【このリリースがすごい!】ぽ桜『ぽざこ』 | 名古屋発“元気シューゲイザー” 無邪気に屈折した初音源
音楽ファンは要チェック、注目のリリースをレビューする特集企画『このリリースがすごい!』。今回は、ぽ桜のEP『ぽざこ』を紹介。
さあ、俯いて靴を見る時間は終わりだ。これからは何と言っても元気シューゲイザーだぜ! ……そんな風に煽るつもりがあるかどうかはともかく、「ポジティブな逆張り」、あるいは「無邪気な屈折」とでも形容するべき、矛盾と確信が同居するような音がどこまでもやかましく鳴っている作品だ。名古屋のバンド・ぽ桜がXで始動を宣言したのは2025年2月24日の午後0時28分のこと。その9時間25分後に、「ネットって確かな情報が何もないわけで、すべてがぼやけて浮遊しているだけで、それってシューゲイザーですよね」と何やら真理めいたことをポストしている。
ネットって確かな情報が何もないわけで、すべてがぼやけて浮遊しているだけで、それってシューゲイザーですよね
— ぽ桜 (@pozakura) February 24, 2025
彼らにとってその轟音は、裏付けのない好き勝手にまるで美学があるように見せかけるための手段なのかもしれない。時に論争を巻き起こすほどに曖昧かつ拡張され続けるシューゲイザーの定義を、バグ技まみれのゲームを遊び倒すように悪用して、でも悪意なく笑っている。M1「40days」を再生して、甘美なサウンドが脳に心地良く浸透し始めたかと思えば、痙攣のような16ビートが刻まれて意識は乱され、ポストパンクなバリトンボイスに誘惑される。気の抜けたバンド名やアルバムタイトルから期待したアンニュイさはなくて、こっちも「やられた!」と笑う。
M3「Plaza」はMVも可笑しい。ロシア・アヴァンギャルド風なフォルムに日の丸を何やら危ういムードを漂わせつつ、画面上では二頭身3DCGゆるKawaiiキャラ(この子が「ぽざこ」らしい)が踊る。頑張って意味を汲み取ろうとしていたところ、「EVERYTHING SO ICON NO MEAN NO MEAN」と歌われたので、僕は考えるのをやめました。全部がただのアイコンで、意味なんて何もないのかも。
そうわかってもリピートを止められないのは、厄介なことに、彼らの音楽がめちゃくちゃキャッチーだから。M2「Aka」で渦巻くノイズの奥に漂う、耳から離れないギターリフをそのまま鼻歌で口ずさんでるみたいな、陽気なメロディ。それを聴いていると、皮肉屋だけど悪いヤツじゃないんだろうなあ、と感じてしまう。
