邦ロック特集「Monthly Core-Rock!! Select by 遊津場」#4【黒酢ライフ、PompadollS、Hello Crowd、roi bob、未完成少年、ペシミスピアス、プルスタンス、ChroniCloop、Bob、Cloudy】

“先取り邦ロック”を武器に音楽ライターやイベント企画で活動する遊津場が、その月に気になった邦ロック楽曲を10曲セレクトする【Monthly Core-Rock!! Select by 遊津場】。
「若手が中心となるので、新たな発見があるはず!あなたをコアな邦ロックリスナーにさせてみせる!」と遊津場は息巻いてるとか何とか。
以下、セレクト楽曲を遊津場が解説。本記事の解説とともに、セレクト楽曲をまとめたTHE MAGAZINEのプレイリストもお楽しみください(毎月更新)。
#4 セレクト楽曲(2025年3月4日更新)
1. 黒酢ライフ「行く春」

聴くと健康になれると噂の東京のロックバンド。
都内のサーキットフェスは常連になっており、今年に入ってからは名古屋、大阪にも進出。多くの先輩バンドマンからの評価も高いです。
そんな彼女達から贈られた卒業ソング。卒業式の日特有の穏やかな肌寒い気温と、晴れやかさと寂しさが混じる感触を曲で余すことなくパッケージ。そこに〈簡単に切れることはないさ〉というメッセージが心強い1曲。
2. PompadollS「窮鼠、猫を噛む」

恐らく今1番熱視線を集めている5ピースロックバンド。初大阪ライブも大変な盛り上がりでした。
3ヶ月連続リリースの皮切りとなる今作は、彼ららしい童話の要素が入りながら、しっかり現世にも刺してくる品と攻撃力を併せ持つ楽曲です。作詞作曲を担当した五十嵐五十(Gt.Vo)曰く「酒場のホールで赤いドレスを着た女性がライトに照らされて歌ってる感じの曲」とのこと。
3. Hello Crowd「澄ませ」

名古屋4ピースロックバンド。
「あぁこのバンドはリスナーに嘘偽りなく届けてくれるんだな」と聴いてて安心する力があって、名古屋の新世代を引っ張っていってほしいと前々から思っているバンドです。
この曲も少年少女の背中を強く押すだけじゃなくて、あの夜の震えもちゃんと分かってくれるんだなと思います。そしてその足がライブハウスに向かった時、必ずあなたを待っていてくれるでしょう。
4. roi bob「mirror」

こちらも名古屋から。
nii(Vo.Gt)のキュートな歌声を囲うそのバンドサウンドと感情の置所に困っている心を歌っているように聴こえるその歌詞は、興味深いポイントが多く、芸術性の高さを感じずにはいられません。聴けば聴くほど味が出ます。
そのような楽曲をこれからも沢山出していきそうで、メジャーシーンまで一気に捉えていきそう。ホラー映画の主題歌をしてほしい。
5. 未完成少年「ヒーロー」

八王子から日本全国のライブハウスで鳴らしてきた彼らが初のサブスク作品をリリース。聴き方がどうだろうが、変わらぬ真っ向勝負で詰め込んだことが分かります。だからこそ〈必ず見つけ出して救い出すのさ君を〉という歌詞は、ちゃんとこちらに向けられているなと感じました。
2026年2月には八王子Match Voxにてワンマンライブ。2026年のライブ予定があるとか、なんか安心して応援できますね!
6. ペシミスピアス「散々泣いて君に返る」

“鬱陶しいほど哀で愛”を掲げる大阪の4ピースロックバンド。危険なほど、そして泣けてくるほど熱く、時に濁り、時に清らかな愛情が押し寄せてくる初アルバムからの1曲。どの曲から聴いたとしても他の曲ではどんなことが描かれてるのかと気になると思いますが、やっぱり1曲目から聴いてほしい。
今年の十代白書ファイナリストにも選出。見に来た満員のオーディエンスの心を奪い去るでしょう。
ペシミスピアス「散々泣いて君に返る」収録『僕は死ぬほど君の中で』
7. プルスタンス「センチメンタリスト」

2023年に始動。先月24日に行われた1st EPリリースツアーのツアーファイナルは見事にSOLD OUTと勢いがある4ピースロックバンド。
そのEPは非常にカラフルな曲達が揃っていて、お菓子の詰め合わせのようなEP。なので、どこかに好きな曲が入っているでしょう。僕はひねくれ者なのでこの曲。でもしっかりポップな曲に喰らわされもしました。8月の自主企画も成功する景色が見える。
プルスタンス「センチメンタリスト」収録『crumble!!』
8. ChroniCloop「ミッドナイトブルー」

変幻自在を得意とするだけあって、一度掴まれたらなら雁字搦めに縛られていくような飽きの来ないサウンドと瀬崎裕太(Vo.Gt)のボーカルテクニックを感じる1曲。答えが見当たらないからって〈不確かな気持ちでアイヘイトユー〉とはしたくないもんですからね。
ライブを見たのは結構前になってしまうのですが、その時は大きい音なのに不思議と柔らかいギターが印象的でした。
9. Bob「核弾頭」

大阪の3人組ロックバンド。先月25日の企画はSOLD OUTを記録。
普通のオルタナティブロックバンドだったら、ここまでで満足しそうなところから、さらに破壊力を2段階ほど上げるギアを持っている。コーラスの力も強いし、どこまでも音楽に無垢でないと生まれないでしょう。ただ荒々しいだけでは生まれない。
ライブももちろん素晴らしいので、発見してください。
10. Cloudy「安い映画」

ライブシーンを席巻しているCloudyが「今のCloudyの精一杯のラブソング」というファン待望のリリース曲。
仮に映画にしたらつまらなくても、2人にとっては最高ならそれでいいじゃないかという、どこまでもリアルを大切にするバンドのスタンスをも感じられる1曲。
既に4月26日のワンマンライブはSOLD OUT。今後のライブ情報も見逃せない1組。
「Monthly Core-Rock!! Select by 遊津場」のプレイリストはこちら