Yog*インタビュー 「Yacht!!!」がバイラルヒット、17歳の新星が放つラフでポジティブな言葉とメロディ

インタビュー
2025.7.2

 
焦りの中で光を掴んだ「Yacht!!!」

──2025年2月にリリースされた「Yacht!!!」はTikTokを中心に国内外で話題を呼びましたね。

MVの一部をTikTokに上げたら、いつもより伸びがすごくて。リア友向けのアカウントでめっちゃ自慢しました。音源を使って踊る人も出てきて、(使用動画の件数が)1,000以上行った時はビビりました。まったく想像してなかったです、マジで。

「Yacht!!!」

 
──「Yacht!!!」が初めてSoundCloudに公開されたのは2024年5月ですが、曲を作った当時のことは覚えてますか?

なんとなく覚えてますね。とりあえず、ネガティブな言葉は入れたくなかった。ネガティブな曲って、聴いててもあんまり良いエネルギーを貰えないんで。いざ頑張るぞっていう時に聴いてもらえるような曲、自分でも聴きたくなるような曲にしたいと思って作ったのが「Yacht!!!」だった気がします。

──それが今までにないくらい多くの人に届いたわけですが、バズを経験してみていかがでしたか?

前はもう上に上がりたくてとにかく必死だったっていうか。俺は高校も辞めちゃってバイト暮らししてるけど、上の世代のラッパーはこの歳くらいの時にみんな軌道に乗ってるから、「何してんだろう」みたいな。あと1、2年くらいしかないな、と思ってるタイミングだったので、めっちゃ嬉しかったです。

──高校を辞めたのはなぜ?

バカすぎるんですけど、追試の日程と(恵比寿)BATICAでライブする日程が重なっちゃって。東京のライブはそれが初めてだったので、そっちを優先した方がいいじゃんと思ったんです。それでライブに出て、高校に戻ったら「あなた、留年か退学を選びなさい」って言われて。

──そこでやめる方を選んだんですね。裏返すと、本気で音楽をやっていくぞっていう意思の表れ?

それもありました。音楽で食っていきたいとは思ってた。色んなアルバイトをやってきたけど、どれも本当に上手くいかなくて、これじゃダメだぞって。ケツに火がついて、めっちゃ曲を作ってました。あと、自信があったのも大きいです。絶対に行けると思って続けてたんで。俺自身が好きな音楽だから、みんなも好きでしょっていう。

──5月21日には初のEP『Kayak』がリリースされました。

元々はサンクラに上げてた曲を毎月一曲ずつリリースしようと思ってたんですけど、また改めてケツに火をつけたいと思って、まとまった作品を出しました。全曲好きですけど、特に「Twilight」は聴いてほしいですね。

──というと?

いつも使ってる / マイクロウェーブの上で / 踊ってる昨日の夕食みたく /冷めてくnowadays やだ」っていうリリックがあるんですけど、それは昔、吉野家でバイトしてた時のことを書いてるんです。牛皿を温めて、触ってみたら冷えてる。それが俺みたいだなっていう。

──リアルなリリックが書けた一曲ということですね。

吉野家ギャングシットです。

──Tomiさんとの楽曲「Modoki!!!」は2Stepなビートに乗っていて新鮮でした。

Tomiが「こんな感じのビートどう?」って送ってきてくれたのがめっちゃ良くて。俺が15分くらいで完成させて、向こうに投げたら1時間くらいで帰ってきて、あっという間に完成しました。


Yog*「Kayak」

EP『Kayak』

 

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この記事の執筆者
サイトウマサヒロ
1995年生まれ、フリーのライター。インタビュー、ライブレポート、コラムなど書きます。