロデューサーの立場で関わっているわけではないですし、そもそもそういう権利もないので、やり直しとかは絶対言わないです。基本的にプロデューサーの立場で関わるのがいやなんですよね。だからプロデュース案件の依頼もだいたい断ってますし。いやなことはやりたくないし、やりたいことしかやりたくないんで。

水口 : そういうのがいやなのはどうして?

SUKISHA : めんどくさいからですね(笑)。そういう案件って、僕が一番かっこいいかどうかがゴールじゃないんですよ。あとから手直ししなきゃいけないタイミングが出てきたりして、その手直しがめっちゃ嫌いなんで。僕が100点と思ったものをリリースできないんだったら、やらないです。

水口 : 今の一連の発言が、今日お伺いしてきたSUKISHAさんのお話を貫く一本の糸というか、そんな気がしました。

SUKISHA : 基本的には自分のやりたいことをやって生きていきたいだけなんで。だから、自分のやりたくないことに従いたくはないっていう感じで。だからもうお金を理由に仕事を請けることはないですし、今は本当に自由に活動できてて、TuneCoreさんには感謝しきりですよ(笑)。

水口 : TuneCoreのおかげで食べていけるようになったアーティストってやっぱり多い?

SUKISHA : それはもういっぱいいますよ。だから、そういった人たちがもっと「これくらい稼げる」って言っていった方が良いんですよ。

水口 : おぉ(笑)。

SUKISHA : だって未だにメジャーデビューすることがゴールだと思ってる人もいるんですから。それが一番の近道で、そうしないとミュージシャンとして食っていけないと思いこんでいる人って若いアーティストにもまだいるだろうし、その親世代だとよりそうですよね。そういう価値観で止まってるのって危ういし、損だと思うんで。もっとその価値観をアップデートさせていかないといけないんじゃないかなってすごい思うんですよね。

水口 : どれくらいの収益なのかを先日SUKISHAさんが提示してくれたことで少し変わったかもしれないし、もっといろんな人が発信してくれるといいですよね。新しい動きに気づいているインディペンデントアーティストも割といるかもしれませんが、そういった中で今後SUKISHAさん的には国内のインディペンデントはじめ、音楽シーンってどういう風な動きになっていくと感じますか?

SUKISHA : インディペンデントでも音楽だけで食べていける人は増えていくと思います。今は個人がメディアになれる時代ってよく言うじゃないですか。だから大きなメディアを通さなくてもフォロワーが何十万人とかいる人も増えているし、そういう人たちの影響力だけで音楽が聴かれることも全然あると思うし。これからインディペンデントでやっていこうとする人達は増えるだろうし。ただ、短期的にはそれで食べていける人たちが増えると思いますが、インディペンデントでやっていくことって何の後ろ盾もないし、力を持ってる人たちとチームを組んでいるわけではないので、一方で今後のこともちゃんと考えて生きていかないと、一生食っていくのはなかなか難しいんじゃないかなとも思っています。

水口 : 最近、僕も10代のアーティストからいきなり「インディペンデントでやっていこうと思ってるんですけど」みたいな相談がきて話をすることがけっこうあるんですけど、彼らは本当にSNSでの宣伝が上手だったり、フォロワーもすごい数がいたりして。で、そういう若いアーティストも直近では上手くやっていけるのかもしれないけれど、20年後、30年後に同じようにやっていけるかは別の話で難しい部分がありますよね。いい曲のリリースを継続的に、サスティナブルにやっていかないといけない。

SUKISHA : 現段階で言えるのは、いずれにせよ確かな技術がないと長い間その世界で生きていくことはできないということ。例えばラップをやってるアーティスト、Rin音くんや空音くん、クボタカイくんとかと、60〜70歳になるまでラップしている自分をイメージできるかどうか?、みたいな話もしたりして。僕の場合、音楽で食っていくぞって決めたとき、自分の中の神みたいな存在や概念がいるとして、それに対して(音楽に)生涯を捧げるっていう誓いを立ててるんですよ。それくらいの思い込みや思いきりがないと、おじいちゃんになるまでやっていける?っていう。普通疲れるでしょ、それ、っていう。だから、できればそこまでの覚悟を持ってやったほうがいいんじゃないの、っていうことは言いますね。

水口 : なるほど、これは若者にとっても非常にいい話だと思います。

SUKISHA : 若者ってやっぱり考え方も若いじゃないですか。未来のことを何も考えてないのが普通だと思うし。で、僕みたいな大人って若者からしたらちょっと怖いと思うんですけど、このくらい怖いおっさんが実は一番やさしいってことに早く気づいてほしい(笑)。

水口 : 彼らを思いやってるからこそ厳しいことを言うんですもんね。では最後に、SUKISHAさんの今後の活動の展望についてお伺いできますか?

SUKISHA : 今回のテーマに沿ってお金の話でいうと、僕は年収1億を目指していて。去年出た数字のベースで年収を考えた時に今年の2.5倍で目標を立てましたが、思ったよりも伸びなくて。だからその目標額の年収1億までたどり着くまで、実際はかなり難しいというのを実感しているところではありますけど、高い目標の方がいいと思ってるので、この目標を掲げています。

実際の活動の面でいうと、なるべく有名になることですね。僕は今30代半ばで、働き盛りの歳だと思うんです。自分が作っている音楽をいろんな人が聴いてくれて「おしゃれだ」「chillだ」と言っていただけているんですけど、この状況が30年も続くはずがないんですよね。だから今、自分が一番いいと思って作った曲をみんなが良いと思ってくれているこのタイミングにたくさん曲を作って、それが全部いい曲で、いろんな人に聴いてもらえて広がっていって有名になって。有名になった結果、ほかの曲もたくさん聴かれて、再生回数が増えて、TuneCoreを経由して僕のところにたくさんお金が入ってくると。そのお金を使って、生活はまだ厳しいけど才能ある後続のアーティストをサポートしていきたいです。

水口 : 音楽家の人で金銭的な数字を目標設定に入れているの、初めて聞きました。

SUKISHA : まぁさっき言ったように音楽活動の入り口がそうだったからっていうのもありますけどね。別に僕はお金がめっちゃ欲しい訳じゃなくて、「それくらい稼いでるんだよ」って姿を見せることによって音楽をやる人間を増やしたいし、音楽やっている人間に夢を見せたいとか、そういうことなんです。今音楽って娯楽としても趣味としても、テクノロジーの最先端にあるものじゃない気がして。最近若者がやりたいなって思うことって、どちらかというと動画のほうじゃないですか。音楽をやる人ってどちらかというとマニアックなほうになっているというか。でも、音楽をやってる身としてなめられるのも嫌だし。あと、音楽が好きだから単純にみんなにも音楽を好きになってほしい。そういう自分のエゴのために実績を出して、音楽が好きな人を増やして、さらに音楽を作る人も増やして。そうすることによって自分も認めてもらえるし、お金もたくさん入ってくるし、みんなハッピーじゃんって。ただそのためにお金の話をしているだけなんです。


 
Information
SUKISHA、kojikojiを迎えたニューシングル「Room Tour」先日3月24日にリリース!

SUKISHA & kojikoji「Room Tour」


「Room Tour」https://linkco.re/tq3gNFBN

 


前回とあわせ、ポッドキャストではSUKISHA出演回として全4回にわたりトークが配信されているので、上記記事を読んで気になった方は音声でもぜひチェックしてみてください。

▼前回の記事

 
 
THE MAGAZINE talk #9, #10

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この記事の執筆者

aya/綾

株式会社arne / Webメディアで編集&ライターもやっています / 趣味→Spotify / 好き→焼肉 / エンタメマーケ勉強中

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