2022.9.7
音楽活動の法的な具体事例を解説・紹介した連載『アーティストのための法と理論 – Law and Theory for Artists』(2020年5月〜2021年3月、計8回連載)。
音楽家に無料で法律相談サービスを提供するMusic Lawyer Collective “Law and Theory” の弁護士メンバーによる詳しく分かりやすい解説は、アーティストをはじめ各方面から大変好評です。
そしてこの度、待望の新連載【アーティストのための法と理論 ビギナークラス – Law and Theory for Artists beginners’ class】がスタート!
今回は特に、音楽活動をはじめたばかりの方やまだ音楽に関する権利等に詳しくない方へ向けて、今後きっと役に立つ法的な情報を発信していきます。
この連載では、新人弁護士の「エーちゃん」と、新しく音楽活動をはじめた「ジロー」の漫画をもとに、毎回Law and Theoryの弁護士メンバーが解説をしていきます。
エピソード1「楽曲の著作権とコピー」
■水口瑛介弁護士による解説
楽曲の著作権とは?
楽曲には著作権があります。
著作権とは、楽曲の曲(メロディ、ハーモニー、リズム、テンポなど)や歌詞に関して生じる、これを独占的に利用できる権利のことをいいます。
簡単に言えば、楽曲をコピーできる権利と覚えておけば良いでしょう。
楽曲の著作権は、楽曲を作った人、つまり、曲や詩を書いたアーティストの手元に発生します。
楽曲をコピーしてもいい?
著作権とは、楽曲をコピーできる権利です。
つまり、著作権を持つ人(著作権者といいます。)の許可がない限り、それ以外の人はコピーしてはいけないということになります。
コピーには、CDやデータの複製だけでなく、演奏や打ち込みでの再現も含みますから、許可なくDTMで他人の楽曲を再現してはいけないということになります。
著作権者は曲や詞を作ったアーティストですが、著作権が音楽出版社に移転していたり、JASRACや NexToneに管理されていたりすることもあります。
その場合には、アーティストではなく、音楽出版社、JASRACや NexToneから許可をもらう必要があります。
個人で楽しむ場合には許される
著作権者の許可がないとコピーできないのが原則ですが、これには例外があり、個人的な範囲で行う場合には許されるとされています。このような場合には、著作権者に損害が発生しないからです。
DTMの練習で他人の楽曲をコピーするというのは、個人で楽しむものに過ぎませんから、例外的に許される(許可なく行ってよい。)ということになります。
あくまで個人の使用の範囲で許されているに過ぎませんから、コピーしたデータをYouTubeやSoundCloudにアップロードして誰でも見られる状況にすることは許されません。チューンコアを利用して配信することもできませんが、一定の条件を満たせば(著作権者から許可を得れば)カバー曲として配信することが可能です(この点については、今後の回で説明します)。
著作権も一定期間が過ぎると消滅する
楽曲の著作権は永久に存続するわけではありません。
楽曲を作ったアーティストが亡くなってから70年経つと、著作権は消滅することになっています。
著作権が消滅した楽曲はパブリックドメインと呼ばれ、自由に使用することができることになります。そのため、パブリックドメインとなった楽曲をコピーすることも自由ということになります。
著作権についてもっと理解したい人は、下記のバックナンバーのVol.1をぜひチェックしてみてください!
『アーティストのための法と理論 – Law and Theory for Artists』バックナンバー
https://magazine.tunecore.co.jp/taglist/law-and-theory-for-artists/