邦ロック特集「Monthly Core-Rock!! Select by 遊津場」#8【セピアランド、いまみれん、ろぜっと°、ニモニック、urei、空白ごっこ、スパノヴァ特急、赤いくらげ、降之鳥、吸う彩度】

“先取り邦ロック”を武器に音楽ライターやイベント企画で活動する遊津場が、その月に気になった邦ロック楽曲を10曲セレクトする【Monthly Core-Rock!! Select by 遊津場】。
「若手が中心となるので、新たな発見があるはず!あなたをコアな邦ロックリスナーにさせてみせる!」と遊津場は息巻いてるとか何とか。
以下、セレクト楽曲を遊津場が解説。本記事の解説とともに、セレクト楽曲をまとめたTHE MAGAZINEのプレイリストもお楽しみください(毎月更新)。
#8 セレクト楽曲(2025年7月2日更新)
1. セピアランド「廻る」

繊細な感情をキャッチーに届けるツインボーカル4ピースバンド。関東シーンを中心に活動していて、9月22日に初自主企画「朝を待つ」を下北沢LIVEHOLICにて開催します。
特徴は女性ツインボーカルというだけでなく、互いに淡々と言葉を紡ぐところ。関東広しと言えど、珍しいスタイルではないでしょうか。その結果、言葉・テンポ・世界観も純度が高くて引き込まれます。
2. いまみれん「求める nor i」

八丈島出身の2002年生まれシンガーソングライター。
開始0秒でブッ放される衝動。そこから駆け抜けていくロックチューン。時にヒステリックに。時に優しく、悲しく。その抑えきれない気持ちに嘘がなく、これは愛したくなります。アジカンの伊地知さんも「めちゃくちゃ良い!」とポストしてました。
ショート動画にある曲のメモ音源からも、キラリと光るセンスがあるので要チェック。
3. ろぜっと°「ラブリズム」

大阪から“ファンタジーポップ”を届ける4人組。
甘酸っぱい青春を描くバンドは数あれど、この1曲だけでアニメのワンクールを経験したくらい、カラフルに情景が移り変わっていく体験ができるバンドはなかなかいないです。この曲が収録されているEPの他の曲もまた光る個性があります。
そして彼ら、私も共催で入っている8/26のイベントにO.Aで出演してくださいます!
4. ニモニック「My birthday went by like !」

東京でマイペースに活動中。動きがあると毎回「おっ!」となっているのは私だけじゃない。先日なんと5年ぶりにライブ。
絶対色褪せない曲を発表してくれる安心感。優しくもナチュラルにナナメっぽさがあるって、過去に紹介したこともありますが、ロック好きからすると、それが1番抱きしめやすい形なのかもしれない。これからも良いタイミングで有給使いながら音楽してください。
ニモニック「My birthday went by like !」収録のEP『My birthday went by like !』
5. urei「SMASH」

福島のライブハウスのロックバンドとして名前を挙げる人も多いでしょう。この夏の対バンの名前を見ると同世代のみならず、HAWAIAN6やG-FREAK FACTORYといった強者も。
草野寛太(Gt.Vo)のnoteによると、僕のヒーローアカデミアから着想を得た楽曲とのこと。目を引くような個性も大事ですが、最後は真っ直ぐな気持ちがないといけないなと再認識させられました。
6. 空白ごっこ「スペクタクル」

空白ごっこがTuneCoreに登場!先日のSpotify O-EAST公演の前にゲリラリリースされた新曲です。沸々と始まって、そこから到達する最高温度は熱いを通り越して美しい。空白ごっこのフラッグを改めて高々と掲げたような1曲に思いました。
先日久々に大阪でライブも見ましたが、音の密度の高さにも驚き、ライブでのセツコ(Vo)の衝動性にも驚きました。見てほしいです。
7. スパノヴァ特急「君とギター」

君の生活に突如現れた超新星大阪発3ピースロックバンド。先月改名し、即2曲リリースと止まらぬどころか加速中。見放題大阪にも出演します。
本人達も「名前が変わってもやることは変わらない」と宣言してるし、何よりその気持ちは曲の中で溢れんばかりです。
んじ(Vo.Gt)は赤、駒澤(Ba.Cho)は青。そんな違う色彩のビートを出しているという感じが、逆に良いバランスになっています。
8. 赤いくらげ「now loading」

一度聴いたら忘れられない“にゅ〜うぇ〜ぶサイケパンクPOP”でインパクトを残し続けて、今年WILD BUNCH FEST.への出演も決まりました。海外のライブで爪痕を残したこともあり、ワールドワイドに目が離せないアートロックと言っていいでしょう。
この最新曲も暴力的にラブリーに絡みついてきます。一度脳内にダウンロードしたら逃げられません。
9. 降之鳥「僕らは涙を流して」

京都のオルタナティブロックの若手有望株として、特に昨年からメキメキと力を付けている印象がある5ピースロックバンドです。隙のない強固なバンドサウンドに、河野圭吾(Vo)がマイクというか体全身から放たれる言葉が合わさって、会場を掌握します。
不条理な社会に揉まれて流す、その若き涙よ。この歌は見ています。魂の拠り所になるナンバーです。
10. 吸う彩度「生活未明」

遺書みたいな創作を行う1人バンド。あまりにオブラートに包まない楽曲は、TikTokで3回消されたこともあるとか。
そしてこの曲もギリギリな夜のことを歌っています。長い悪夢から救い出すための手を伸ばしているわけじゃないし、一緒に寄り添ってくれるということでもないのだけれども、この曲にしかない輝きは、あなたの奥底の本音を見えるようにしてくれます。その言葉が遺書になる前に。
「Monthly Core-Rock!! Select by 遊津場」プレイリスト