邦ロック特集「Monthly Core-Rock!! Select by 遊津場」#7【fAt Fam, atelier room, molly, マリースメック, neke, UtaKata, BANENE, 寝込みかんぱにゅら, Sadamori Kouki, 人形人間】

コラム・特集
2025.6.2
邦ロック特集「Monthly Core-Rock!! Select by 遊津場」#7【fAt Fam, atelier room, molly, マリースメック, neke, UtaKata, BANENE, 寝込みかんぱにゅら,   Sadamori Kouki, 人形人間】のサムネイル画像

“先取り邦ロック”を武器に音楽ライターやイベント企画で活動する遊津場が、その月に気になった邦ロック楽曲を10曲セレクトする【Monthly Core-Rock!! Select by 遊津場】。

「若手が中心となるので、新たな発見があるはず!あなたをコアな邦ロックリスナーにさせてみせる!」と遊津場は息巻いてるとか何とか。

以下、セレクト楽曲を遊津場が解説。本記事の解説とともに、セレクト楽曲をまとめたTHE MAGAZINEのプレイリストもお楽しみください(毎月更新)。

 

#7 セレクト楽曲(2025年6月2日更新)

 
1. fAt Fam「掌上の劇場」


fAt Fam、「掌上の劇場」

大阪で結成。“社会に揺らぐ貴方の感情を昇華するバンド”。先日のCOMING KOBEにも抜擢されています。

骨太なオルタナティブロックという印象で“俺”という一人称が似合う音を鳴らします。この曲も思わず体を揺らす軽快さもありながら、どこか重くて硬いものを穿つ威力も秘めています。彼らだからこその言葉と音の説得力に今後も期待です。

fAt Fam「掌上の劇場」

 
 
2. atelier room「ハートビート」


atelier room、「vital sign」

汚れのない優しい光のような音楽を広島から届け続けてくれるatelier roomの新EPのリード曲と言っていいでしょう。テレビ番組のエンディングテーマにもなっています。

ふと思い返した時にドキドキするような思い出の側には、誰かの純粋な優しさがあることに気づかせてくれる曲です。最後の涙に関する歌詞が私は好きです。

東阪広福ツアーもまもなく開催されます。

atelier room「ハートビート」収録のEP『vital sign』

 
 
3. molly「今夜は片思い」


molly、「今夜は片思い」

こちらは名古屋から優しい歌声で愛を歌い続ける・うたうたい系ロックバンド。前述のatelier roomと共通点あるなぁと思ったら、そのツアーの大阪編で対バンします。

片思いの気持ちをギュギュッと詰め込んだ2分22秒。リズムよく並べられた歌詞もその愛成分を増幅させます。

今年の12月13日にはワンマンライブを控えています。

molly「今夜は片思い」

 
 
4. マリースメック「夕べのぼくらにさよなら」


マリースメック「夕べのぼくらにさよなら」

矢崎史也(Vo.Gt)は「忘れること=終わること、ではないのかなという気がしていて。」とコメントしていた春の歌。たしかに私もいわゆる卒業的なものから離れて、何度も桜の季節を過ごしていますが、常識・良識を忘れずに生活していればどこかでまた会える根拠のない考えが巡ったりします。実際に嘘みたいなタイミングで巡り会うことがありましたし、意外と全然思い出すものなんですよね。

マリースメック「夕べのぼくらにさよなら」

 
 
5. neke「三月の彼女」


neke、「三月の彼女」

凍てつくのような衝撃が走るイントロからクールが高まる一方。オルタナを愛するライブハウスやリスナーには、特に新世代来たでコレ!となる大阪4ピース。

私もとあるオーディションにて、このバンドを全く知らない状態で見たのですが、刺さる人に刺されば、そこから伝播していくスピードは早いと思いました。というかそのライブが刺さった私も、その速度アップを後押ししたい1人です。

neke「三月の彼女」

 
 
6. UtaKata「ログアウト」


UtaKata、「ログアウト」

今年1月に一旦充電期間を挟み、4月に新体制を組んで完全復活。収まりきらない高電圧をぶつけたような新曲がこの曲です。

複雑なギターリフがフルスロットルで駆け巡ってきて、彼らが積み上げてきたロックスタイルを存分に味わえます。

ライブでは際限なく煽ってブチ上げてくるでしょう。ライブでの過充電にはご注意ください。ライブハウスシーンをまだまだ痺れさせる存在です。

UtaKata「ログアウト」

 
 
7. BANENE「現実珈避」


BANENE、「現実珈避」

早耳リスナーの間で注目度上昇中。札幌のバンドということ以外は何も分かりません。ただこの落ち着きもありながら、転調したところでの広がりを見せる歌声は引きつけるのに十分です。

「半ば逃走」「もはや妄想」「それは正論」と短くもインパクトあるフレーズのセンスも光ります。そしてフルで聴いてください。一言で言うと楽しいです。そしてじっくり次の曲を待ちましょう。

BANENE「現実珈避」

 
 
8. 寝込みかんぱにゅら「それでも、言わせて」


寝込みかんぱにゅら、「それでも、言わせて」

そのポップサウンドとすーこ(Vo.Gt)のボーカルはどちらも中毒性を持ち合せている東京のロックバンド。ゆるっとしてそうで、実はタイトに巻き付いてもいく感触の歌世界は永久に崩壊せず残るものにも思います。

様々な曲がありますが、この曲は失恋ソングとのことで切なさがしっかり伝わってきます。8月3日には自主企画も開催します。

寝込みかんぱにゅら「それでも、言わせて」

 
 
9. Sadamori Kouki「ぼくのあいどる」


Sadamori Kouki、「MANIC PIXIE DREAMER」

高知での活動を経て、先日念願の東京でのバンド編成でのライブも行った宅録アーティスト。挨拶代わりとも言えそうなアルバムをリリースしました。そこからMVと共に彼の名を広めた楽曲がこちら。

ファッションパンクをそのスピードで彼方まで吹っ飛ばす存在証明のロック。ジャキついた音と部屋の隅の鬱屈という言葉だけでは足りなそうな衝動を味わってほしい。「ぼくのまちがい」も是非。

Sadamori Kouki「ぼくのあいどる」収録のアルバム『MANIC PIXIE DREAMER』

 
 
10. 人形人間「球体の鏡」


人形人間、「補完」

神戸の暗闇の奥底から届いたアルバム。妖波を非常に感じつつも、気持ちの悪い湿っぽさはなくて、広がってくるのは上質な音楽体験。アルバムの終わり方もズルい。行き着く先は楽園かもしれません。その中からピックアップしたこの曲は、初見を洗脳してアルバムに連れ込むにいい曲と思いました。

6月14日にはリリースパーティ開催しますし、今後いろんな組合せでも見たいバンドです。

人形人間「球体の鏡」収録のアルバム『補完』

 
 


「Monthly Core-Rock!! Select by 遊津場」のプレイリストはこちら

 

この記事の執筆者
遊津場
神戸在住・名刺が可愛い音楽キュレーター。フリーで音楽ライターと新人発掘。年数回ライブハウスで企画。連絡はsakidoriyutsuba@gmail.com or DMまで。92年生。