【このリリースがすごい!】CANTABILE「迷子犬は灯りを知らない」| 鋭いギター、丁寧なビート、そして絶妙なボーカルの距離感が織りなす何度も聴き返したくなる歌

コラム・特集
2026.7.14
【このリリースがすごい!】CANTABILE「迷子犬は灯りを知らない」| 鋭いギター、丁寧なビート、そして絶妙なボーカルの距離感が織りなす何度も聴き返したくなる歌のサムネイル画像

音楽ファンは要チェック、注目のリリースをレビューする特集企画『このリリースがすごい!』。今回は、CANTABILEのシングル「迷子犬は灯りを知らない」を紹介。


これは自分の好みだなあと思って、自分のプレイリストに追加していたのがCANTABILEの「迷子犬は灯りを知らない」。正直、そんなにこのバンドのことをよく知らなかったんだけど、今回の楽曲に一気に惹き込まれたのだった。端的な感想を述べると、バンドサウンド以外の音はなるべく抑えめで、必要なところにだけ音を添える感じの、シンプルなギターロック。ギターとベースとドラムがしっかり己の役割をまっとうするタイプの、真っ直ぐな音の積み重ね。この方向性が、自分的にしっかり刺さったのだった。

そのうえで、歌詞の描写が良いなあと思った。冒頭の「裸足で駆け出す25時」という、そのフレーズだけで、なんとなく歌の世界が頭の中でイメージされる。そこから具体的な描写が次々と追加されるわけではなく、適宜比喩を織り交ぜながら歌の主人公の内面に迫っていくんだけど、言葉で説明される以上に、歌の世界が広がる印象を受けるのだ。

サウンドが果たしている役割も大きい。鬱屈とした、でもたしかに衝動を音色にのせているような鋭いギター、疾走感を持ちながらも丁寧にビートを刻むリズム隊のアプローチ。それらがしっかりと世界観を作っていたわけだ。

ただ何度も聴いていて感じたのは、ボーカルの距離感の絶妙さ。言葉にするのが難しいんだけど、本当に絶妙なのだ。気怠いわけでもないし、溌剌としているわけでもない。でも、その歌声は、この歌に必要な、確かな温度感をメロディーに与えている。この声があるからこそ、言葉以上に雄弁に歌の世界を拡張している印象を覚えたのだった。

また、歌の中で提示される「25時」という状況が良いんだよなあと思う。のっけから明るさ全開の、エネルギッシュな元気ソングでは、基本的に「25時」が歌の舞台になることはない(という主観がある)。この歌の舞台は、夜に一人で駆けるようなシチュエーションだけど、当然そこでしか生まれない感情が、歌をドライブさせているわけで。ファルセットの使い方も絶妙だし。だからこそ、語らずともなんとなく「わかる」ものが生まれていて、それが歌の刺さり具合に繋がっている気がするのだ。

それ以外の部分も魅力的だ。シンプルにメロディーが良いし、間奏のギターソロも良い。最後のサビでリズム隊のビートの刻み方が変わって、だだだだだっと展開していく感じもたまらない。全体として言えるのは、派手な仕掛けで驚かせるというより、バンドの鳴りと歌の温度で、気づいたら曲の奥まで連れていかれる感覚があるということ。そういう独特なエネルギーも含めて、何度も聴き返したくなる歌だと思う。

CANTABILEの「迷子犬は灯りを知らない」、ぜひ聴いてみてほしい。



CANTABILE「迷子犬は灯りを知らない」

CANTABILE
シングル「迷子犬は灯りを知らない」

2026年7月5日配信リリース
音楽ストリーミングサービス各リンク https://linkco.re/bg4Xynd4

 
 

この記事の執筆者
ロッキン・ライフの中の人
ロッキン・ライフという音楽ブログとイベントを運営している中の人です。