邦ロック特集「Monthly Core-Rock!! Select by 遊津場」#5【Reinore、三節棍、赤気、toybee、ファジーデイズ、night roomers、Stereo Jack、Sundae May Club、Liver Shot、SleepInside】

“先取り邦ロック”を武器に音楽ライターやイベント企画で活動する遊津場が、その月に気になった邦ロック楽曲を10曲セレクトする【Monthly Core-Rock!! Select by 遊津場】。
「若手が中心となるので、新たな発見があるはず!あなたをコアな邦ロックリスナーにさせてみせる!」と遊津場は息巻いてるとか何とか。
以下、セレクト楽曲を遊津場が解説。本記事の解説とともに、セレクト楽曲をまとめたTHE MAGAZINEのプレイリストもお楽しみください(毎月更新)。
#5 セレクト楽曲(2025年4月1日更新)
1. Reinore「紫煙香炉」

ノスタルジックパンクを鳴らす、東京のロックバンド。
この楽曲も聴いているだけで宙に昇る煙の形が見えてくるし、そこに大切な人の笑顔を投影したくなって、まさにノスタルジー。
ライブハウス好きが失いたくない下北沢のザラついた地下の雰囲気を持った余韻のある轟音と叙情的な歌詞は、この何でも演出や加工ができる時代で、より生物感や様々な匂いが引き立っています。
2. 三節棍「憧憬」

この曲はじめ収録されている3曲からは濾過フィルターを突き破って、ゴツゴツとしたものがそのまま流れ込んでいて、耳で噛み砕くたびに心地よいロックバンドのショックを体感できます。
この春に高校卒業したばかりの3ピースロックバンドですが、この「今」を大切に焦燥感溢れる衝動的なエネルギーのある歌詞とバンドサウンドは、若さだけじゃないと感じさせます。今年、知名度上がります。
3. 赤気「明日に拍手」

昨年末に解散したインディアカヌーのメンバーであったVo,Gt開とDr,徳が、新たにGt,石川、Ba,山川を誘い結成した新バンドの始まりの合図を告げる曲は7分41秒、あなたの抱える喪失感も、それでも明日に向かう姿も全て音楽で色付けていきます。明日も世界に音楽が鳴り続けるなら、僕はこんな戦い続けるロックンロールが流れてたら良いと思います。
4. toybee「ハナマル」

千葉県成田市発ロックンロールポップスバンドが贈る卒業ソング。僕も冨塚大地(Gt.Vo)先生に卒業証書もらいたくなりました。一度ライブレポートも書かせていただいたことがあるのですが、彼が本当に先生だったら1人1人に刺さるメッセージを「そんな文量で!?」というくらい渡しそうなくらいロックに誠実です。
1月27日には渋谷クラブクアトロワンマンライブも成功させました。
5. ファジーデイズ「呪い愛」

昨年から関西の早耳リスナーから注目を集め、メンバーの受験による活動休止を経て、今年1月からまたブーストを上げて動いています。先日は地元奈良で自主企画も行いました。
私も昨夏にライブを見て「全要素ギターロックや!」と思いました。そう思えるような様々なタイプのキャッチーなサウンドとグッとくる歌詞があって、これからどんなタイプの曲が話題になっても「まぁファジーデイズだし」と思う気がします。
6. night roomers「休日少年団」

三茶発、最近マネージャーの遊び心溢れるTikTok投稿も好調なロックバンド。
そんな遊び心が大爆発してるのはnight roomersも同じ。少年のワクワク感を縦横無尽なリズムで表現し、物理的な距離も、心理的な距離も感じさせないリリックで、聴いたら子供も子供部屋おじさんも、とりあえず外に出て、枝とか持ってヒーローごっこを始めるでしょう。音楽ってそれくらい自由にさせてええねんで。
7. Stereo Jack「aGAIN」

神戸のエレクトロニック・ロックバンド。ベースレスのハイパーポップは、リスナーもそのまま2次元に連れていきます。病みつきになるサウンドは無くなりそうな体力ゲージでも「もう1回」と奮い立たせます。様々なメディアでも流れたので、本人達の言うところのジャックが少しずつ進行中。
4月からは新体制とのこと。今後の活動にも注目しましょう。
8. Sundae May Club「渦中ロック」

長崎発3人組ウルトラスーパーポップバンドの2nd mimi albumから。カンテレ・フジテレビ系全国ネットのバラエティ番組「火曜は全力!華大さんと千鳥くん」4月~6月期エンディングテーマにも選ばれています。
まさにバラエティ番組のように、気軽に楽しむように聴けて、身近に置いておきたいロックバンドです。全国ツアーも開催するので、あなたの身近にも登場するかも!
Sundae May Club「渦中ロック」収録の『風がはやい』
9. Liver Shot「スピルトミルク」

今注目を集める滋賀県出身平均年齢19歳ロックバンドがTuneCoreを使っていました。その注目の理由は先日の十代白書で準グランプリ、カミコベ出演を懸けた10代アーティストオーディションではグランプリを獲得しているからです。そのどちらもライブを見ていますが、たしかな演奏力と愚直にロックスターを切り拓かんとするパワーがあります。ちょっと90年代の香りも個人的にはあります。
10. SleepInside「フィードバックが鳴っている」

昨年発表した「飛べない天使の羽を切った」のMVが7万再生を越え、宅録やオルタナという界隈も越えて、その名を聞くようになったロックバンド。昨年ライブも見ましたが素晴らしかったです。簡単に手が届く気がしない、憧れのようなロックをしていました。
そしてこの曲は、初めてロックスターに出会った衝撃を思い出させる曲でした。一生に一度を何度でも。
SleepInside「フィードバックが鳴っている」収録の『テレパシーを飛ばしている』
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※記事初出時に一部アーティスト名表記に誤りがございました。お詫びして訂正します。