【このリリースがすごい!】トップシークレットマン「恋は、違法」| ポップなのにドープ、濃密な音楽体験 ― ドパガキ的音楽の最新形
音楽ファンは要チェック、注目のリリースをレビューする特集企画『このリリースがすごい!』。今回は、トップシークレットマンのシングル「恋は、違法」を紹介。
最近、ドパガキなんて言葉が流行っている。若者を揶揄したネットスラングで、必ずしもポジティブな意味合いの言葉ではないけど、あえて今回のレビューでこの「ドパガキ」という言葉を使ってみたいと思う。
トップシークレットマンの「恋は、違法」こそ、ドパガキ的音楽の最新形ではないか、と。
ちなみにドパガキという言葉は、「ドーパミン中毒のガキ」を略したネットスラングで、短時間で得られる強い刺激を次々と求める人を指す。トプシのこの楽曲の短い尺に詰め込まれた情報、えげつないよなーと思うわけだ。
「恋は、違法」は1分55秒の楽曲。なのに、展開が盛りだくさんな感じ。遊園地に行って、コーヒーカップとメリーゴーランドとジェットコースターを体感したくらいの楽しさはある。
音楽的にみていくと、今作はハードなテクノビートとアグレッシブなバンドサウンドを巧みに交錯させ、パートごとに表情を変えていくのが良い。マジで違う楽曲と違う楽曲がくっつけられていくような面白さが要所要所である。ざくっと切り替えていってみせる思い切りの良さが気持ち良く、猛烈な高揚感を覚えるわけだ。
個人的には、「君のせいでアドレナリンが枯渇」の「アドレナリン」に、ドカッ!ドカッ!というSEのような音を重ねている感覚がたまらなく好き。言葉の響きに音の衝撃が重なって、そこだけ妙に耳を引っ張られる。こういう短い一箇所にも刺激を仕込んでくるところが、マジで抜かりない。
全編を通したボーカルの加工具合も好きだ。歌声までサウンドの一部として作り込まれているから、声を追っていても音を楽しめる感じがある。そして、展開をざくざく切り替えながら、サビではちゃんとキャッチーなメロディーに着地する。音の刺激に引っ張り回されたところで、歌の気持ちよさも渡してくる。この着地のさせ方もたまらなく好き。
さらに、後半で英語のフレーズを繰り返すところも良い。同じ言葉が何度も飛び出してくることで、今度はその繰り返し自体にハマってしまう。あれこれ詰め込んでいるのに、耳に残る言葉はしっかりある。そのバランスも絶妙なのだ。
端的に言えば、楽曲全体のセンスが好きすぎるのだ。
しのだりょうすけは過去のインタビューで、ハードコアの短い曲を作っていた時期を経てハイパーポップに惹かれ、100 gecsに大きな衝撃を受けたと語っている。「恋は、違法」にも、いろんな音楽に触れてきた彼だからこそたどり着けた豊かさがあるのだろうなーと感じる。ポップなのにドープで、疾走感がありながらマニアックでもある独特の雰囲気。海の中をどんぶらこどんぶらこしたら、知らない大陸にたどり着いてしまったような、とんでもない感。
この短い尺で、濃密な音楽体験ができる。しかも、他のことを忘れるほど没頭できるという意味で、マジで「ドパガキ」的音楽の最新形なのではないかと思っている自分がいる。
まあ、作り手がどう思っているかは分からないけど、自分にはそれくらい刺激的で、楽しい音楽だったんだよね、という話。

トップシークレットマン
シングル「恋は、違法」
2026年9月5日配信リリース
音楽ストリーミングサービス各リンク https://linkco.re/sCTNNaTd