【このリリースがすごい!】REX『CURSE』 | 福岡発、スケールと攻撃性を両立するツインボーカルラウドロックバンド
音楽ファンは要チェック、注目のリリースをレビューする特集企画『このリリースがすごい!』。今回は、2021年始動の福岡発ツインボーカルラウドロックバンド REX の1st EP『CURSE』を紹介。
バンドサウンドの上空でピアノの旋律が煌めく本作のオープニングトラック「Bleeding Curse」でanri.(Vo)の耽美な歌声を聴いた時、真っ先に比較対象として思い浮かんだのは、世界で最もアイコニックなゴシック・メタル・ボーカリストであるEvanescenceのAmy Lee(Vo)だった。深みと包容力を備えたボーカルによってヘヴィロックのスケールそのものを拡張していく点でも、両者は重なる。そして、「Bring Me to Life」にゲスト参加したPaul McCoy(12 Stones)のラップが当時のニューメタルシーンに適合するためのモビリティをEvanescenceにもたらしたとするならば、同様にREXは、anri.とwataru(Vo)のツインボーカル体制によってモダンなメタルシーンで戦い抜くためのアグレッションを確保している。
時に掛け合いながらも二人が対峙して鍔迫り合いを繰り広げるのではなく、それぞれが自らのフィールドへと楽曲を手繰り寄せて、そのペースを譲り渡さない姿がなんとも頼もしい。スピットするように激しくシャウトするwataruは、「そこでお前の魂振りかざせ」(「Bleeding Curse」)など激情的な日本語詞も交えてボルテージを高める。しかし一方のanri.は、そんな相方や手数を増していく楽器隊の熱量を受け止めながらも決して前のめりになりすぎず、空間を押し広げるように伸びやかなクリーンボイスを轟かせる。そうして、攻撃性と世界観を高水準に両立させているのが彼らの大きな強みだ。「Dawnrise」でのanri.のロングトーンとwataruの畳み掛けという異なるギアで並走するボーカルワークは、REXの最大の武器を最も端的に象徴している。
そして、作編曲、サウンドプロダクションのクオリティも申し分ない。「Bleeding Curse」2分8秒からのビートスイッチ的な展開や、「RUNMA」でメロディやモッシュパートを際立たせるメリハリのあるアレンジ、「Blind Vision」における高速ビートとブレイクダウンの瞬発的な切り替えなどフレッシュなアイデアが光り、4曲14分という尺以上に体感時間は短い。ミックス・マスタリングは丸山漠(a crowd of rebellion)が担当し、ドラムアレンジにはtsy(Evilgloom)が参加するなど、シーンの実力者たちの貢献も手伝って、本作には彼らの魅力が凝縮されている。ぜひグローバルなシーンでの活躍も視野に入れてほしい、今後が楽しみなバンドである。
